衆院選が近づいていますが、自民が総選挙惨敗予測で「石破おろし」が加速するという報道が出ています。
この自民の不人気の状況は裏金問題だけではなくもっと根本的なものがあります。つまり有権者の不満を自民が十分把握できていないという点です。
岸田政権は安全保障に関してはよい仕事をやり遂げ、経済運営も他の国がかなり厳しい状況にある中では安定していたほうで「先行きを予測しやすい」という点では実はそれほど悪くありません。(つまり他の国は予測しにくいので不安定ということです)
しかしそのような状況でも国民は様々な不安を抱えておりそこが救いきれてないという点が自民不人気の最大の要因のように思います。
この構造はイギリスの保守党が先の総選挙で大敗し現在は労働党が政権を握っている構図と非常によく似ています。
イギリスは日本に比べるとコロナによる影響がはるかに大きく、日本に比べるとかなり厳しいロックダウンの影響で失業や倒産が多く、労働者が解雇されてしまったために多くの職場で人手不足に陥っています。
ロシアによるウクライナ侵攻で燃料が高騰したのもあり、インフレ率はやっと2%以下になったものの、最も高い時期は11%に近い状況で特に食料品や消費財の高騰が酷かったのです。
このような状況で生活苦に陥る人も少なくなく、保守党の介入が不十分であったという批判が高まっていました。
その一方で保守党は党内の人事やコロナのロックダウンのルールを破ったかどうかなどといった非常にくだらないスキャンダルで揉めていたため、国民がすっかり呆れてしまいます。
さらに各地で勃発した反イスラエルに対するデモは暴力的になる場合や、公道でユダヤ人の殺害を公言するようなものもあり、社会不安を抱えた人も少なくなかったのですが、「表現の自由を守る」という名目で、保守党は対処しませんでした。
さらに有権者の多くは興味が薄いLGBTQ+に関する政策を推進したのも痛手でした。
保守党は国民の要望に耳を傾けなかったのです。
さらに保守党の公約であった移民削減も達成することができず、規制を厳しくしたのにもかかわらず移民は増え続ける一方で、ボートに乗ってドーバー海峡を超えてくる自称難民に対する対処も非常に甘いものでした。
難民をルワンダに移送するという計画も二転三転し、結局止めてしまいますが、ルワンダ政府に先払いした莫大な運用費は戻ってこないままで無駄になりました。
年金問題、少子化対策、移民政策、氷河期の人々の救済策、非正規雇用に対する理不尽な状況など自民党が解決しなければならない課題は多くありますが、ここ最近の自民党というのはそのような重要課題は置き去りにして、LGBTQ+や移民導入に熱心で、裏金問題や党内の些細な人事問題に時間を割きすぎてきたように思います。
自民党はイギリス保守党の様になりたくなければ、有権者の声に耳を傾けるべきです。
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