大人になっても素直な人であり続ける価値の高さ

黒坂岳央です。

アインシュタインは「素直さは最大の知性」といった。また、若手を採用する多くの経営者が好む人物像は「素直な人」である。

正直、大人になっても尚、素直であり続けることの価値は大変過小評価されている。人によっては「素直な性格だと悪い人に騙されるから損」くらいに考えてしまう。加えて、多くの人は「素直な人」への理解が正しくない事が多いと感じることもある。

アルベルト・アインシュタイン
Wikipediaより

「素直な人」とは?

あくまで辞書的な意味としては「素直とは、性格や態度がひねくれておらず、人に逆らわないこと」と書かれている。しかし、自分がそれなりにたくさんの人と接してきて思うことは、世の多くは素直な人物に「擬態」しているだけで本当に素直な人は非常に少ないということだ。

口先では笑顔でハイハイわかりましたと答えるが、実際にはまったく行動に伴わないという人は大変多い。これはつまり、表面上は素直な人物を演じて本音の出る行動では従っていないということを意味する。人は口で建前を語り、行動で本音を出す。そのため、こうした人達は素直とは言えず、単に従順に見せるだけだったり、相手にハッキリ本音を言えない弱さから来ている。口先だけなら人はなんとでも言える。本音は常に行動でしか語ることはできないのだ。

では素直な人とはどういうことか?自分が考える真に素直な人とは、言葉や態度、行動がすべて一致していること。加えて、自分のプライドや価値観より、合理性を優先できることである。

素直な人が強い理由

素直な人の特徴は「わかりやすい」ということだ。表面上の態度と行動が一致しているので、自分がやりたいことを優先するし周囲にもその態度を隠さない。先ほど、「従順なふりをしたり、ハッキリ言えない弱さは素直とは違う」と書いたが、こうした擬態する人は腹の底で何を考えているかわからないので、素直とはまさに対極にある。

もう1つの特徴は自分の価値観やプライドに固執せず、柔軟にその時々の環境変化についていき合理的な選択肢を選び続ける強さがある。

自分は仕事柄、アドバイスを求められる事が多いが、「わかりました!やってみます!」と口でそういうものの、実際に行動する人は半分もいない。これは行動力がないというより、自分の枠外に現れた選択肢を選べるか否かの「胆力」の問題だ。本当に素直な人であれば、仮に納得できないと感じる助言があれば、素直に疑問を解消するために追加質問をして行動と一致させようとする。

素直な人は応援される

素直な人が強い理由は、強者に応援されるからである。自分はある程度成功して満足をした。そんな人物が次に目指すフロンティアは、自分以外の育成である。それは構成世代だったり、法人だったり、地域社会だったりするがいずれにせよ応援する側へ彼らは行く。

人間にとって最大の娯楽とは育成である。事業、資産運用、子育て、推し活、学習、こうした形態は違えど「育成」という本質に対して際限なく何歳になっても夢中になれるのが人という動物なのだ。

だが、強者といえども誰彼構わず愛するわけではない。ではどんな人物なら彼らに愛されるのか? その答えこそが「素直な人」なのである。強者は類まれなる才能や知能だけでなく、「人柄」にもベットする。素直な人は非常に稀な希少動物であり、それ故に価値が高い。特に成人してから尚、素直な人は肌感覚で言えば100人中1人いるかどうかという割合である。同じ育成をするなら、自分を慕ってくれ、何でも真剣に話を聞いてくれる人を大事に育てたいと人間なら誰しも考える。

たとえば親が子供を大事にするのは、自分の遺伝子を持っているからという理由はもちろんあるが、何より素直だからだ。育児をしていると子供は親の言う事を本当にありのまま、まるでスポンジが水を吸い取るように吸収してしまうことに気付かされる。どんな話でも真剣に聞き、本気で信じてくれるのは嬉しい反面、間違った知恵を授けてしまわないか不安になるほどだ。

優秀な人は総じてずっと素直だった人が多い。素直な人は偏見や歪んだ思い込みを外して、強者からの助言をそのまま受け取って信じて実践する。余計なことをして自己流に走らないので成功まで早いし、何より強者から素直さを愛されて手厚い支援を受けるので成功は当然早いのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。