セルフレジで騒ぐ「関わってはいけない人たち」

黒坂岳央です。

セブンイレブンやユニクロを始め、セルフレジが少しずつ普及している。筆者は旅行へよく行くのだが、最近では旅先のレストランでスマホ注文やセルフ会計も見る機会が以前より増えたと感じる。

そして時折、セルフレジに怒っている人を見ることがあってそのたびに残念に感じることがある。どうしてもわからなくて頼むのは、セルフレジシステム側の改善の余地もあるだろう。だが正直、セルフレジで怒って店員を呼びつけ、彼らに会計処理をさせる人たちとはあまり関わってはいけないと思っている。

SENRYU/iStock

「お客様は神様」思考

これまでセルフレジで怒る出す利用者を見てきた。彼らは一体、何に怒っているのか?その理由は「レジの操作がわかりにくくてイライラしている」というより「本来、店員さんが対応するべき会計処理をお客様にさせるとは何事か!」と捉えて怒っているようだ。

正直、これは昭和時代に置き忘れた錯誤と言わざるを得ない。人手不足が深刻な今、飲食店や小売店といった労働集約型ビジネスはあえて神様という単語を用いるなら、「店員が神様」に近いかも知れない。

経済産業省の発表によると、小売業界は全体的に活況である事がわかる。また、日本フードサービス協会が展開する「外食産業市場動向調査 令和5年年間結果報告」によると、飲食業界もコロナ前の2019年と比べて活況である。今や、インバウンド需要が旺盛であり高価価格帯の商品は飛ぶように売れ、どこのレストランも肌感覚で大変忙しそうであり時給を上げて採用にあたっている。

経済における需要と供給のメカニズムで考えれば、現況については利用者より店員さんの替えがコスト高になっている。そうなると店舗側としてはセルフレジで怒り出し、対応に時間と手間がかかる利用者は同じ神様でも「疫病神」だろう。

「お客様は神様」という時代はもう終わった。このタイミングで頭を切り替える必要があるだろう。

むしろセルフレジがありがたい

初めてセルフレジに触れる時は、誰しも操作に戸惑うことがあるかもしれない。しかし、慣れてくればむしろセルフレジの方がありがたい面も少なくない。

たとえばレジで新入りの店員さんが操作する時は、どうしても待たされたり操作を間違えたりすることがある。これは仕方がないこととはいえ、店員さん側のレジ打ちスキルで毎回会計処理の時間が変動するという不確定要素が生まれてしまうことになる。特に上述した「お客様は神様思考」の利用者の価値観だと、「早くしろ」と怒り出してしまう人も出て来そうだ。

しかし、セルフレジは操作や画面遷移の順番を記憶すれば、自分で操作するのが一番確実かつ早い。特にコンビニを利用する場面においては、「素早く目的買い」であることが多いので、素早さはレジ打ちしてもらうより早くなるのは明確なメリットだ。個人的には各店舗のインターフェースをできるだけ近くわかりやすくしてもらった上で、ドンドンセルフレジを普及させてもらったほうがいい。

セルフレジを当たり前にし、普通のレジ打ちに「代行手数料」をもらうようにすれば社会に浸透していくだろう。「客にレジ打ちをさせるなんてけしからん」とお説教を頂きそうだが、すでに携帯ショップは店頭サポートを有料化し、最初は反発があったが今では受け入れられている。こういった合理的なシステムはドンドン導入して、対応できない人を有料でフォローする方が社会全体の利便性が高まる。

セルフレジで怒り出す人に、積極的に関わってはいけないと感じる。操作に不慣れなのは仕方がないが、時代は変化していくものである。変化を拒む人に合わせては社会全体が遅れてしまう。特に現代社会は海外との関係も切り離すことができない時代であり、インバウンド需要が活況な今、セルフレジをはじめ合理的なシステムを取り入れてドンドン売って日本経済をまわしていく必要があるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。