エミー賞最多栄冠に輝く真田広之氏の偉業

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今回のエミー賞で史上最多の18部門で栄冠に輝き、世界的に注目を集めた「ショウグン」。同じ原作に基づいた1980年の三船敏郎、リチャード・チェンバレン、島田陽子が出演した作品を思い出さずにはいられません。当時、島田女史は全米で大変な人気を博し、間違いなく「アメリカで最も有名な日本人女優」としての地位を確立しました。

しかし、「ヨーコ・シマダ」という名前が「邪(よこしま)だ」と聞こえたため、放送中に少し違和感を覚えた記憶があります。

一方、三船敏郎氏は当時も、そして現在でも「世界の三船」として君臨しています。ロサンゼルスのリトル東京で毎年開催されるパレードで主賓を務めた際、簡単なインタビューをさせていただいた記憶がありますが、その堂々たる姿は今でも鮮明に覚えています。

また、30年近く前にハリウッドで活動していた真田広之氏を思い出します。今回のエミー賞での受賞は、彼と関係者全員にとって大きな栄誉であり、心からの祝福を送りたいと思います。

真田氏はロンドンでの活動を経て、20年くらい前の「ラストサムライ」頃から本格的にハリウッドへ進出しました。しかし、その前からも彼はハリウッドに顔を出し、千葉真一氏という偉大な先輩と共に、日本の存在感を国際的に高めるために計り知れない努力を続けてきました。

その努力は、NY9.11の現場でお会いした渡辺 謙氏とは別の形で見せた、独自の取り組みとして記憶に残ります。特に30-40年くらい前のハリウッドでは、日本や中国の区別すらつかず、アジア人が一括りにされることが一般的でした。ブルース・リーでさえ「グリーン・ホーネット」では、白人主人公の脇役に甘んじていた時代です。

真田氏と千葉氏は、そのような状況を変えるために奮闘しましたが、出演する作品で失望することも多かったでしょうし、時代考証を求めてもほとんど無視されることが一般的でした。しかし、今回の「ショウグン」では、真田氏は単に俳優としてだけでなく、プロデューサーとして制作全体に影響を与え、時代劇を中心とした日本の文化が可能な限り正確に描かれるよう尽力しました。

さらに、ここ10年ほどでハリウッドの白人優位に対する批判が高まり、少数民族や女性のアカデミー会員が増えるなど、大きな変革が進んできました。その結果、「パラサイト」や「イカゲーム」、さらには「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」といったアジア系作品が評価され、アカデミー賞やエミー賞を受賞するまでに至りました。(中国や韓国に比べて日本は出遅れたという声もあった。だから今回の快挙はさらなる意味をもつ)

この流れに対して、保守的な勢力やトランプ氏などは「左翼化」や「リベラル化」の行き過ぎとして強く批判していますが、その中でも「ショウグン」は真田氏や千葉氏が追求してきた「正統性」が高く評価され、数々の賞を受賞する結果となりました。いまや天国の千葉真一氏も、この成功をきっと喜んでいることでしょう。

また、主演女優賞を受賞したアンナ・サワイ氏についても触れておきたい。彼女は「日本人初」として報道されていますが、実際には日本国籍を持っているかどうかは確認されておらず、彼女自身は日系ニュージーランド人、つまり「キウイ」として認識されています。キウイはあのビタミンC豊富の果物や、翼が退化して飛べない鳥だけではなく誇り高いニュージーランド人を意味します。サワイ氏はニュージーランドで生まれ、香港などを転々とした後、日本で芸能活動をスタートさせた。彼女の歩みは、まさに国境を超えた活躍を象徴するものです。

父親は電気関係の仕事で海外を飛び回った。その関係もあり、サワイ氏は10歳くらいから日本の横浜に住み始める。ピア二ストの母親の影響もあり、芸能関係の仕事を始めた。その時の体験を彼女は米国メデイアで話をした。

この「ハリウッド・レポータ―」は、30年くらい前に訪問取材したが、非常に信頼できる地元メデイアです。

https://x.com/i/status/1797916436158890490 

このインタビューでサワイ氏は言う。

「私は日本でしばらく働いていて、同意することが業界では大切と教わってきました。”必ずハイと答えなさい。実際に思っていることは言うな。私たちを信用してね”、、、。私自身がやりたいことを言えるようになった。声に出せるようになったのはここ数年です。とても新鮮な気持ちです。だってチームから”あなたはどうしたいの”と聞かれて、”私ってね、言ってもいいの?”、、、、長い道のりでした」

言いたいことが言えない日本。「周りに合わせなさい」

日本にいるとあまり意識しない。気が付かないこと。永遠に続く「同調圧力」。日本の国際競争力を損なうと思われます。

この日系ニュージーランド人、サワイ氏の前にハリウッドで活躍した元日本人、辻一弘氏。彼は日本の徒弟制度や言いたいことが言えない日本の環境が嫌で日本を飛び出した。そして人種差別と戦い、努力に努力を重ねてメイクアップでアカデミー賞を取った。彼はカズ・ヒロと名乗り、日本人扱いされることに抵抗感を示す。

サワイ氏もカズ・ヒロ氏と同じように、日本を飛び出してハリウッドで成功しました。

サワイ氏。いまだに日本国籍は確認できていません。

また日本人でない人を、自慢げに「日本人」と、報道する日本メデイア。

ノーベル賞受賞者も同じです。研究のためなどで、米国籍を取得した日本人。彼らから明治時代の法律で、日本は日本国籍をはく奪します。

そしていざその人がノーベル賞を取ると、その時の報道では、「日本人が、やった、、」と、メデイアは自慢げに報道する。

ノーベル賞に輝くプリンストン大の眞鍋 淑郞博士。最初は「日本人がまたノーベル賞!」という報道をみて、違和感を表明。彼も研究のために米国籍を取得した結果、狭量な日本国法で、日本国籍をはく奪されている。現在は「日系米国人1世」になった。

彼も「日本では言いたいことが言えなかった」と述懐している。

今回真田氏が、30年近く血が滲むような努力をして、ハリウッドなど世界に本物の「日本」を理解させた。日本の国際化をさらに一歩進めたと言えます。それに比べて、明治時代の法律をいまだに抱えて、国籍の重要さ、国際化とは何かをあまり理解できない日本人が多いことには戸惑いを感じます。