偏頗的な言説がマスメディアから垂れ流されている
「県民局長告発文書で百条委員会・斎藤知事・奥谷委員長がパワハラを認めた」というデマ言説
斎藤支持者はきちんと一次情報(当事者)を確認せず、SNS(ネット)情報を鵜呑みにしている
以下確認しましょう県職員が斎藤前知事のパワハラ「目撃、経験」140人
「見聞きした」2000人以上百条委員会が上記から直接聞き取り調査行って以下見解
「告発文書やパワハラは概ね事実として認定出来る」 pic.twitter.com/SnEe6K75i1
— かをるくん (@caorucun) November 16, 2024
斎藤知事のパワハラで人が亡くなった件を検証して総括するのが百条委員会で、そこで斎藤知事自身がパワハラがあったことは認めていますよ。 https://t.co/2q0yhak6jO
— 町山智浩 (@TomoMachi) November 21, 2024
「おねだりしてません」「パワハラしてません」が真実なら、百条委員会で言った事が嘘になる。百条委員会で言った事が真実なら、選挙活動中に有権者に対して嘘を言った事になる。どっちにしても知事失格じゃねぇのかね?
— 立川雲水 (@tatekawaunsui) November 16, 2024
https://archive.md/NwNo5 https://archive.md/tnnIK https://archive.md/0TnOh
兵庫県の斎藤元彦知事が、県民局長によって作成された文書が事実無根であることなどを理由として懲戒処分をしたことに関連して、当該文書中の違法・パワハラ等の事実の有無が争点となり県議会の百条委員会が開催されている件で、「(元)県民局長の告発文書に書かれている内容について、百条委員会・奥谷謙一委員長や斎藤元彦知事がパワーハラスメントを認めている」という言説が広まりました。
これは令和6年11月25日現在ではデマであり、これらの人物・組織はパワハラを認めてはいません。
大前提として、百条委員会は未だに終わっていません。現在進行形で継続して調査が進められている段階です。
しかし、上掲のように発言の趣旨が歪められたものが大きく拡散されており、その中には実名でメディアや芸能界で活動している者も含まれています。
他方で、「パワハラは認められないと結論付けられた」という趣旨の投稿も同程度に拡散されており、こちらも同様に事実に反する言説であることから【ネット・SNS上のデマ】として扱うところが複数出現しました。
が、「認めている」という誤った言説について検証を加えている媒体は皆無なので、本稿ではこの言説について取り上げます。
ネット炎上研究者の田中辰雄による誤情報「パワハラと言われるものはあったと修正されている」
【ネット炎上の研究】【ネットは社会を分断しない】などの著作で知られる横浜商科大学教授兼国際大学GLOCOM主幹研究員の田中辰雄氏が、SYNODOS=シノドスにて兵庫県知事選での斎藤元彦氏の支持者らの言説を分析した論稿を寄せていました。
百条委員会の奥谷委員長が最初の記者会見で、「パワハラと述べた人はいなかった」と述べた動画が繰り返し拡散されたが、これは最初を切り取っただけで、調査を重ねるにつれてパワハラと言われるものはあったと修正されている。しかし、擁護論は修正には言及せずに、切り取りの部分だけを拡散し続ける。このように断片的事実に固執し、全体を見ようとしないのは、陰謀論によくみられる行動類型である。
田中教授は「パワハラと述べた人はいなかった」という言説について「陰謀論によくみられる行動類型」としながら、「調査を重ねるにつれてパワハラと言われるものはあったと修正されている」と書いていました。
このような事実は存在しません。
「最初の記者会見」というのは、意味不明な説明ですが、6人の職員に証人尋問を初めて行った8月23日の百条委員会(秘密会)の後の記者会見を指すと言えます。
この際の発言は以下のものでした。
記者:分かりました。6人のうちパワハラを受けた、または、その判断は本人ができないということで、知事から理不尽に厳しい叱責を受けたと明言された人はいらっしゃったんでしょうか。また6人のうち何人いたか、可能な範囲でお伺いできたらと思います。
委員長:私の認識では明確に知事の方からパワハラを受けたという方はいらっしゃらなかったという風に考えておりますが、それは職員さんの中でもこれがパワハラに当たるのか自分では判断できないという方もおられましたし、そこはこれから我々が聞いた事実を評価して 、パワハラに当たるのかどうか、しっかり評価をしたいと考えてます。
記者:例えば、厳しい叱責を受けたという方は、先ほど奥谷委員長から出た話もあったと思い ますが、どのぐらいいらっしゃったんでしょうか。
委員長:すいません。ちょっと本当にまだ整理ができてないので、あれですけど、厳しい叱責を受けたことがあると言われてた方は結構おられたんじゃないかなとは思います。ただそれがパワハラに当たると思いますとか、そういったことは、おっしゃったという記憶は今ありません。
奥谷委員長が「私の認識では明確に知事の方からパワハラを受けたという方はいらっしゃらなかったという風に考えておりますが」と答えた部分が切り取られて「百条委員会や奥谷委員がパワハラは無かったと言っている」という誤った言説が広まったものですが、その後にパワハラに当たるのかは事実を評価していく、と言っています。
8月23日の会見からは、【百条委員会や奥谷委員長はパワハラを否定も肯定もしていない】というのが事実です。
県民局長の告発文書に書いてあることが事実としても、それがパワハラに当たるのかどうか?は別の話で、「パワハラか否か」は「評価」の問題です。行政としてはパワハラは定義・要件が決まっています。
8月30日記者会見「書いてある事は概ね事実認定できるのでは」「3月27日の知事会見発言はパワハラ」
続く8月30日記者会見では、奥谷委員長は確かに「書いてある事は概ね事実認定できるのでは」と発言していますが、委員会としての見解ではないとつつ個人的な見解であるという前置きをしており、その事実がパワハラであるか否かの評価は慎重に避けています。
また、この日、記者から3月27日の知事会見で斎藤知事が「嘘800」などと発言したことはパワハラではないか?と問われており、これに対して奥谷氏が個人的見解として「パワハラと言ってよいのではないか」と発言しているのは事実です。