今回の兵庫県知事選では、真偽の確認が難しい情報が錯そうした。
こうした中、斎藤元彦氏が当選したのは、多くの県民が、大胆に既得権益に切り込む行財政改革を進め、真に必要な行政サービスを拡充するとの情報を信じ期待したものだろう。
今後、斎藤知事が、兵庫県の行財政改革で大きく成果を上げれば、私としては将来の都知事候補として大いに期待したい。
鈴木俊一知事退任(1995年)後の都知事は、行財政改革に熱心に取り組んだようには見えず、兵庫県との税収の差を考えると、切り込むべき無駄が多くある可能性が考えられるからだ。
斎藤知事は今47歳、今後3期12年勤めてその後、都知事に就任することがあれば、兵庫県政で成果を上げた手法を用いて東京都の行財政改革に取り組むことができるだろう。
都庁幹部の退職者の現況を追跡し、再就職先の外郭団体や民間企業などを洗い出し、その外郭団体が真に必要な都民サービスを効率よく提供しているかどうか、民間企業については、都からの発注や補助金支出、許認可を通じて、超過利潤が生じていないか、適切に競争がなされているかを点検するなど、取り組むべきことは多々考えられる。
都政において行財政の効率化が後回しにされていることは、都民共有の財産である築地市場の経過においいて多くの支出、機会損失を生じさせていることからも十分に疑われる。
小池都知事が、就任直後に豊洲移転を棚上げしたことで、関係先への補償など、多くの支出がなされたが、結果的に2年遅れで移転されたことから、これら支出には疑問が残る。
当初、豊洲移転は、2016年11月を予定していた。この計画通りに移転され、解体工事や土壌汚染対策を実施し、並行して、跡地利用計画を練り上げていれば、今から6年前の2018年頃には新施設が着工され、都政には土地売却による収入あるいは貸付による地代収入が得られていたはずだ(都知事選直前の本年4月の開発素案や事業者決定のプレスリリースでは地代は100億円/年だ)。
オリンピック開催に際して仮設利用されていたことから、2018年の着工は無理だとの意見が想定されるが、当時(2016年)は小池知事と密月であったとされる小島敏郎氏を座長とする市場問題プロジェクトチームの築地のリノベーション案では、7年の整備期間で改修可能としており、オリンピック開催時の仮設利用は障害にならず、代替策が可能であったのではないだろうか。
斎藤知事は、2期目の就任をしたばかりで、その成果について今後注目されるだろう。
いささか気の早い話であるが、将来、より大きな行政組織である東京都で手腕を発揮することを期待する。
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中村 哲也
団体職員(建設分野)