将来への不安や生きづらさを感じることはありませんか?
今回紹介する著書では人生に必要な能力として、「整える力」「レジリエンス(力)」「コントロール力」「つながる力」「読解力」「好奇心」「アウトプット力」の7つの能力が挙げられています。この中から、「レジリエンス力」を高めるヒントについて解説します。
「19歳までに手に入れる 7つの武器」(樺沢紫苑著)幻冬舎
[本書の評価]★★★★(80点)
【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
ミスマッチで早期退職
「一流大学を卒業して、一流企業に就職すると幸せになる!」と、親や教師などから言われ、本当なのかと疑問に思ったことはありませんか。樺沢さんは次のように言います。
「残念ながら、それだけで幸せにはなれません。こんな話があります。Aさんは、誰もが知る一流大学を卒業しました。そして、競争倍率数百倍の超人気企業に就職しました。本人も周りも、前途有望、順風満帆な人生を確信していました。しかし、Aさんは入社1カ月目で、ちょっとしたことを上司から指摘されます」(樺沢さん)
「厳しく叱られたわけではありません。ただ、それまで親にも教師にも叱られたことがなかったAさんは、精神的にショックを受けてしまいます。次の日から出社できなくなり、そのまま1カ月後には、退職願を出し、会社を辞めることになりました」(同)
これは、作り話ではなく実話だと、樺沢さんは続けます。
「新入社員が、メンタルダウンして、すぐ辞めてしまうんです。先日、大手証券会社で、入社したばかりの新入社員を対象にメンタル研修を行ったのですが、研修担当者がこう言います。毎年100名採用しますが、2、3人は1年目でメンタルダウンして休職、退職してしまいます。何とかそれを減らしたいんですよ」(樺沢さん)
「1年目でメンタル疾患になって、会社を辞めてしまう。次の会社でうまくいけばいいのですが、一旦メンタルを病むと、なかなか簡単には治りません。なぜそんなことになってしまうのか?それは、レジリエンス力が低いからです。レジリエンス力が低ければ、社会人として生きていくことは困難です」(同)
レジリエンス力とは何か
例えば、性別で見ると、男性は劣等感が強く、過去の「失敗」や学歴を引きずってしまう傾向にあります。特に男性の場合、恋愛で失敗(失恋)すると、男としての能力が低いと見なされることがあり、劣等感が強い男性ほど、立ち直るのが難しくなります。
男性は、物事の「プロセス」よりも「結果」を重視するといわれており、仕事で失敗すると引きずってしまい、長期間落ち込んでしまいがちです。1つの結果がダメだったら、すべてが台無しと考えてしまうため、これでは物事に柔軟に対応することはできません。
一方、女性は、「プロセス」を重視する傾向にあり、過程における感情を揺さぶられる経験の方に意味を見いだします。仕事やプライベートで思うような結果を得られなくても、それらの過程で素晴らしい経験をすれば、必ずしも失敗だとは考えません。
なお、男性は女性よりも論理的に物事を考える傾向にあり、困難にぶつかったときに冷静に自分を見つめ直すことができれば、過去の失敗から学ぶことができます。人生において、失敗は誰にでもあることや、人生はいくらでもチャンスがあることを理解するのです。
いずれにしても、「悪い出来事に遭遇しても、気持ちをすぐに切り替える」「結果だけでなく、プロセスも大切にする」「論理的に物事を考える」の3つができるようになれば、レジリエンス力が高まるといえます。
自分の日々の思考パターンを見直し、悪い部分を改善してみてはいかがでしょうか。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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