ポイント経済はもう古い?:顧客を食い止める決め手にはならないわけ

アメリカ感謝祭の休日明けである今日金曜日はブラックフライディ。日本でもこの言葉はだいぶ浸透したと思いますが、当地カナダは宣伝がブラックフライディセール一色でそれだけでもう満腹です。どの宣伝も高い割引率を謳っているものの「そこまでして欲しいか?」と言われるとバーゲンに走る年齢でもないし、めぼしいものがあるわけでもありません。成熟国において目玉になるアイテムもない中、消費を喚起するのは簡単ではなく、これから約1か月の間、小売店の「手を変え品を変え」のセールストークに翻弄されそうです。

では今週のつぶやきをお送りします。

読売株価指数333

日経新聞のこの新指数への扱いは申し訳程度の目立たない記事でした。読売新聞が野村と手を組んで25年3月から提供する株価の新指数「読売株価指数333」。株価指数といえば「日経平均」でした。ところがこの日経平均は構成225銘柄の株価の単純平均なので値嵩株へのウェイト偏重となり、ファーストリテイリングやソフトバングGなどの影響を受けやすくなります。例えば中国で不買運動が起きたファーストリテイリングの株価が週明けに大きく下げると他の銘柄の株価が堅調でも指数としては大きく足を引っ張られることになります。

言い換えると日経平均株価は恣意的だともいえ、指数影響度上位の銘柄だけを売買することで日経平均を大きく揺らすことが理論上可能です。その場合TOPIXなどとの乖離率を見るなど個人投資家は一定の注意が必要でした。指数をベースにした投資信託もあることから指数の健全性と妥当性は極めて重要で、投資家保護と市場の国際化を考えれば指数の改善は必然でした。それを今回何故か読売がやるというのがえー、なのです。確かに新聞発行部数ではトップですが、同紙が特に経済に強いというイメージはなく、どちらかといえば社会面と大衆バラエティ、お年寄りから主婦まで楽しめる新聞であります。

指数公表がスタートすれば当然連動する投資信託がすぐに発売されるでしょう。銘柄選択はこれから野村がやるようですが、基本的に全業種から代表的銘柄を選ぶでしょうから公平で偏りが少ない「ニッポン指数」的な触れ込みになるのではないかと思います。その指数が日本の実力を表すとすればさて、その先行きは明るいでしょうか?私はあまり期待できない気がしています。折しも繊維の御三家だったユニチカが繊維撤退で金融機関の債権放棄を受け官民ファンドの注入となりました。時代の変化に乗り遅れたのが同社の行き詰まりの理由です。そのような日本企業はごまんとあります。真綿で首を絞められて最後の最後まで大丈夫と言い続けているような銘柄は333から外してもらいたいものです。

イスラエル=ヒズボラの停戦は成功裏となるか

アメリカとフランスの仲介の努力が実り、イスラエルとヒズボラが停戦となりました。今後60日間かけてイスラエル軍はレバノンから撤退を進めるわけですが、ネタニヤフ首相は「裏切り行為があれば即座に攻め込む」と明言しています。事実、停戦後にイスラエル側はヒズボラに停戦協議に違反するような行為があったとして空爆をしています。今回の停戦はヒズボラがイスラエルとの国境から北に約30キロにあるリタニ川の北まで撤退し、その30㌔地区はレバノン軍と国連レバノン暫定軍が監視を行うというものです。ヒズボラはレバノン正規軍より大きな規模とされ、正規軍の存在が薄かったのですが、今回の協議でレバノン政府がこの停戦に大きく踏み込みその責任を負う形となっています。

イスラエルとしてはガザとの二面作戦が大きな負担となっていたこと、さらにはイランの直接的関与が増えてきている中で体制を整えることがあるでしょう。その意味で今回の停戦はヒズボラが無謀な行動に出ない限りイスラエルを利するとみています。言い換えれば「イスラエルはやっぱり強かった」とも言えます。イランはイスラエルに直接的行動はしにくいとみています。イランの軍事力がさほど強力という評価は少なく、経済も制裁続きで疲弊しており、金がかかる軍事行動をやる余裕はないでしょう。更にトランプ氏は明らかにイスラエル側に立ち、イランにはどんな厳しい経済制裁でも平気で課します。そのリスクをイランがとれるとは思えないのです。

とすれば2025年の早い時期にイスラエル問題は終息するのではないかとみています。今後はガザの再建とその責任者をどうするのか、国際社会がパレスチナをどう処遇していくかあたりが焦点になると思います。サウジアラビアあたりがその和平と再建に加われば当面の安定感は生まれると思います。思うにトランプ氏は「バイデンがまとめられなかったイスラエル問題を俺が片付けてやったんだ」というでしょう。言うのは勝手、まずは和平、そして非常に面倒になっているウクライナ問題にそろそろけりをつけてもらいたいところです。

ポイント経済はもう古い?

私が日本に行くときの航空便の選び方はGoogle Flightsのマトリックス表示の中から行きと帰りの最適解の組み合わせを選び、そこから航空会社を選択するというやり方をしています。最適解とは私の場合は運賃。航空会社により往復で数万円の差があり、日にちもたった一日違いで数万円変わります。こういう航空券の購入方法だと航空会社のマイルを貯めたいから〇〇航空を使うという発想は一つも起きないのです。

west/iStock

スーパーなどで買い物をしているとポイントカードの提示を求められるのですが、定常的に行く店ではポイントが貯まり一年に一度ぐらいそれを使って「あぁ得した」と思いますが、たまに行く店だと「まぁ貯めておくか」程度でそれを使うとかポイントがあるのかのチェックすらしません。クレカのポイントは私は何十万点も残っているのですが、くだらないショッピングサイトには目もくれず、使う方法もあまりなく、さてどうするか、と言うところです。

数年前まではポイントのプロがいてこうすれば安くなる、お得になる、ダブルポイントになるといったポイント経済が一世風靡しましたが私を含め多くの人は脱落した気がします。結局、定常的に買い物するところは限られており、どれだけ店側がポイントで客を釣ろうともそれが最終的に顧客を食い止める決め手にはならないとみています。その点では例えばスーパーのオーケーストアの200円で会員になれば現金払いに限り3%引きになるという仕組みの方が集客効果は高いと思います。ビジネス戦略は常に新しい何かが必要だということでしょう。

後記
バンクーバーで日本人の事業家仲間として長年知っている方と差し飯、差し飲み3時間。彼と私の共通点は異様に仕事が好きなこと、朝起きると今日も仕事ができるとワクワクすること、そしてめったに飲み会には行かないこと。彼と私の違いは彼は規模を求め、私はハンズオンのリスクレスのビジネスを求めること。その彼は北米上場を目指すと。そして日本のライバルを圧倒したいと。すごい野望、そしてそれに向けた彼なりの計画と着実に進める実行力に脱帽でした。日本人にもこんな情熱持っている人がまだいるんです。嬉しかったですね。彼には私が進める次の事業に協力を依頼しました。強力なアライアンスに向けた種まきの芽が出ればよいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年11月30日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。