万世一系・皇位継承について深田萌絵さんの質問に回答

深田萌絵さんの政経プラットフォームの動画で「皇室問題とは何か?」という話をしたので、是非ご覧頂きたい。いわゆる、皇室問題のさまざまな面について、深田さんの質問に答えている。

まず、皇室について、日本人はあまりにも知らない、知識がないということを申しあげた。テレビでも主要紙でも腫れ物にさわるような扱いで、情報源はほとんど週刊誌とSNSにたよるしかないし、また、この両者のいい加減さといったらない。

そんなことで、前者の普通の人は崇敬はしているが何も知らないし、後者の野次馬的な人たちは自分の贔屓の人を褒めるか貶すかだけだ。

ともかく、この問題に少し関心を持つ国会議員やジャーナリストですら、基礎的知識に乏しい。

また、専門家といっても宮内庁につとめていた人の中で元同僚たちの冷たい目を気にせずに例外的に在職中のことを語る人、短期間、宮内庁担当だった人などいるが、その人たちは公式報道からあまり踏み出さない。

神道系の皇室専門家も多いが、象徴天皇の問題を神道の、しかも正統派とは思えない独自解釈で語られるのは、国民全体の問題として考えたい立場からは迷惑なことだ。

歴史学者とか社会学者は、皇室制度を批判的に捉えるために仕事をしているので、これも憲法できちんと位置づけられているものの扱いとしては、制度への批判としての御意見を聞き置く以上のものにはならない。

また現実の憲法や皇室典範に定められた制度の運用の問題として、きちんと論じている人が正しいかと言えば、週刊誌やSNSで報じられているようなテーマについての現実を知っているわけでないので見当外れが多い。

特に、制度論を論じる前提として固有名詞レベルの議論ができない人がほとんどだ。そんな中で、安倍元首相は、固有名詞レベルの知識に基づいた議論ができる人だったが、それを継承する人は少ない。

そういう前提で、どうしても知っておいてほしいことを説明したのが、この番組だ。

まず、『万世一系』とは何かだが、その基本は、4世紀の崇神天皇による大和・さらには本州中央部統一と仲哀天皇・神功皇后による全国統一で創始された日本国家において、王朝交代はないということだ。さらに、崇神天皇の王国は、9代前の先祖である神武天皇とのちに呼ばれるようになる人物が、宮崎から大和にやってきて創始したものだということだ。

『日本書紀』の記述は、古代の天皇の寿命が長すぎるので、これを合理的な長さに修正すれば、中国の史書、好太王碑などと矛盾はなく、王朝断絶がなかったと断言はできないが、とくに嘘だろうという根拠もない。

男系男子の継承が未来永劫続けられないなら、皇室制度は意味がなくなるのかというほどではないが、一般に、世襲君主制は従来の継承原則に沿っているのが正統性の基本なのであるから、必要もないのに変えるのは、権威を損ない国家統一を危機にさらすことになるのは歴史が証明している。

たとえば、神聖ローマ帝国の皇帝を独占していたハプスブルク家は、女子のマリアテレジアに継がせたことから弱体化し、プロイセンにドイツの盟主の地位を奪われ、ハプスブルク家の支配地はドイツから離脱した。

現在、政府が進めようとしている案は、悠仁さままでの継承は既定路線としているが、これは世界の常識として当然のことである。ヨーロッパで男子優先を様々な形で緩和しようという動きがあるが、すでに生まれた子については、従来の原則によるということになっている(スウェーデンのみ三子である弟に姉が優先したが、これは、生まれる前から議論して一歳半までに変更したので、すでに成人している悠仁さまの地位を議論する場合の参考にならない)。

ただ、悠仁さまに男子ができなかったときのためにも、男系男子の旧宮家の子を現在の皇族の養子にする、また、愛子さまや佳子さまをご本人だけ結婚後も皇族身分を保持してもらうことで、場合によってはその子孫も皇位継承の候補者とする余地を残すというこというものだ。

この旧宮家か女系も認めるかという点は、国民のあいだでも意見が分かれるが、悠仁さまのあとが続くなら問題がないのだから、無理に決着をつけずに両方の可能性を残して将来の世代が決めればいいということだ。

また、旧宮家といってもそれほどの数がいるわけでないし、女系を認めたところで、現皇族の悠仁さま、佳子さま、愛子さまというたった三人の子孫が確実に続くことは保証の限りでないので、私は両方の可能性を保持していいのでないかと思う。

また、旧宮家のうち四家は、明治天皇の女系子孫であり、東久邇家はあわせて昭和天皇の長女の子孫であって、しかも男子の数も多いので、現皇室との距離はさほど遠いわけではない。

また、悠仁さまに男子がいない場合の皇位継承の候補となるのは、皇族の養子となる悠仁さま世代の子どもや孫なので、生まれ長良の皇族となる。

また、佳子さまや愛子さまが結婚後、そのまま皇室に単独で残る案は、彼女たちの結婚の選択の幅を広める。

なぜなら、現在の制度では内親王の嫁ぎ先は、品位を保ってもらうために相当な富豪でないと負担が大変だ。

一方、結婚相手が皇族になるのだとすると、希望者が少ないし、また、希望するのは相当な野心家となる。しかし、結婚相手は皇族にならないなら、佳子さまや愛子さまは3000万円ほどの皇族費をもらえ、宮邸を赤坂御用地にあてがわれ、結婚相手は、名前も変わらなくていいし、自分の仕事を続けられるから、普通のエリート・サラリーマンや堅実な事業家、学者、医師などに広く相手を求められる。

それから、悠仁さまへの攻撃は、いつから始まったかというと、学習院幼稚園に行かなかったときからだ。ブランド力低下に焦った学習院OGなどによる悠仁さまの進路に対する攻撃は執拗で陰湿で、およそ悠仁さまの進学させたいような学風とは言いがたい。