黒坂岳央です。
この時期になると「時間のムダなので飲み会に行きたくない」「嫌いな上司と行くくらいなら部屋で酒飲みながら映画見るほうが楽しい」という意見をよく見る。
この意見自体は正しい。自分自身、サラリーマン時代は飲み会が億劫に感じていたことも多かった。はっきりいってどちらかといえば、飲み会は嫌いでできるだけ行きたくない派だ。つまらないメンバーの飲み会に行くくらいなら、自分ひとりで趣味を楽しむ方がメリットがあるというのも正論だ。
しかし、そんな飲み会が好きでない自分でも、飲み会はありか?なしか?と問われれば「出ないと損をするイベント」という意見を出さざるを得ない。そう考える根拠を取り上げたい。
※本稿で取り上げる飲み会は「親睦を深める目的」で開催されるものを指している。たとえば上司の立場を利用して説教をするような明確に無価値なものは取り扱っていない。
飲み会は「仕事」である
自分はこれまで数多くの飲み会の場を経験してきた。一般的な日本企業の居酒屋飲み会も経験があるし、外資系企業ではクルーズ船パーティーや、派手な会場を貸し切ってパーティーもやったし、重役の港区のタワマンのホームパーティーに招待されたこともある。今は独立した立場だが、取引先に呼ばれて飲み会にいったりすることもある。
いろんな場に顔を出して感じること、それは飲み会は「仕事」ということだ。仕事という前提があるので「参加してもつまらない。コスパが悪い」という意見はズレている。なぜなら遊びではないからだ。「遊びでないなら業務時間外に残業代を出すべきだ」という反論が返ってきそうだ。実際、それを理由に頑なに参加しない人も少なくない。正直、参加する、しないは個人の自由なので好きにすればよいだろう。
だが、飲み会はいかなければ確実に損をする。これは日本でもアメリカ系外資でよくあるパーティーでも全く同じだ。普段、一緒に仕事をする間柄で集まる場なので、友達とワイワイ騒ぐ遊びと同列に語れるはずがない。そこでは主に仕事の話がメインになる。当然、他の参加者への気遣いは必要だし話題も選ぶ必要がある。残業代も出ない。
まさに「ここ」を周囲から見られている。「強制でないなら社交の場なんて絶対に出ません!」という人と、「社交の場であれば自分の気持ちはさておき、社会人として参加します」という人にわかれるリトマス試験紙になっているのだ。
社交性のないビジネスマンの低すぎる評価
良くも悪くも仕事は「結果」が全てだ。抜群に仕事ができ、周囲からも一目置かれる優秀なビジネスマンなら、たとえ飲み会に一切行かなくてもデメリットはあまりない。多少、気遣いや社交性ができなくても数人分の仕事を処理できるスキルや、高難易度で他の人ができないスキルが有るなら何も文句は言われない。
実際、そういう人は過去にいた。飲み会の時にも「あの人絶対に飲み会に来ないけど、とんでもなく仕事ができる」みたいに良い噂をされていた。
だが問題はそうでない場合に起きる。受け取っている給与の少なくとも3倍以上粗利を稼ぐか、コスト削減を安定的に貢献できるスキルがなく、おまけに社交の場を拒み続けるケースである。
特に新人の場合は「給与>貢献度」になることが多く、会社もビジネスマンに育てる先行投資として採用している場合は「仕事もできないし、社交もしない取り扱いの面倒な人材」という厳しい見方になる。
そうした評価を受けて若さが消えると、もうその後はチャンスが来なくなる。人間には感情があるので、同じビジネススキルなら付き合いやすい人、会話機会があって信用できる人にベットする。そうなってしまうと、後から巻き返しは難しくなる。最初の段階で飲み会を断り続けると、もうその後は誘われなくなるし、いざ参加しても年齢相応の振る舞いやマナーができないと「この人、全然なってないな」とせっかく参加した飲み会でも評価が落ちてしまうのだ。
世の中は複雑系で、よしんば一人前以下のビジネス貢献度でも周囲の雰囲気を良くしたり、他部署との円滑なコミュニケーションに一役買ってくれるような社交的な人はその部分も評価に入ったりする。仕事は微妙でも飲み会に積極参加して顔を売り、周囲に好かれ、許される人材になれば実力以上の仕事のチャンスを受けたりするのは普通にある。
自分自身、外資系でCFOに気に入られて何かと特別扱いを受けたり、社外のキャリアアップフォローをたくさんしてもらったのは「個別に二人で飲み会に参加」したのもあったと思っている。
◇
会社は仕事をする場ではあるが、結局人と人との関係性で成り立っているので「好き嫌い」は必ずある。飲み会だけで決定的になるとは思わないし、参加して必ず得する保証はないものの、少なくとも「頑なに社交の場を避ける人」というウィークポイントを作ることは避けられる。
もちろん、本当に実りのある飲み会もゼロではないが、「最初の一時間だけ顔を出して帰る」といった形なら、プライベートの時間もそうそう削られることもないし、まったく参加しないのとではどうしても印象が違ってくるだろう。そのバランス感、自分本位かどうかも含めて評価に入ってしまう。一切の社交を否定したいなら一人社長で独立するか、専業トレーダーもありだろう。
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