トランプ vs. ハリス:明らかにピークを過ぎたアメリカ

昨日従業員とビールを片手に雑談していたら「ひろ、お前は明日の討論会、見るのか?」と。なるほどカナダでも高い関心があるのかな、と感じています。ちょうどこのブログがアップされる日本時間午前10時から約1時間半枠でアメリカ大統領候補同士の討論会が行われます。個人的にはハリス氏の政策が今一つ開示されていない点が多いのでトランプ氏がどのようにハリス氏を刺激し、意見を引き出すのか、興味があるところです。

トランプ氏とハリス氏 両氏インスタグラムより

いずれにせよ、このブログテーマをあえて討論会が始まる前にぶつけさせて頂いたので想像力たくましく話を展開していかねばなりませんが、なんとなく双方の話の要点は予想がついています。それを受けて言葉尻や雰囲気を聴衆がどう理解するか次第です。そこはわかりません。

現時点での私の直感を述べます。トランプ氏は精彩を欠いている、その点が気になります。主義主張に新味がなく、遊説でも空席が目立ち、途中退席する人も増えるなど長丁場の選挙戦を一人で行うにはやや重い感じがします。

ハリス氏はその点、フレッシュ感があり、政策が十分にディスクローズされていない点において「何をしゃべるのか」否が応でも注目されやすいといえます。こうなれば話の中身がわかっているトランプ氏ではなく、気になるハリス氏ということになります。この点でトランプ氏には不利。

ただ、以前にも申し上げたようにハリス氏の政策に不明瞭な点が多い中、左派思考が強いのは相当気になっています。本人はそのイメージを修正すべくより中道にしようとしているようですが、たぶん寄らないと思います。選挙戦でどちらが有利かといえば都市票、移民層の票、西海岸票、女性票を取りやすい民主党のほうかと思います。ハリス氏が何を言おうとも同じです。共和党が嫌いでトランプ氏が嫌いという消去法的アプローチもあります。

では金融市場に与えるインパクトですが、トランプ氏当選なら一時的にプラス、ハリス氏の場合は影響は少ないとみています。トランプ氏当選の場合、一見、政策は金融市場によさげですが、インフレを引き起こす可能性があることとアメリカという市場をエンクローズ(囲い込み)することで長期的にはボディブローになるだろうと考えています。一方、ハリス氏当選で市場に大きな影響が出ないとみるのは現時点で既に民主党政権であり、その延長戦でしかないということです。

アメリカ株式市場がこのところ踊り場相場でそこからの展開がない理由の一つは市場が大統領選を「どっちもどっち」と評しており、いずれが大統領になっても不安材料を残すかもしれない懸念を消化しきれていない点もあるとみています。(経済のソフトランディングへの不安感が冴えない相場の主たる理由である点は変わりません。)

個人的には投資済みのアメリカ株からはいったん撤退をするために売却を進めています。今日もアメリカ株を4銘柄ほど売却し、残り僅かになります。理由は可能性として左派的な色彩を更に強めるかもしれないアメリカは明らかにピークを過ぎて将来を模索する公算が高いとみるからです。

トランプ氏になった場合でも極端な政策が「奇をてらう」様相にも見え、少なくとも8年前の興奮とか話題性はないし、それ以上にトランプ氏が歳をとり、かつての政策推進のパワーを感じさせないのです。個人的にはトランプ氏のほうがベターだと思いますが、期待感は薄いのです。

ところでカナダでひょっとすると解散総選挙があるかもしれません。与党と一定の協力関係を持っていたNDP(新民主党)がその関係を解消をしたためで与党の法案が通りにくい状態になり、政権運営が厳しくなるためです。

トルドー政権は支持率が一貫して下がっており、選挙がある場合、政権交代の可能性は高いとみています。その場合は中道右派が政権を握ります。今年が選挙イヤーであり、多くの国で様々なサプライズが起きているのと同様、「今に不満を持つ国民」が新味を求めていると理解しています。だからこそ、自民党総裁選も「我こそ」と思う方々が新味だか珍味だかわかりませんが、いろいろ主張しているわけです。

ところがアメリカ大統領選の場合、新味のはずのトランプ氏が新味のハリス氏に乗っ取られた感じになっているのです。トランプ氏にとってバイデン氏が相手なら勝てたでしょう。すっかり読めなくなりました。

本日の討論会は展開次第では一定の方向性が出ますが、個人的には最後の最後までもつれそうな気がしますが、個人的に期待値はすっかり下がってしまいました。さてどうなることやら。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年9月11日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。