人生が生きづらくなる!聞いてはいけないアドバイス

黒坂岳央です。

多くの人が「人生は生きづらい」と感じているのではないだろうか?一口に生きづらさといっても様々あるが、周囲やSNSを見ていて、ある「生きづらさ」を生み出す誤った教えがあるように感じられる。

それは「若い頃は仕事より遊べ」というものだ。確かに10代まで、学生まではその教えは正しいが、社会人になった後まで遊んでばかりで仕事をおろそかにしてしまうと一生、生きづらくなると思っている。持論を述べたい。

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人生のピークは20代まで?

日本、海外で行われた調査によると、人生の幸福度のピークは若い時期よりずっと後というデータがある。男女でも差があるが、概ね学生時代までで一度目のピークをつけ、その後は下落するものの60‐70代で二度目のピークが訪れる。

これは幸福度が下がる20‐50代までに起きている「仕事」を充実させることが鍵ということを示すデータだろう。実際、多くの人にとってもこれは実感の値とほぼ一致するはずだ。20代以降の働くほとんどの人にとって、一日の大半を仕事をしてすごし、自己肯定感や承認欲求、自己実現欲求など人間の欲求のほぼすべてが仕事で決まってしまう最大のインパクト要因になるからだ。

自分も過去、数え切れないほど言われ、未だにSNSで非常によく見るセリフに「若い頃に遊んでおいた方が良い。仕事が始まると人生は楽しくなくなるし遊べなくなるから」というものがある。このセリフは人生のピークは若い間で終わってしまう、という意味合いが込められているように感じる。だがこれを真に受けると一生生きづらい人生になりかねない。

仕事の充実は人生の充実

筆者は20代前半まで勉強も仕事もまったく頑張らず、有り金すべてを遊びに使い切る生活を送っていた。中学、高校は勉強を一切した記憶はなく、そのままフリーターになってもずっと遊び続けていたので、遊んだ時間は遥かに平均より長い。しかし、肝心の人生幸福度でいえば最低に近かった。その日暮らしのような生活をして遊びに全振りしても、特に後半は将来不安が凄まじく強くて心底楽しめなかった。

そこから心機一転して勉強や仕事にフルコミットするようにした。それ以降は30半ばで脱サラするまでほとんど遊んだ記憶なくハードワークをしてきたが、仕事の充実とともに人生が急に楽しくなったという感覚がある。今は10代、20代のどの時期よりも毎日が楽しい。10年後は確実にさらに楽しいだろう。その要因を自己分析して導き出された結果は、「仕事が充実しているから」ということに尽きる。

仕事が楽しいと一日の大部分の時間が楽しくなる。もちろん、課題や悩みは尽きないがそれも全部含めて、ゲーム感覚で攻略する過程が楽しい。少なくとも独立して、仕事が原因で憂鬱な気分になった記憶はない。仕事が楽しければ、その他の育児や家事、趣味や旅行などにも楽しい気持ちを持ち込めるので、毎日明るく過ごすことができるのだ。ストレスに感じる要素を完全に排除することで、人生はドンドン楽しくなる。

20代は遊ぶよりハードワーク

ワークライフバランスばかりが取り沙汰される今の時代、こんなことをいうのはなかなかはばかられるが、正直20代を遊びに使ってしまうのではなく、とにかくハードワークをするべきだと考える。

先にハードワークをして、人生の早い段階で仕事に必要なスキルや経験、実績を作っておくことで、同じ時間働くのでもそのリターンは誇張抜きで何倍にもなる。独立して仕事量を調節できれば、その気になれば数ヶ月旅行にいくことだって可能になる。

「体力は若い頃だけ」と言われているが、それは中年期以降にまったく運動をしなくなった人の意見に過ぎない。30代以降も毎日、しっかりと運動習慣を作れば、20代の頃より体力のある中年になることができる。

自分は毎日1時間半以上運動をして、定期的にパーソナルトレーニングをしているので、20代の頃より遥かに体力も筋力もついたという実感がある。旅行に行って2万歩以上歩いても全く疲れない。仕事も体力も充実していれば、遊びはいつでもできる。

しかし、ハードワークを通じたビジネススキルは、若い頃にしなければ後から取り戻すことはかなり難しくなる。若い頃なら未経験でも会社が可能性にベットして、企業側がリスクを取って挑戦させてくれる。その経験や実績を持って転職すれば年収や時間単価をアップできるし、独立することもできる。

だが仕事のスキルがほとんどない時期からワークライフバランスばかりを意識してしまうと、経験もスキルもない中年ビジネスマンになる。そうなると必然的に単価は低くなり、生きていくために長時間労働を余儀なくなれて遊びどころかWワークに追われることになる。しかもそれが一生涯続く。これは非常に生きづらい人生になってしまうし、そうした人の人生のピークは「学生時代まで」となってしまうのではないだろうか。

人生のピークを常に今に持ってくるためには、とにかく人生の大半の時間を過ごす仕事を充実させることに尽きるだろう。そしてそのチャンスは若い時期に落ちている。二度と戻らない貴重な若い時期を遊びにばかり使うのは、合理的ではないように思える。

「若い頃は仕事なんかより遊べ」というアドバイスは相手の人生の可能性を潰してしまう恐ろしいアドバイスだと思っている。自分は「一生楽しく、年をとってもたくさん遊べるように若い頃にこそハードワークしよう」とアドバイスしたい。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。