全国民に恨まれますよ
日本維新の会の兵庫県議増山誠「公用PC内文書を調査せよ」
11月14日、片山元副知事から兵庫県議会議長宛に要望書が提出されました。
内容は
①「元西播磨県民局長の公用PC内の文書を調査しなければ、文書作成の意図・目的が検証できないこと」
②「PC内のデータを調査もせず、証言すらさせないことは不公正であること」… pic.twitter.com/kccD0wFIL7
— 増山誠 日本維新の会 兵庫県議会議員 西宮市 (@masuyama_makoto) November 29, 2024
①「元西播磨県民局長の公用PC内の文書を調査しなければ、文書作成の意図・目的が検証できないこと」
②「PC内のデータを調査もせず、証言すらさせないことは不公正であること」
③「百条委員会は証人の弁明に必要な資料は取り調べを許さず、証人を攻撃する材料だけを集め、威圧的に追求する場となっていること」以上が要望書の趣旨です。
(全文は画像をご覧下さい)現在でも
●公用PC内の情報(プライバシー情報除く)
●人事課が合計5回行った元西播磨県民局長への事情聴取資料公益通報者保護が争点に追加された今となっては、この2つの資料は事実究明に最も重要な資料であるにもかかわらず、これまで私が請求しても却下されています。
以上をふまえ、12月9日に行われる百条委員会理事会に資料要求を申請しました。
日本維新の会の兵庫県議である増山誠氏が、11月14日に片山元副知事から「公用PC内文書を調査せよ」という要望書が兵庫県議会議長宛に提出され、その事に同意する主張が為されました。
12月9日の百条委員会理事会でどう判断されるかは別として、これは百条委員会のミスが招いたものである、ということを本稿では書きます。
当初は「告発文書の7項目の事実関係の真偽」が調査事項
兵庫県の百条委員会=文書問題調査特別委員会では、当初は「告発文書の7項目の事実関係の真偽」が調査事項でした。これは令和6年6月27日の資料にあり、14日の委員会で了承された内容です。
ところが、8月30日からは公益通報者保護法の観点からどうなのか?という点も扱い始め、「専門家」と称する教授・弁護士らを呼んで講演をさせました。
こうなったのは実施方法に疑義が呈されている「職員へのアンケート」の結果に公益通報者保護法違反を指摘する内容があったからと思われます。
9月19日に公益通報者保護に関する事項を調査事項に追加
兵庫県議会令和6年9月第368回定例会(第1日 9月19日)にて、公益通報者保護に関する事項を調査事項に追加したいとの申出があり、異議なしで決定されていました。
これは地方自治法において、特別委員会の調査事項は議会の議決で付議されなければならないと定められていることから採られた手続です。
地方自治法
第五節 委員会
第百九条 普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。
~省略~
④ 特別委員会は、議会の議決により付議された事件を審査する。
⑤ 第百十五条の二の規定は、委員会について準用する。
⑥ 委員会は、議会の議決すべき事件のうちその部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関するものにつき、議会に議案を提出することができる。ただし、予算については、この限りでない。
⑦ 前項の規定による議案の提出は、文書をもつてしなければならない。
⑧ 委員会は、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することができる。
⑨ 前各項に定めるもののほか、委員の選任その他委員会に関し必要な事項は、条例で定める。
これにより、斎藤知事による元県民局長の懲戒処分の適切性も争点となってしまいました。したがって、公用PC(公用PCに挿し込まれていた局長の私的なUSBの中身?)に関する話も、論理的には審議対象とせざるを得ないということになります。
※ただし、プライバシー情報を除く
そのために立花孝志などによるグレーゾーンの行動が持て囃されることになるなど、いろいろと狂い始めたんだと思います。
3月12日付文書含む懲戒処分を4月の内部通報で回避できるわけがない
3月12日付の怪文書の内容や他の服務規律違反に基づく懲戒処分を、元県民局長が4月に同様の内容が内部への通報であるとして行われたことをもって回避しようとするのは、卑怯極まりありません。
それらは別個の手続です。本当に「公益」のためにやってるなら、ちゃんと通報しろ。
3月の怪文書については物理的な通報行為が少なくとも内部(兵庫県)に対しては不存在でしたし、外部に対しても少なくとも内容が「通報要件を満たさない」からです。
しかも、7月20日に兵庫県の公益通報担当部署がパワハラを認定せずとの報道が複数ありました。これは元県民局長から4月に公益通報窓口に同様の内容が申出されたものを公益通報として扱ったものです。
が、これは県からは公表されておらず、報道されているだけです。
その理由は定かではありませんが、増山議員の投稿を見ると、百条委員会の正当性が維持できないからという政治的な理由で差し止めが要望されていたと思われます。
なお、「公用PCは人事課が調査したから百条委員会で再調査するのはおかしい」という主張もSNSでは見られますが、地方自治体の二元代表制を理解していないものです。
それを言うなら既に兵庫県の公益通報担当部署がパワハラ認定していない時点で、この喧騒は終わるハズです。
