“読書離れ”が進んでいるというニュースがありました。本を1か月に1冊も読まないという人が6割を超えたという調査結果を、文化庁が公表したのです。1か月に読む本の数を尋ねたところ「読まない」が6割を超え、過去最高となりました。
いまは、活字離れの傾向が著しいと指摘する識者がいます。その根拠に、多くの調査結果では「本を読まなくなったこと」「出版不況」を活字離れの理由にしていますが、このような解釈には違和感を覚えます。
スマホで音楽を聴くときは別として、ゲームやマンガ、雑誌などは活字を多く含みます。文字を読まなくなったわけではありません。つまり、活字離れをしたわけではなく、活字媒体の利用状況が変化していると考えたほうがわかりやすいのでしょう。
活字媒体の利用状況は、時代とともに変化しています。かつては、書籍や新聞が情報収集や娯楽の中心的な役割を果たしていましたが、近年ではインターネットやスマートフォンの普及により、動画や音声などの非活字媒体の利用が拡大しています。
そのため、活字媒体の利用時間が減少しているように見えるかもしれませんが、必ずしも「活字離れ」が進んでいるとは限りません。
また、活字媒体は、情報を正確かつ客観的に伝えることができ、思考力を養うことができます。学校や仕事の現場で活字が使われなくなることは考えられません。
活字媒体の利用状況は変化しているものの、活字媒体の価値は変わらず、人々の生活に欠かせない存在としてあり続けているのです。
いまから30年前、スマホはおろか、ケータイすら普及していない時代がありました。PCすら普及していない時代でも、生活に不自由さは感じませんでした。
私たちは、これらのツールが普及するとともに、時間を割り当てるようになりましたが、これからは、読書の時間を割り当てればいいのです。活字離れなどは発生していません
スマホ時間を減らすことで、本を読む時間に充てることができます。活字媒体は非活字媒体と比べて情報の正確さや思考力の向上に優れており、時代に関係なく価値があるものだと考えます。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)