今回のアメリカ大統領選では、ドナルド・トランプ元大統領の圧勝でした。
しかしアメリカや欧州での社会の状況を実際に体験していれば圧勝は予測が可能で、複雑な分析も何も必要ないものだったと思われます。
2024年12月10日発売の『世界のニュースを日本人は何も知らない6』でも、アメリカの経済問題、欧州の右傾化、中国の驚くべき経済崩壊とネトウヨ化について解説していますが、国内メディアのみを見ていると実情はなかなかわかりません。やはり現地での体験とは大違いです。
私はアメリカにも留学していたので、友人や知人もいますが、バイデン政権はコロナの最中に補助金をまきまくってしまったために、アメリカは物の値段や賃金が上がりまくってしまい、インフレ状態で生活がかなり苦しいのです。
皆さんがニュースで耳にするように、例えばロサンゼルスドジャースのスタジアムで、ちょっとしたバーガーを頼むと1食分が3000円、沿岸部の都市部の1LDKのマンションの値段が2億円。私が通っていた大学の学費は90年代後半の6倍、大学院は4倍近くです。
U.S.Newsの調査によれば、インフレ率で調整したレートだと、アメリカ全土の大学の学費は2004年から2024年で41%、州立大学だと州外から入学した生徒の学費は32%増加、州内から入学した生徒は45%増加となっています。
これでは中流以上の親が苦しくなるのは当たり前です。なにせ給料がそれほど増えていないのです。
その上習い事は日本の2倍や3倍の値段。部活だってタダではありません。
アパホテルや東横INNのレベルのホテルの宿泊代が3万円や4万円。コンサートに行けばチケットは5万円。とにかく様々なものの値段の桁が日本と異なります。実はアメリカの物価は今や欧州の北部よりも高く、ドルが強いのもあって、欧州から遊びに行く人もいません。
仕事も作られておらず、都市部は犯罪も悪化。大学を出ても仕事がない。これでは生活不安になるのは当たり前です。
高い賃金を稼げる仕事はAI関係の技術職など非常に限られているし、金融もITも数千人単位の大規模なリストラ。高い学費を払っても仕事がないのです。
私のアメリカにいる元同級生や友人たちは公務員やサラリーマンなのですが、子供の学費をどうやって払うのかと悩みまくっています。老後資金だってありません。
日本に移住したがるYouTuberがいるのにも納得されるでしょう。
アメリカ労働統計によれば、アメリカでフルタイム雇用されている人の2024年第3四半期の年収の中間値は6万580ドルとなっています。貯め替が1ドル150円なら約910万円、1ドル120円なら720万円です。
https://www.bls.gov/news.release/pdf/wkyeng.pdf
厚生労働省の令和4年から令和5年の統計によると、に日本人のフルタイム雇用者の年収の中間値は約396万円だからアメリカの方が多いのですが、しかし物価が高いので実質的な生活レベルは日本のほうが上です。
このように経済が非常におもわしくない状況で、バイデン政権やリベラルの人々はLGBTQの権利保護や環境問題など有権者の生活を向上させるためには、直接関係のない事柄に熱心に取り組んでいたわけですから、呆れるのは当たり前です
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