自民党総裁選に出馬する河野太郎さんが、29日のテレビ番組で解雇規制の緩和にふれました。出馬したときの記者会見では「躍動感のある労働市場」というよくわからない表現でしたが、この番組では金銭解雇の法制化に言及したことが注目されます。
「解雇を受け入れる代わりに労働者が金銭を受け取る解雇の金銭解決制度に前向きな姿勢」
河野太郎氏、解雇規制緩和に意欲 「流動性高めるため」 – 日本経済新聞 https://t.co/7o8QaPZfkQ
— PC版らふのゆき@ラフロイグと出羽雪 (@LaphroaigInvest) August 29, 2024
河野さんは解雇規制の緩和に前向きなんだね
やるかどうかは別として
考えは合ってると思う
誰が総裁になっても良いけどこれはやって欲しい pic.twitter.com/m4URS4rvop— ムッシュ Fireへの道 30代の投資・経営ブログ 高配当とインデックス (@firemussyu) August 29, 2024
実は「解雇規制」は大した問題ではありません。日本の労働法では契約自由の原則で、経営者が解雇するといえば雇用契約は終了します。労働基準法には「30日前までに予告する」という規制しかありません。
しかし裁判所が判例で、事業をやめるときの整理解雇しか認めないため、事実上、解雇できないのです。
日本の「解雇規制」はOECDでは弱いほうで、労働契約法16条(解雇権乱用)だけ。問題は裁判所の温情主義で、それを予想して企業が解雇しない。
これを立法で上書きして金銭解雇を認めるべきだが、安倍政権も手をつけなかった。https://t.co/UqUHZQ3Agk https://t.co/RlIUfnVhgh— 池田信夫 (@ikedanob) January 25, 2024
この判例を労働基準法の改正で上書きし、たとえば「1年分の給与を退職金に上積みすれば解雇できる」と解雇自由の原則を明文化するのが金銭解雇の法制化。労務の専門家や労働組合には歓迎する声もあります。
河野太郎は全面的にアウトだが、これを本気でやり切れるなら支持しうる。
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— 通りすがりの労務屋 (@Panda_Personnel) August 31, 2024
この問題の障害になっている弁護士業界にも、現実的な解決策として支持する人がいます。
解雇規制緩和を口に出す自民党議員は久しぶり。雇用流動性が少ない終身雇用・年功序列の組織は、実はパワハラ・セクハラ・メンタルヘルス問題が多い。転職などの出口がないから。
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しかしこれに反発するのが、いつもの「小泉・竹中の新自由主義」のきらいな人々。
うわー本当に日本経済の良いところを破壊する気だぞこの人。今の解雇規制が中間層維持の最後の砦であって、もうとっくに終身雇用は解消、年功序列もなくなり、立場の弱い非正規が爆増してる。これ以上経営者の思い通りにしてたら、中間層が貧困に叩き落されるばかりだよ https://t.co/aFAJG5pW1G
— ケット・シー (@kettosee) August 31, 2024
【竹中平蔵の悲願達成のための総裁選立候補】河野デマ太郎が総理になって最優先でやりたいことは?日本経済を成長させる為に「労働市場を流動化」すると言う事は政府が率先して失業者を増やすとういう事。労働者の40%を非正規にしたから残りの正社員を何の落ち度が無くても金銭解雇を合法にする事です pic.twitter.com/fZRDjuyaNy
— 伏見顕正・伏見文庫 (@fushimibunko) August 31, 2024
金銭解雇という名前がよくないのですが、これは日本以外の国では普通の退職パッケージ。その法制化は第1次安倍内閣から20年越しの懸案ですが、野党や労働組合だけでなく、厚労省も反対したので政治家の腰が引け、封印されてしまいました。
金銭解雇は第1次安倍内閣で経済財政諮問会議が打ち出したが、与野党の大反発でお蔵入り。
第2次安倍内閣でやろうとしたが、電通自殺事件で逆に雇用規制は強化されてしまった。
この問題の最大の抵抗勢力は労働法学者と組んだ厚労省の官僚。— 池田信夫 (@ikedanob) August 31, 2024
3年前の総裁選でも河野さんは最低保障年金を提案したのですが、今回は引っ込めました。金銭解雇もどこまで本気かは、よくわかりません。
河野さんは原発の活用さえ曖昧な表現じゃなく確約してくれれば、全国の現役世代・若者が支持すべき自民党唯一の改革者。
解雇規制緩和の労働改革も基礎年金財源の消費税化はじめとする社会保障改革も彼しか主張してない。他候補は敢えて触れない。小泉進次郎だけはたぶん問題の認識・理解もできてない https://t.co/ctumhcuHsI
— 超絶怒涛の薄給デイトレ公務員 (@no0kouboku) August 31, 2024
雇用流動化は日本経済を活性化するセンターピンですが容易ではなく、金銭解雇だけでできるわけでもありません。しかしそれが自民党総裁選の争点になったのはいいことです。20年ぶりに雇用流動化の議論を始めるべきです。