自民党の小野寺五典政調会長はアジアにおける安全保障の仕組みを議論するためのタスクフォースを衆院選後に発足させることを発表しました。この新しい組織は石破首相の肝いりの構想である「アジア版NATO」の推進していくものと見られています。
【速報】首相、アジア版NATO構想の議論指示 https://t.co/uiC2clxLFn #ニュース #47NEWS #共同通信ニュース
— 47NEWS (@47news_official) October 10, 2024
この小野寺氏の投稿をどう解釈すべきか。文字通り読むのか行間を探るのか。「アジア版NATO」という言葉は登場しないのに、NATOの話が具体的に登場。「アジア版NATOはNATOと関係ない」と繰り返してきた身としては悩ましい。ともあれ、地域の安全保障のあり方を議論する必要があるのは当然。 https://t.co/S0uI3SYvYZ
— Michito Tsuruoka / 鶴岡路人 (@MichitoTsuruoka) October 13, 2024
石破首相が総裁選から主張してきた「アジア版NATO」ですが、インド・太平洋地域の同志国からの評価はあまり高くありません。
インド外相は石破首相が誕生すると即座に「アジア版NATO」構想は「共有しない」と言明しています。
石破新総理の「アジア版NATO」をインドのジャイシャンカル外相は「共有しない」と一蹴…
「彼は日本人だ。米国と条約を結んでいる国です」、
「我々はどの国とも条約を結んでいない。そのような戦略的な枠組みは念頭にない」。
「アジア版NATO」だと、インドはついてこない。https://t.co/wTfHNR34BA— ITO Toru 伊藤 融 (@itoToru1969) October 1, 2024
また、石破首相の外交デビューとなったASEAN首脳会議では「アジア版NATO」は封印されました。東南アジアの国々は海洋進出を進める中国を警戒していますが、あからさまな対中軍事同盟である石破氏が掲げる「アジア版NATO」には難色を示しています。
ASEAN各国、アジア版NATOへの根強い警戒…中国との関係考慮「受け入れるのは難しいだろう」https://t.co/kiRQyO0wZO#政治
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) October 11, 2024
米国の知日派の代表格であるジョセフ・ナイ氏は「アジア版NATO」が「実現不可能」だと断定しています。
アジア版NATO「実現不可能」 知日派重鎮ナイ教授 「中国の挑戦なくならず」 https://t.co/UaZYNbZcXM
ナイ氏は、アジア版NATOについて「理念としてはいいかもしれないが、インドが参加することはない」と明言。地域の重要な国々が受け入れると思えない政策で、実現は困難だとした。
— 産経ニュース (@Sankei_news) October 13, 2024
石破首相は「アジア版NATO」が対中抑止に役立つと最近では主張していますが、以前は中国を含めた同盟の枠組みであるという認識を示していました。
同氏の今回の論考では「中国を西側同盟国が抑止する」という集団防衛の機能として位置付けられているが、他の著作では、「私の考えているアジア版NATOは」…「『ぜひ中国も参加してください』というべき性質」(石破茂『異論正論』新潮新書、2022)とされており、概念は一見混乱しているようにみえる。
— 神保 謙 (Ken JIMBO) (@kenj0126) September 28, 2024
石破首相は「アジア版NATO」が「集団安全保障」の一種であるとしていますが、この概念は仮想敵を前提にしていません。石破氏の構想は脅威に対抗するために抑止体制であり、その仕組みを表す用語は「集団防衛」です。この石破氏の政治用語の誤用に対して、国際政治学者の皆様から指摘が入っています。
集団安全保障と集団防衛の混用は多く、政治用語としての集団安全保障がより広義なのは細谷さんご指摘の通り。石破氏の議論の不明な点はむしろ集団的自衛権との関係。集団防衛を集団安全保障と言い換えるなら、その中核は引き続き集団的自衛権の問題。実際、石破提案は多国間同盟のようですので。 https://t.co/OYLpG17Xxz
— Michito Tsuruoka / 鶴岡路人 (@MichitoTsuruoka) September 29, 2024
いろいろ注文を付けたい石破氏の「アジア版NATO」構想ですが、東アジア情勢が緊迫化していく中で、どのように地域の秩序を維持していくかが喫緊の課題となっています。その意味では石破氏の問題意識は的を得たものであり、同氏の提言をきっかけに既存の固定概念にとらわれない発想が出てくることを望みます。
中国を包囲するアジア版NATO構築、急げ!>台湾側には中国軍が双十節当日に演習に踏み切るとの見方が多かった。中国側が14日にずらしたのは、李強首相の外国訪問のタイミングを考慮した可能性がある。李氏はASEAN関連首脳会議に出席するため9〜12日にラオスを訪れた。滞在中に軍事演習をすれば、日本や… https://t.co/RFR0dgwYlm
— GOLDMAN (@act_of_death) October 14, 2024