さらば青春:青春18きっぷリニューアルについて

24日、鉄道マニアの間で衝撃的なニュースが走りました。

「青春18きっぷ」「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売について

毎年春、夏、冬の休暇期間中を中心に発売されてきた「青春18きっぷ」。鉄道ファンでなくてもその名前は知っているという方は多いと思いますが、この冬の分から内容が大幅リニューアルされるというニュースでした。

「青春18きっぷ」は1枚の切符で5日間、または最大で5人、JRグループの普通・快速列車の普通車自由席、BRT、JRの宮島航路を利用することができる切符でした

では今回のリニューアルで何が変わったのかというと、

① 自動改札機をご利用いただけるようになります。
② 「5日間用」に加え、新たに「3日間用」を発売します。
③ 有効期間はご利用開始日から連続する3日間または連続する5日間です

JRグループプレスリリースより引用

の三点です。

こんなローカル線に乗り放題なのが青春18きっぷの魅力。

①についてはこれまでの青春18きっぷは長尺の切符で自動改札を使うことはできませんでした。特に利用の初めには駅員から日付入りのスタンプをもらわなくてはいけなかったんですが、昨今無人駅や時間限定でしか駅員がいない駅が非常に多くなり、非常に不便でした。今回の利用から自動改札利用可となったことでこの点は便利になったと感じます。

が、自動改札は1人1枚切符を持っていないと通れませんね。これまでの青春18きっぷは、例えば3人で日帰り旅行をする際には1枚の青春18きっぷに3つスタンプを押してもらえば使えたのですが、これからはそう言った使い方はできず、3日間用、あるいは5日間用のきっぷを3人分そろえないといけなくなりました。

②について、これまでの青春18きっぷは5日間用しかありませんでしたが、新たに3日間用が発売されることとなりました。これはなぜなのかというと次の③のルール改正に関係します。

③ これまで、青春18きっぷは春、夏、冬の利用可能期間であればどの日でも使うことができました。例えば冬なら12月10日から翌年1月10日までの間なら12月10、11日で大阪に遊びに行って、今度は12月24日に名古屋に行って、1月1日に初詣に伊勢に行ってということができました。

ところが今回からは12月10日に利用を開始したら連続する5日間、すなわち12月14日までしか利用することができなくなります。学生や引退後の御老人であれば利用可能ですが、仕事のある方の利用は極めて困難になりました。おそらくその救済ということで発売されたの連続3日間用の青春18きっぷです。これなら有給を1日足せば3日間利用することが可能です。

ちなみに料金は5日間用で12050円と据え置き。新たに発売される3日間用は10000円です。

青春18きっぷは1日換算で2410円で全国どこでもJR線に乗ることができるのが魅力でした。しかしながら新幹線の開業にともなう並行在来線の第三セクター移管により信越本線、東北本線、鹿児島本線、北陸本線といった在来線の主要幹線が次々JRから切り離されその利用可能区間が大きく狭まって近年魅力が低下していました。

それでも1枚のきっぷを複数人でシェアできること比較的長い有効期間のなかで使う日を自由に決めることができることが魅力であったんですが、今回のリニューアルでそのメリットを2つとも失うこととなりました。

今回のリニューアルの理由はいくつかあると思いますが、大きくは先ほどの駅の無人化に対する対応、そして金券ショップに与条件を売られないための対策だと思われます。また利用可能期間を事実上短くして複数人が使うこともできなくさせたことで少しでも利益を稼ぎたかったのだと思います。

3日間用は秋に発売される秋の乗り放題パスと内容がほとんど同じで料金が高くなっただけという感。今後は秋のフリーきっぷが青春18きっぷに統合されて7850円から10000円になるのかもしれません。

青春18きっぷはわたしもこれまで何度となくお世話になってきました。何度青春18きっぷを使って普段行く機会のないローカル線を旅したかわかりません。

全国に点在する超ローカル線は青春18きっぷ発売期間中だけ満員になりますが、青春18きっぷの魅力が低下したことで今後はこのような光景も見られなくなりいよいよそういった線区は存在価値がないと廃止されるかもしれません。

国鉄時代の昭和57年に増収策として登場した青春18のびのびきっぷ。42年の長きにわたって多くの鉄道ファンに愛されてきましたが、時代が変わり長距離移動には新幹線に乗ってほしいJRにとってはさほどうまみのないきっぷになってしまったのかもしれません。それでも廃止にはならなかっただけいいのかもしれませんが、今後の動向を注視していきたいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年10月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。