で、選挙の行方はどうなるのか?

兵庫県、斎藤知事のニュースは食傷気味ですが、腑に落ちないのは知事があそこまで頑なに知事辞任を否定している点です。単に辞めたくないというのではなく、絶対的信念で自分が間違っていないという自信を持っているように感じます。おねだりの話は私的にはくだらないのでどうでもいいのですが、自殺した元職員の件に関する見解の相違はあると思います。死人に口なしですが、元職員は意見を陳述する機会を与えられたのになぜその直前に死を選んだのか、私は不思議でしょうがないのです。その件を取り上げる人はあまりいないようでしたがどうなんでしょうね?知事の肩を持っているわけじゃないですが、報道がエキセントリックすぎるように見えます。

では今週のつぶやきをお送りします。

で、9月の相場はまだ荒れるのか?

北米市場だけ見るとご都合主義的解釈で相場が右へ左へ揺れ動いている、そう感じます。今日時点で全ての行方は来週のFRBの政策決定にかかっています。金利が下がるのはほぼ確定しており、それが0.25%なのか0.50%なのかの見解が市場で日替わりメニューのように変わるのです。トロントの証券マン氏から「お前はどう思うのか?」と聞かれたので「市場の期待が年内1.25%の利下げ幅なら年内あと3回しかないFOMCで2度は0.50%の利下げが必要。ならばそれを先にやるか、後にやるかその違い。私は0.50%下げてもおかしくないと思う」と返しました。

仮にFOMCが今回0.25%しか下げないと強烈な催促相場になり、株価が一時的に下落する公算があります。ただそれは絶好の買い場になるでしょう。一方「9月の魔物」は過ぎ去ったのかという点は私の頭の中ではまだ解消していません。なにかもやもやするものが残っているのです。そしてたぶん、市場もそれを感じている、だからこそ、消去法で金(ゴールド)が買われているとみています。

金は今日も史上最高値をつけ、ついに終値ベースで2600㌦台にのせました。ではこれが買われ過ぎなのか、という質問については「愚門」とお答えします。なぜなら金は仮想通貨と共に価格の論理性が乏しい商品なのです。なので仮に金が将来1万ドルをつけたとしても「へぇ、そうなの」でしかないのです。少なくともアメリカの金利が下がるドルが弱くなり、ドル建て表記の金の価格が上がるのは自動的な計算で出てくるし、基軸通貨という思想がここに来て新たな局面を迎えるところになるかもしれないので魔物がいるなら金でも買っておくか、ということかと思います。

で、選挙の行方はどうなるのか?

自民党総裁選で各氏の主張が不思議なんです。自民党の改革を訴える候補者が多いのです。小林氏、小泉氏、高市氏は明白に訴えています。茂木氏も半分そうです。今回は自民党のみそぎであることはわかるのですが、それは党の内部の規律と規範、よってそれは幹事長を中心とする党幹部が中心となって大改革をすればよいと思うのです。総裁は最終的責任はありますが、政権与党としての仕事を全うしてもらいたいのです。自民党改革を唱える方々は幹事長の席を目指しているのか、とも思われても仕方がないでしょう。

石破氏・河野氏・小泉氏・高市氏 自民党HP/各氏SNSより

それとメディアはもう解散総選挙の日程の話題を挙げています。そんなものなのでしょうか?小泉さんはすぐに解散総選挙をやるような話をしていましたが、100日のハネムーン、つまり3か月ぐらいは総裁としての手腕を見せてほしい、そうでないと良いか悪いか誰も判断ができないのです。個人的にはお願いだから今年の解散総選挙だけは止めてほしいです。

おまけですが、アメリカの選挙もよくわからないです。双方が勝ったと言っているのです。市場はハリス氏に軍配を上げたように見えます。討論会翌日はトランプ銘柄が下落、ハリス銘柄が上昇しました。ただ、ハリス氏の経済に関する主張は弱かったと思います。私が以前から気にしていた通りです。現在の政権に対する不満、つまりインフレ、生活水準、格差問題、更に今後は失業率の若干の悪化が見込まれる中、政権与党にとって逆風であり、他国でも政権交代やそれに近い状態が起きています。その線から推察するとこの選挙の行方はまだまだ分からないと思います。

で、日本製鉄のUSスチールの買収はどうなるのか?

これもあまりにも政治的になりすぎたと思います。ボタンの掛け違いもあります。当のUSスチールの従業員は日鉄による買収に賛同を示している人も多いとされます。ところが大統領選の最中、労働組合を敵に回せない大統領候補たちは「国家安全上重要かつ労働市場を守るためにもUSスチールはアメリカの会社であり続けるべきという組合の代弁者となったわけです。

ところが当のUSスチールは仮にこの買収が認められなければ厳しいリストラを余儀なくさせられると述べており、大統領と組合は労働者を守るのではなく切り裂く方向に着々と進んでいるのです。ここでバイデン氏が柔軟な姿勢を見せたという真偽不明の情報が出たようですが、バイデン氏は大統領候補者ではないからより中立的な立場に戻せる唯一の現職大統領ということになります。選択肢としては大統領選が終わるまでいったん買収案を取り下げるというのもあるようですが、それは愚策だと思います。そうではなく決定を先送りする手法はあるかもしれません。対米外国投資委員会(CFIUS)の決定は早ければ9月23日ともされます。

個人的には日鉄の買収はありだと思います。とすればセブン&アイのカナダ社による買収もあり、ということになります。財務省が外為法上の「コア事業」に認定したと報じられています。ただ、これは買収阻止ということでもなさそうで報じられているようにカナダ社が買収額を真摯に検討し、あと1-2兆円積み上げれば決まりになります。私が勝手に想像していた三井物産によるホワイトナイトですが、別記事で同社のCFOが同社の成長戦略として投資用資金を5兆円程度使えると述べているのでまさか他の事業を全部諦めて更に何兆円か積み上げてセブン救済買収をするのは体力的に難しそうです。となれば国境なき買収合戦が今後もしばしば起きるという覚悟はいよいよ日本でも本格化すると思います。

後記
チャールズIIIのCornation Medalを私の周りで2人授与され、その祝賀会に参りました。(授与された人は英国が40万人、カナダが3万人だったと記憶しています。)1人はインドネシアコミュニティを通じて、お1人は台湾系ながら教会の牧師としての長年の活躍をたたえられたものです。日本人、日系人の受賞はなかったと理解しています。日本は経済的に躍進したのですが、世界レベルで見るコミュニティ活動や社会貢献では一部の方の活躍は存じ上げていますが、組織力や草の根的見地からはかなり遅れていると言わざるを得ません。日本人はやや無関心主義が他国に比べて強いかなと思います。世界で活躍するにはビジネスだけできても評価は低いのです。そこを多くの海外在住の日本人ですら気がついていないのは残念なことです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年9月14日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。