自民党総裁選に出馬する河野太郎さんが、29日のテレビ番組で解雇規制の緩和にふれました。出馬したときの記者会見では「躍動感のある労働市場」というよくわからない表現でしたが、この番組では金銭解雇の法制化に言及したことが注目されます。
実は「解雇規制」は大した問題ではありません。日本の労働法では契約自由の原則で、経営者が解雇するといえば雇用契約は終了します。労働基準法には「30日前までに予告する」という規制しかありません。
しかし裁判所が判例で、事業をやめるときの整理解雇しか認めないため、事実上、解雇できないのです。
この判例を労働基準法の改正で上書きし、たとえば「1年分の給与を退職金に上積みすれば解雇できる」と解雇自由の原則を明文化するのが金銭解雇の法制化。労務の専門家や労働組合には歓迎する声もあります。
x.com
この問題の障害になっている弁護士業界にも、現実的な解決策として支持する人がいます。
しかしこれに反発するのが、いつもの「小泉・竹中の新自由主義」のきらいな人々。
金銭解雇という名前がよくないのですが、これは日本以外の国では普通の退職パッケージ。その法制化は第1次安倍内閣から20年越しの懸案ですが、野党や労働組合だけでなく、厚労省も反対したので政治家の腰が引け、封印されてしまいました。
3年前の総裁選でも河野さんは最低保障年金を提案したのですが、今回は引っ込めました。金銭解雇もどこまで本気かは、よくわかりません。
雇用流動化は日本経済を活性化するセンターピンですが容易ではなく、金銭解雇だけでできるわけでもありません。しかしそれが自民党総裁選の争点になったのはいいことです。20年ぶりに雇用流動化の議論を始めるべきです。