「社会貢献」を語るビジネスパーソンほど信じられない理由

「社会貢献のためにこのビジネスをやっています」というビジネスパーソンの9割は“あまり積極的に関わるべきでない人”だと感じています。

ひねくれた見方だと思われるかもしれませんが、かくいう私にも、かつては「社会貢献」を語る人を無条件に「人格者だ」「素晴らしいな」と感じていた時期がありました。

しかしながら、コンサルタントとして様々な業種の方と会う機会が多くなるにつれて、実際に素晴らしい活動を行っているのは“社会貢献”を口にする人の中でもほんの一部だと実感するようになりつつあります。

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大半は社会に貢献などしておらず、以下の2パターンのいずれかにあてはまります。

  1. 表面上は「社会貢献」というフレーズでクリーンなイメージを保ちながら、裏では後ろめたい事を行っているパターン
  2. 社会経験が乏しく、人の役に立てる能力がないので、とりあえず「社会貢献を目指している」と語ることで認めてもらおうとしているパターン

2.のパターンには、例えば社会との接点を持ち始めたばかりの就活生や社会人1年目、あるいはフリーランスとして独立開業したばかりの時期の人も含まれます。

これが若い人であれば、経験やスキルを積むにしたがって地に足がついた考え方をするようになり、関わる関係者にも迷惑をかけずに貢献できるようになっていくでしょう。

が、問題はすでに若くない人や、社会人になって何年も経過している人の場合です。

このような人が「社会貢献」などのフワフワしたフレーズを語っている場合、(やや語弊のある言い方ではありますが)精神年齢が年齢相応に成熟しておらず、具体的な実務レベルでは何の貢献もできずに(悪気がなくとも)迷惑をかけてしまうパターンが多いと感じています。

さらに、より深刻な問題が多いのは1.のパターンです。

よく、詐欺やマルチの団体の代表が「社会貢献」というフレーズを語っているのを耳にしませんでしょうか?

私自身の経験としても、表向きは「社会貢献」を語っている事業者が、裏では詐欺的なスキームを仕組んでいたり、あるいは自社の従業員を労基法に反するやり方で搾取していたりと、「表に出されると困る要素」を抱えているケースを多く目の当たりにしました。

最近では、「世の中から病気で困る人をなくしたい」と言いながら、医学的に全く根拠のない療法で高額な料金を取っている整体師にも出会いました。

この話は、経営者・事業者に限らず、勤め人にも当てはまると思います。

私自身の勤め人時代を振り返っても、皆の前での挨拶で「社会に貢献したくてこの銀行に入った」と顔を真っ赤にし、涙ぐんで語る人ほど、なぜか後輩へのパワハラが激しかったなと感じています。

このような例を多く目にするにつれて、もはや「社会貢献」というフレーズを軽々しく口にする人を疑うようになり、むしろ「好きな事を追求していたらこの仕事に行き着いた」とか「お金を稼ぎたい「モテたい」」と語っている人のほうが、「率直で信用できるな」と感じるに至りました。

実際、自分の欲望を素直に語るタイプの人のほうが、意外と利他的な行動をしていたり、いざという場面でも裏切らなかったりするように感じます。

仮に裏切られたとしても、「社会貢献」アピールの人に裏切られる場合よりも物質的・精神的ダメージが小さくて済みます。

本音で社会貢献を志している人の特徴

では、「社会貢献」を掲げている人が全員「怪しい人」か「未熟な人」に当てはまるかというと、やはり例外はあると思います。

それは、「類まれな大成功を収め、俗世間の欲求をすべて満たしきった人」の場合です。

富・名声・力、その他欲しいものをすべて手に入れた上で、

「もうやりたいことはすべてやりきったから、これからは人の役に立つことをしよう」

という心境に至るのは、人間として自然であると感じます。

有名な大経営者やハリウッドセレブなどで、もはや“良い人アピール”をしなくても十分にイメージが良い人が語る「社会貢献」には説得力がありますし、信用できます。

このような「本物の人」は、メディアやSNSで自身の活動を大々的にアピールするのではなく、自分自身の地位や身分を隠して、こっそりボランティア活動に参加していたりします。

筆者自身にも「社会貢献」を掲げている時期があった

ここまで、“社会貢献アピール”を散々に叩いておきながら大変恥ずかしいお話ではありますが、筆者自身も「社会貢献」を標榜していた時期がありました。

私もまた、自身の未熟さを“社会の役に立ちたい”と語る事で覆い隠そうとするタイプの典型だったのです。

私自身が「社会貢献」を盛んに語っていたタイミングは2つあります。

学生として就職活動をしていたタイミング、そして事業主として独立したばかりのタイミングです。

事業主として独立したばかりの時期の私は、顧客の利益を実現するための具体的なスキルや経験が乏しかったこともあり、例によって大言壮語を語ることで自己肯定感を高めつつ、自身の存在を大きく見せようとしていました。

この時期の私と関わってくれた関係者の方々に対しては様々なご迷惑をおかけしたと同時に、深く感謝しています。

一方で、逆の立場だったとしたら、かつての自分自身には関わりたくないな、と素直に感じます。

やはり、十分なスキルと経験があって、自身に利益をもたらしてくれる人と関わりたい、というのが正直なところです。

「社会貢献」を語る人には、よぼど「自分が損してもいいから支えてやりたい」という思いがない限り、しばらく距離を置いて様子見をしたほうが無難でしょう。

実務経験を積んでいくにつれて、私は自身の言動を客観視できるようになり、「社会貢献」という言葉を使う事は恥ずかしいと思うようになりました。

現在、「仕事を通じて関わる人には喜んでもらいたい」という気持ちはあれど、社会や天下国家を変えたいという気持ちは、はっきり言って皆無です。

以上、「社会貢献」を語る人に会うことがあったら、「一種のブランディングかもしれないな」と受け止めて、真に受けないことをおすすめします。