「公用PCは人事課が調査したから百条委員会で再調査するのはおかしい」
とかいう二元代表制を理解していない投稿を見た総務部人事課は知事室ではないけど大きな枠組みで見れば知事部局
県議会は知事と並ぶ県民代表機関で、百条委員会はここの組織。別組織が調査するからこそ信頼性が生まれる pic.twitter.com/mQ7CHg1msA
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) December 2, 2024
斎藤知事の問題は権力者・政治家としての振舞いの在り方だった
斎藤元彦知事の問題を糾弾するのであれば、権力者・政治家としての振舞いの在り方を対象にするべきでした。それが、公益通報者保護法という無理筋論を展開することによって、焦点がぼやけ、勝ち目のない戦いに挑む形になってしまいました。
「真実相当性」は単なるミスディレクションであり、本当は「公益通報性」、つまりは「通報」要件と「不正の目的でない」の要件の話でした。
職員アンケート結果から「違法性は無いけれども、でも首長としての振舞いとして問題だよね。パワハラではないかもしれないけど、不適切な言動があったよね」という、なんとなくそういう雰囲気にして百条委員会を終了していればよかったのに。
実は、「記名」の回答で、あるんですよ。斎藤知事の言動がなぜこんなに仄聞されていたのか?を示唆する内容が。
斎藤元彦氏と旧知の仲だった人から、「事例共有」として部局外の人間とも斎藤氏から叱責・注意された事例について情報共有していたと。これなら多数の人間が伝聞でしかないのに「A:目撃・経験等により実際に知っている」と回答していたことの説明は一応はつきます(だったら事例共有していたと書けよ、と思うが。1つたりともその事を書いている記述が無い。)。
だから、職員アンケートに書かれていたことには、「事実」が含まれているんです。
ただ、それが「パワハラ」だとか「違法」だと【評価】はできない。
現時点で「百条委員会や奥谷委員長がパワハラはあったと認めている」と言ってるのが居ますが、デマですからね。告発文書の内容について「そういう事実はあったと思う」としか言っていません。
また、3月27日の知事会見で斎藤知事が「嘘八百」などと発言したことはパワハラではないか?と記者から問われた際に、奥谷氏が個人的見解として「パワハラと言ってよいのではないか」と発言しているのは事実ですが、これは当然、【3月12日付の県民局長告発文書に記載されていた7項目の内のパワハラ項目について】ではありません。
よって、当該文書の正当性や知事の文書の扱いの正当性とは全く関係が無い話です。
行政機関や民間企業で大量の怪文書が送り付けられている実態
同性カップルへの「夫(未届)」の住民票交付で話題の長崎県大村市の議会にて、古関森秀幸議員の質疑で公益通報者保護法についての質疑に対する答弁がありました。動画では1h37m過ぎです。
この場合は、単なる憶測や伝え聞いたものなどではなく、通報内容が事実であることを裏付ける証拠や関係者による信憑性の高い供述など、相当の根拠が必要となります。
これは2号通報の真実相当性に関する説明として一般的なものです。各地方議会で、こういう話が行われてるということです。
元県民局長の怪文書は、入手先と作成者が接点も無いという究極の匿名文書であったし、文書内容に関係者による証言もなく(伝聞だが「どこの誰が?」が無い情報源不明の内容)、日時や行為主体・行為内容すら曖昧な記述であるにもかかわらず、証拠類の添付が一切ありませんでしたし、県民局長本人が憶測や伝聞だったと百条委員会で陳述していることから(同じことを片山副知事(当時)による聴取でも発言)、本当に「公益」のために通報しようとしていたのか、かなり疑問です。
そして、上掲動画の1h44mあたりでは、大村市においても、かなりの量の「告発文書」が来るという実態が紹介されています。内容は…「誰々が勤務時間中に化粧をしている」だとか、法律上の「通報対象事実」ではないものも含まれているようです。
これは公益通報保護制度検討会で吐露された民間企業が置かれている状況と同じです。
「正当な告発者」を保護するのが法の目的・趣旨であり、いい加減な文書ばらまきに法の保護を与えるのでは、民間企業などの経済活動の毀損にすらなり得ます。
日本全国の公益通報業務に悪影響を与えかねない兵庫県の百条委員会での議論
兵庫県の百条委員会での議論と、それを元にマスメディアが報道している内容は、日本全国の公益通報業務に悪影響を与えかねず、経済活動を毀損する兵糧攻めにすらなり得ます。
「ふざけんじゃねぇぞ、こんなのが公益通報として窓口が調査対応を迫られるのか?」
公益通報者保護法に焦点を当ててしまえば、こういう事になるわけです。
兵庫県議会は何やってんだ?と、白い眼で眺められる日々が続いて良いんでしょうか?
百条委員会を立ち上げたはいいが「無実」にしかならないと気づいてしまったがために「棚ざらし」にして特別委員会を終了させずに対象者に延々と嫌がらせをするという事が地方議会では多々あるようですが、兵庫県議会の場合、立花孝志氏のグレーゾーン攻撃が続くことになりそうなんですが、どうするんでしょうか?
編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2024年12月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。