福岡を訪ねています。今回の九州旅行では一度行ってみたいところがありました。
それが天神地区のやや西にある大名町に昨年開業した福岡大名ガーデンシティ。天神地区の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の目玉として、もとは大名小学校、大名消防署などがあった場所を積水ハウス、西鉄などの共同企業体が開発しました。
建物は1棟ですが、通路が真ん中にあって入口は西と東に分かれています。西はリッツカールトンホテルの入り口、東はオフィスビル。低層部分には飲食店が入ります。なお、クラフトビール店など魅力的な店舗も多くあるのですが、今回はガーデンシティ全体の様子をご紹介する内容となっています。
リッツカールトン福岡は今晩宿泊…できたらよかったんですが予算がありませんのでビジネスホテルに泊まります。紹介する機会があれば是非したいですね。
2つの棟の間にはデジタルサイネージの画面「ビジョンタワー」で九州の観光地の紹介や、このビルのシンボルである大狛犬の映像が流れます。
オフィスのエントランスにも大狛犬。「大名の森の守り神」として人形師・中村弘峰さんによってデザインされました。リッツカールトンのシンボルであるライオンと並ぶことで一対の守り神になります。
オフィスフロアも当然ながらテナント企業以外は入れません。じゃあビルだけ見に来たのかというとそういうわけではなく、中央の通路を抜けると「パーク」という文字が見えます。
こちらがそのパーク。天神に遊びに来た学生やデート中のカップルなどが休憩することができる都会の中のオアシス。イベントなどもここで行われるそうです。
南に残る旧大名小学校にあがりパークを見下ろします。左手はレジデンス中心の福岡大名ガーデンシティ・テラス。病院や薬局などの施設も入り非常に利便性の高い施設です。
パークには人工芝に寝転んでいる人も多くいましたので、わたしも寝転んで建物を見上げます。
下階では離れていたように見えた東西2つのエリアが上階で一体化するようなデザインになっています。ただ完全には一体化せず、意図的にややずらした形。武家屋敷のあった土地特有の雁行型の通りが一部で残る大名町界隈の地形を空間設計に活かして表現しています。そのデザイン性の高さが目をひく、まさに地域の新たなランドマーク的な存在です。
デジタルサイネージのほかにもアートがあるのが福岡大名ガーデンシティの特徴。デジタルだけでなくリアルの大狛犬もパークの隅にいて大名の地を守っています。
パークを南に抜けてえのき通りに出てきました。こちらが旧大名小学校正門。明治6年に大名尋常小学校として開校した福岡でも最古の小学校で今回の再開発でも壊すことなく残されました。学校は2014年、都市中心部の人口減少により舞鶴小中学校に統合されて廃校となりました。
そこに新しく解説されたのが、スタートアップ支援施設「fgn.」。FUKUOKA GLOBAL NEXTの略であり、起業家の卵や起業したての企業がここに入居してパートナーシップに参画している各種業界の企業と連携して事業の拡大を目指しています。かつて子供たちの学び舎だったこの場所は、今は若き挑戦者たちが夢に向かって羽ばたく場所となっています。
旧きものを活かしつつ新たなランドマークとして誕生した福岡大名ガーデンシティ。ホテルにビジネスにレジデンスにショッピング、さまざまな人たちがここで一体化して融合する場として新たな可能性が生まれていく期待を感じさせる町でした。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年9月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。