小泉進次郎さんが自民党総裁選の出馬会見で、1年以内にやる「三つの改革」の一つとして、選択的夫婦別姓を認める民法・戸籍法の改正をあげました。
この他にも石破茂さんや河野太郎さんや茂木敏充さんが、選択的夫婦別姓の実現を公約しています。
小泉進次郎氏「1年でやる」 三つの改革を明言 総裁選出馬表明 https://t.co/xpr04xY8dk
— 毎日新聞ニュース (@mainichijpnews) September 6, 2024
Q. 夫婦別姓って何ですか?
結婚したあとも夫婦が別の苗字(姓)を名乗ることです。たとえば衆議院議員の高市早苗さんの夫は、戸籍上は高市拓ですが、国会では山本拓です。
Q. それじゃ同姓か別姓かわからないですね?
日本の戸籍では夫婦同姓にしないといけないので、仕事でいつも使っている苗字や旧姓が使えないのです。それを戸籍でも別姓にできるようにするのが選択的夫婦別姓です。
Q. 夫婦別姓がいやな人はどうするんですか?
何もしなくても、結婚すると戸籍は自動的にどっちかの姓になります。夫の姓にする夫婦が95%で、残りの5%が妻の姓です。別姓にしても他人に迷惑はかかりませんが、今はできません。
Q. これはいつ決まったんですか?
1996年の法制審議会で改正案が決まりましたが、閣議決定される前に自民党内で反対論が出て、そのままになっています。
Q. 何が問題なんですか?
最初、日本会議の人々が反対していたのは「日本の伝統的な家族制度は夫婦同姓だ」ということでしたが、これは間違いです。日本の伝統は夫婦別姓です。たとえば源頼朝の妻は北条政子で、源政子と呼ばれたことはありません。
Q. では何で反対してるんですか?
1898年にできた民法では、欧州のファミリーネームをまねて夫婦同姓が初めて法制化されました。これは長男が財産をすべて相続し、女性には相続権のない不公平な制度だったので、戦後の民法改正で男女平等になりました。ところが夫婦同姓の義務だけが残っていたのです。
夫婦別姓に反対する人は、この明治の民法を日本の伝統と錯覚し、明治時代の家父長制を守ろうとしているのでしょうが、それは錯覚です。
Q. でもそれが間違いなら、改正に反対する理由はありませんね?
ところが日本の伝統ではないとわかっても、反対派は「家族の一体性が失われる」とか「子供の姓がばらばらになる」とか、後づけの理屈をつけて反対しています。
Q. 夫婦別姓だと家族の一体性は失われるんでしょうか?
世界中で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本しかありません。世界の他の国は家族の一体性が失われてるんでしょうか。特に中国や韓国はすべて夫婦別姓ですが、家族は一体で何の問題もありません。
Q. 子供の名前はばらばらになるんでしょうか?
なりません。法制審の民法改正案では、次のように決まっています(氏とは苗字のこと)。
第750条 夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫若しくは妻の氏を称し,又は各自の婚姻前の氏を称する。
2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称すべき氏として定めなければならない。
つまり結婚するとき子供の姓はどっちにするか決め、兄弟姉妹は同じ姓にしなければならないのです。これは夫の姓でも妻の姓でもかまいませんが、子供の姓はみんな同じです。
Q. 結婚する前の旧姓を使いたいときはどうするんですか?
たとえば山本拓さんはパスポートに高市(山本)拓と旧姓併記すればいいというのが政府の説明ですが、この()の中の姓は海外では通用しません。このため日米を往復している弁護士などは、どっちを使うかよくわからない。
Q. どうすれば混乱がなくなるんでしょうか?
法制審の改正案はもうできているので、それを閣議決定して国会に提出するだけです。野党はすべて選択的夫婦別姓に賛成なので、国会でも成立することは確実です。