60歳を超えたら「何をするか」より「何をしないか」を考える

今週ニュースを見ていたら、鳥井信宏さんがサントリーの社長に就任すると報道されていました。

鳥井さんは私より2つ年下ですが、20代の頃同じ時期にボストンに留学していて、現地で仲良くしてもらった留学仲間です。

また、コインチェックがアメリカのナスダック市場に上場しました。

コインチェックの買収から上場までを主導したマネックスグループの松本大さんの活躍も報道されています。松本さんは以前にも書いたように大学の教養学部時代のクラスメイトで、1999年のマネックスの立ち上げから12年間一緒に仕事をした仲です。

同世代の知り合いが、このように全力で仕事にエネルギーを投入し成果を出しているのは素晴らしく、誇らしいことです。

その一方で私はといえば、彼らとは対照的にライフスタイルからは仕事の比率が減っていく状態になっています。

PeopleImages/iStock

今も個人投資家のインナーサークルコミュニティー「資産設計実践会」の運営は続けていますが、これは仕事というより自分が好きでやっている趣味の世界に近いものです。

自分が働くよりも資産運用を通じてお金に働いてもらう仕組みを作り、自分は好きなことをするのがメインになっています。

野望に燃えてギラギラしていた30代から既に30年が経過して、自分の人生観も随分変わりました。

私には世の中を変革したいという政治家や起業家のような野心もありませんし、経済的にもっと成功したいという私欲もあまりありません。

むしろ「あれもやりたい」「これもやりたい」といった欲張りな感情が年齢と共に徐々に薄れていきました。

何をするかをあれこれ欲張って手を広げるよりも今大切なのは「何をしないか」という捨てる勇気だと思っています。

限られた人生の時間の中でやれることは限られています。本当はやりたくないことを何となくやって、後から後悔しないようにしたい。そんなことをいつも意識しています。

鳥井さんや松本さんの生き方を見ていて思うのは、人生の何に価値を見出すかは人それぞれだということです。

その価値観はどちらが良い悪いという相対評価で行うものではなく、自分が本当にどうありたいかという絶対評価で考えるべきことです。

自分の毎日の生活に悔いはないのか?そう自問しながらかけがえのない毎日を心から味わっていきたいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年12月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。