あなたに合った読書法:賢い本選びの秘訣

Satoshi-K/iStock

読書術を説く本は、古典的な名著から最近の話題作まで数多くあります。いくつかの形態で分類することは可能ですが、はじめての方でもわかりやすい方法をお教えします。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

あなたにはどんな読書術が向いている?

速読術の本は、図1の右上の「速読・早く読みたい系」にプロットされます。近年流行りのメモ術に関する本や、仕事で活かしたい、日常で活かしたい人には左下の「仕事・日常で活用形」。情報発信やニュースに寄稿したい、発信力を高めたいなら右下の「コラムニスト・ライター系」。インプット好きで何も残さない人は左上の「読書好き・読書マニア系」になるでしょう。

そして、最近ニーズの高いものが、速読、メモ&ライティングになります。メモ術のベストセラー本も誕生していますが、一般的にはそこまでのボリュームはないと思います。まず本を選ぶ際には、自分が何を欲しているのか理解して購入するとムダにならないと思います。自分が本とどのように向き合いたいのかを明らかにすることが大切です。

このプロットに正解はありません。あくまでも簡易的に分類しやすいように作成したものでこれをたたき台にして、ご自身で使いやすいように分類し加筆してご活用ください。

最後は自分の目で確かめよう

いくらプロットしても悪書を引いてしまったら時間のムダになります。たとえば、問題解決のツールとして本を読むとしたら、ハウツー本が中心になるでしょう。

しかし、表面的なテクニックに終始した中身の薄い本も大量に出版されています。有名出版社の場合は、一定水準の質を担保していることが多いですが絶対とは言いきれません。ハウツーは役に立つようにみえますが振り回されるリスクもあるので注意が必要です。

最近は朝活を推奨する本が増えました。「朝5時に起きて散歩をすれば一日が快適で仕事の効率もアップする」と書かれていたとします。たしかにその効果はあるかも知れませんが、ビジネスパーソン全員が当てはまるわけではありません。

また、体質的に夜型の人もいるでしょう。それを無視して本に書いてあるとおりに実践しても、なかなか効果は出ないと思います。効果どころか、マイナス影響があるかもしれません。

そのため、表面的ではなくその裏側にある事実を見るようにしてください。事実をつかめることができれば応用が可能です。では、事実とは何か? それは、著者が読者を必要以上に煽っていないことです。危機感を必要以上に煽ったり、根拠に基づいていないものは価値がありません。

賢い取捨選択を

逆に買いたくなるのは著者の実体が見える本です。松下幸之助の『道をひらく』(PHP研究所)や、稲森和夫の『生き方』(サンマーク出版)は、経営者として哲学を貫いてきた人の生き方ですから深みがあります。

その考え方に触れることで気持ちを奮い立たせたり仕事に活かしたい人に支持されるのでしょう。バイブルとしている経営者が多いこともうなづけます。どんな本が役に立つのかは、その人によって違います。まずは、自分の目で確かめることです。

あなたの心を豊かにする「素晴らしい1冊」に出会えることをお祈りしています。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)