小泉進次郎の総理になる資格がない大きな欠陥

小泉進次郎氏については、人気沸騰だった数年くらい前にはよく論じたものだが、数年前とあまり進歩もしてないと思うので、かつてアゴラに書いた記事を再録紹介する。

小泉進次郎氏インスタグラムより

2017年に私は、「受験・就活・結婚なしの小泉進次郎は“一人前”でない」という記事を書いた。普通の人間が苦労し成長していく三大試練を経験していないような人間が総理になる資格ないと思ったのである。

受験・就活・結婚なしの小泉進次郎は“一人前”でない
小泉進次郎を欠点のない政治家とか誉める人がいるが、受験や就活も結婚もしたことない人間が、一国のリーダーが務まるのであろうか。 小学校から大学までエスカレートで受験の苦しみも経験せず(横須賀に近い横浜市の関東学院。青学とか明治学院に似た...

その後、滝川クリステルと結婚したので、2019年にその増補版を書いた。

(結婚発表増補版)受験・就活・結婚なしの小泉進次郎は“一人前”でない
かつて私は小泉進次郎待望論に対して、受験・就活・結婚という人生の三大苦労を経験してない彼には、「一国のリーダーが務まるのであろうか?」と問題提起をした。 もちろん、人生の苦労を一通り経験しないといい政治家にはなりえないとはいわないが、...

もうひとつは、彼が環境相しか閣僚ポストを経験していないことだ。国際交渉とか大きな組織のマネージメントの経験には向いてないポストだ。外務・財務・経済産業省といった大臣の経験が必要だ。

それから彼は皇位継承問題について、ほとんど語っていない。父親が安直な男女問わず長子優先で、旧宮家は排除という無責任な案を出して大混乱を招いた罪があるだけに、父親に配慮してもらっては困るのだが。

その経緯は、「系図でたどる日本の皇族」(宝島社)で詳しく書いた。

かつて私は小泉進次郎待望論に対して、受験・就活・結婚という人生の三大苦労を経験してない彼には、「一国のリーダーが務まるのであろうか?」と問題提起をした。

もちろん、人生の苦労を一通り経験しないといい政治家にはなりえないとはいわないが、やはり、普通には苦労は人間を強くするし、普通の苦労をしていない人間は、何かしら書けているものがあると思う。

そういう意味で、エスカレーター式の学校で小学校から大学まで過ごし、まっとうな就職もしたことないし、結婚もせず子育てもしていないのはいかがなものか、そうした経験のあと、大臣や総理を目指せばいいと書いた。

そうしたところ、なんと滝川クリステルさんとご結婚、妊娠ということで、まことにめでたい限りだ。

もっとも、ご両人とも、もう少し早く結婚してくれたらよかったとは思うが、いずれにしても、知的にもヴィジュアルでも素晴らしいお子様の誕生を期待したい。

また、小泉氏は、大学ではそれほど勉強しなかったが、アメリカのコロンビア大学に留学して、まじめに勉強したといっているし、英語も演説も会話も非常に上手だ。

滝川さんはパリ生まれのハーフだが、フランス語族としては、それも非常にうれしい。国籍は存じ上げないが、国籍選択はしているものと信じたい。

ときどき、好感度の高い有名人が二重国籍だったりすると二重国籍を認めろとか言う人が出るが、一般論として制度を論じるのに、たまたま、一人の該当者のイメージの善し悪しでいいとか悪いとか言うのは最低だし、政治家の関係者なら好ましくないが特権を認めることになる。二重国籍を認めるのはしばしば二人分の権利と一人分の義務をつくりだす新自由主義的発想だ。

小泉進次郎を欠点のない政治家とか誉める人がいるが、受験や就活も結婚もしたことない人間が、一国のリーダーが務まるのであろうか。

小学校から大学までエスカレートで受験の苦しみも経験せず(横須賀に近い横浜市の関東学院。青学とか明治学院に似たカラーの温和なミッション系だ)、就活も宮仕えして組織で働いたこともなく、結婚も子育てもしていない。

もちろん、いずれは良いパートナーと出会い、家庭を築かれるのだろうと思うが、要は、普通の人が人間として悩み成長していく上で必要な苦労を経た経験がゼロの人間が良い政治家になれるのだろうか?私は普通には難しいと思う。

同じように才能はあっても安倍首相が第一次内閣でもうひとつだったのも、一般的なライフステージで向き合う試練や困難を経た経験が少なかったことに原因があったと思う(学校も小学校から大学までエスカレーターであり、就職も独力だったのか疑問が残る)。

小泉進次郎は、両親が離婚して祖母と叔母に育てられたわけだが、お祖母ちゃんや叔母さんは、母親よりは甘い。それで素直に育つこともあるが、やはりデメリットもそれなりにあるのではないか。

もちろん、「こういう経験がないとダメだ」とまではいわないが、普通にはそれなりに苦労したほうが、人間は強くなるし、危機にも強くなる。かつて、EUの父と言われるジャック・ドロールは「どん底の生活の経験がない人は、リーダーに向かない」と述べたこともある。

小泉氏は、これから、難しい仕事をして、挫折も経験し、恥もかくべきだ。特に、海外で厳しい試練を受けるべきだ(海外留学の経験はあるが、政治家の仕事として)。ダボスで演説するのもよし、外国との交渉を経験できる閣僚もよし、そういう仕事のなかで真価が問われ人間が磨かれる。人事も経験すべきだ。

内閣改造で小泉進次郎は国際交渉ができるポストに就け

内閣改造で小泉進次郎は国際交渉ができるポストに就け
遅くとも8月に行われるであろう内閣改造の焦点は小泉進次郎を重要ポストに就けることだ。そのことは、安倍首相にとってはイメージにおいて決定的な意味を持つだろう。それに成功できるなら、一日も早く改造すべきだ。 一方、小泉は、①組織を...

遅くとも8月に行われるであろう内閣改造の焦点は小泉進次郎を重要ポストに就けることだ。そのことは、安倍首相にとってはイメージにおいて決定的な意味を持つだろう。それに成功できるなら、一日も早く改造すべきだ。

一方、小泉は、①組織を持たない担当大臣でなくきちんとした省庁をもった大臣、そして、国際交渉を経験できる大臣を要求すべきだ。

安倍首相は官房長官だけで首相になって失敗した。かつて、田中角栄は党三役のうちふたつと、外務・大蔵・通産のうち二つをつとめることを総理の条件としたが、これは「真実」だ。

特に、閣僚で官房長官とか行政改革担当とかは、組織の長でないからダメだ。言わば、一橋慶喜が藩主経験がないまま将軍になったようなものだ。

また、厳しい国際交渉を経験することも、一国のリーダーとして必須の経験だ。そこで失敗するようなら、さしあたって、総理なんて無理だ。むしろ悔しい目をある程度はしたほうがよい。

いまの小泉ならどんな条件でも出せるのだから、この二点を譲ってはダメだと思う。