はてなブックマーク(はてブ)というサービスをご存じだろうか。利用者はどこのサイトに載った記事でもクリップして、コメントをつけることができる。他のユーザーが同じ記事につけたコメントも、一覧形式で読める。
コメント欄のない(か、利用者が限られる)記事に対しても、感想を寄せることができる便利な機能だが、実際には気に入らない著者の記事を晒して、罵声を浴びせる目的でも悪用される。2018年には、逆恨みによる殺人事件のきっかけにもなって、社会を騒然とさせた。
で、先日このnoteに書いた記事にも、はてブでコメントを寄せる人たちがいて――
思わず笑ってしまった。まず私はミソジニー(女性憎悪)ではないし、そもそもSNSをやっていないのだから、「キャッキャ」もなにも「ファンネル」を集めようがない。
「モノ言う女」云々も意味不明だ。もし私にそんなアレルギーがあるなら、自分の著書では『過剰可視化社会』で磯野真穂さん、『2035年の世界地図』(共著)で市原麻衣子さん、『ボードゲームで社会が変わる』(共著)で三宅香帆さん・小川さやかさん・三牧聖子さんと、いずれも社会に向けた発信で名高い女性の有識者と共演していることは、どう説明するのか。
今年に限っても、雑誌で石井妙子さん、岩間陽子さん(座談会)、勅使川原真衣さんと対談し、磯野さんに誘われたシンポジウムで重田園江さんと共演したことは、同じくnoteで紹介してきた。
これでもアレルギーだと言われるとなると、世の平均的な男性識者は、毎日のように女性の論客と対談してるみたいですね。ぜひ見習いたいので、そうした男性のお名前を、具体的に教えていただけるとありがたい。
それはともかく、この「www6」氏のコメントはちょっと面白い。彼(彼女?)は勝手に私をミソジニストのように見なす一方で、「個別に見ると言うことは間違ってなかったりする」(原文ママ)とも書いている。
要するに、こういうことだ。
與那覇は、ネットで有名な「モノ言う女」(原文ママ)とよく論争しているが、そこで言っている内容は、女性の側ではなく與那覇が正しい。
はい。そうなんです(笑)。それに問題を感じるのは、ネットで男女間の論争があったら常に「モノ言う女」(原文ママ)の側が勝つべきだとする特殊で偏った価値観の持ち主だと思うんですが、違うのかしら。
安易に他人を「女性アレルギー」のように呼ぶのは、名誉毀損に問われうるからやめた方がよいが、そうした「ミソジニー」概念の濫用にも、思わぬ副作用がある。上記のとおり、論争で正しいのが男性(この場合は與那覇)の側だったので、その件に関するかぎりは「自信を持って批判対象にしてよい女性」が誰かを、広く世間に知らしめてしまうのだ。
上記のnoteで批判した東野篤子氏のほかにも、私はネットで「モノ言う女」(あくまでも原文の表現です。私がそう思っているのではありません)と論争したことがあり、このときも私が正しかったので、途中から本人が沈黙し「モノ言わなく」なった事例は、以前ご紹介した。
ところがその方、相変わらず私には何も言ってこないのだが、別のところにはモノ言いまくってるらしく、近日も自らが炎上する最中に事実誤認(自身を批判した文章の誤読)を犯し、そう指摘する記事を被害者に書かれても削除させたりしているようで、逐一通報が私のnoteにまで届く。
その方は以前から、他にも削除要請を繰り返してきたことで有名で、実際に民事訴訟も起こしているが、私はいまも「ゼロ文字削除・ゼロ弁護士書簡」である(微細なミスについては、むろんきちんと訂正を出した)。SNSの口喧嘩に意味があるとは思わないけど、「レスバに強い」っていうのはたとえば私に使うべき言葉なので、負けた人に使うのやめてくださいね?(苦笑)
率直に言って、その方がやらかすごとに「さえぼう110番」のように私のnoteに通知が届くのには(記事が引用されるため)、食傷気味だ。結果として、論争で男性に完敗済みの「モノ言う女」(原文ママ)は誰なのかが、マジモンのミソジニストも含めたネット社会中に知れ渡り、射的の的のような扱いをされるのも、フェミニスト批評に照らしてよくないと思っている。
そうは言っても、「ミソジニーファンネル集めてキャッキャ」「「モノ言う女」への強烈なアレルギー」(ともに原文ママ)など、事実無根の不当な中傷をされて、黙っているのもおかしな話だ。
こうした状況は、どうすれば終わらせられるか。前からお伝えしているが、答えは明白である。
論争において「正しかった人」をきちんと評価し、「間違えた上に、その間違いを誤魔化そうと中傷行為に出た人」をしっかり罰することだ。そうした(よい意味での)歴史の修正が行われるまで、何度でもこの話は蒸し返されますから、はてブユーザーのみなさんもそのつもりでどうぞ。
(ヘッダーのイラストは、ウィリアム・テルで検索しました。このお話では、射的の的は女の子でなく男の子ですね)
編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2024年9月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。