米国からの投資で見放されつつあるスペイン

サンチェス首相SNSより

米国からの投資が激減している理由

共産社会主義者となってしまったサンチェス首相のスペインは米国からの投資が減少している。カタルーニャ州は独立派政党によって2017年に独立宣言をして以来、米国からの投資は激減している。米国ではカタルーニャへの投資は御法度になっているという。

スペイン自体もサンチェス首相政権は共産主義思想の政党と連合して政権を運営している。その影響から、これまで伝統ある中道左派であった社会労働党はサンチェス氏が政権を担うようになってから中道左派から共産社会主義化している。それが影響して、米国からのスペインへの投資が減少している。

2023年の米国からの投資は80億4300億ユーロで、外国からの投資の29%を占め、投資国ではNo.1となっていた。ところが、今年第一四半期の米国からの投資は13億2300万ユーロで、昨年同期と比較して77%の減少となっている。そのあと僅かに同国からの投資は回復したが、それでも今年上半期の米国からの投資は23億4500万ユーロということで、昨年同期と比較して61%の減少となっている。

サンチェス首相は中国との関係強化で北京を訪問

二者択一を迫られたかのようなサンチェス首相は9月に北京を訪問した。米国は彼を受け入れないからだ。

スペインと中国の関係を強化したいというのが狙いだという。しかし、中国から昨年のスペインへの投資を見ると、僅か1億3000万ユーロでしかなかった。これは米国からの投資と比較して1%を満たすだけの投資でしかない。(9月13日21日付「The Obective」から引用)。米国からの急激な投資の減少を前に、経済の成長が鈍っている中国に接近するだけの価値があるのであろうか。

これからサンチェス首相が中国との関係強化にシフトして行くと、それは同時に米国からスペインへの投資の更なる減少に繋がることは必至である。米国のトランプ政権そしてバイデン政権においても、サンチェス首相への評価は非常に低い。米国政府にとって、サンチェス氏は信頼できない人物なのだ。にも拘らず、同首相は米国大統領とのトップ会談を常に期待して来た。が、米国政権はそれにまったく無関心という姿勢を保って来た。

サンチェス首相の政権は米国にとってまったく関心がない

米国にとってスペインはフランコ将軍の政権時から地政学的に重要な拠点にある。だからイラク戦争に連合軍が参加していた時に、スペイン軍をそこから撤退させたサパテロ元首相以外のスペインのどの首相も米国とは良好な関係を維持していた。

ところが、米国政府はサンチェス氏との関係強化に一切関心がないという姿勢だ。というのも、サンチェス氏は最初は極左のポデーモスと連立政権を誕生させ、そのあとポデーモスから分離したスマールという左派政党と政権を担っている。要するに、米国政権にとって共産社会主義者の政権には関心が薄いということなのである。

そのことも影響して、サンチェス首相は米国から離れて、中国へと関係強化に向かっているというわけである。それは逆に米国にとって、さらにスペイン離れを誘うことに繋がるのであろう。