自民・公明と野党の来年度予算をめぐる協議が並行して進んでいます。中でも国民民主党の「年収の壁」をめぐる交渉が難航する一方で、維新との交渉は早々に決着し、高等教育の無償化を検討することになりました。
「高等教育の無償化」というのは、大学の授業料をすべて税金で出すということですね。全国にFラン大学があふれるでしょう。
これで3党が合意したというが、少なくとも国民民主は大学無償化には反対です。こんな毛針で補正に賛成したら、前原さんが玉木さんと喧嘩別れしたときの逆でしょう。 https://t.co/NzeK32e7WK— 池田信夫 (@ikedanob) December 17, 2024
僕は大学の無償化には反対です。親や自分の収入に関係なく、豪州のHECS(高等教育負担制度)みたいに希望者は奨学金の返済を将来の所得税に上乗せして収入に応じた返済をすることが一番フェアーだと思います。https://t.co/x88N3rcQjo https://t.co/LrHJFpTyWI
— ノギタ教授 (@Prof_Nogita) December 18, 2024
国民民主党は大学の無償化には反対しています。
今や各党「教育無償化」を主張していますが、経済的な観点ばかりが強調され、「教育の質」の確保や、大学間の適切な競争原理の観点が欠けていると思います。今の大学をそのまま維持することを前提に「無償化」しても教育の質の向上にはつながらないでしょう。… https://t.co/WCULiiKesj
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) October 21, 2024
さらに前原共同代表は(貸与型)奨学金の返済を免除する徳政令を提案をして、大反響を呼んでいます。
これは現場を知らない人による最悪の政策。現在、成績優秀者には奨学金返済が減免されています。この政策は、必死の努力でその資格を勝ち取った人への冒涜です。
維新・前原共同代表「要返済の奨学金9.4兆円について返済免除」〝徳政令〟に言及 教育無償化の3党協議始まるhttps://t.co/Hw11Lcil9J— Hideki Kakeya, Dr.Eng. (@hkakeya) December 20, 2024
この記者会見では「2025年4月からの高校授業料無償化」とか「奨学金の返済免除」と明言していますが、その財源はどうするんでしょうか。
堕ちるところまで堕ちていく維新。
「9.4兆円の奨学金徳政令」を主張し、財源は日銀のETFで「いつでもできる」と明言しました。
日銀ETFの財源論は立憲が大好きな財源案で、奨学金免除はバイデン民主党の大好物です。維新は急速に左に旋回しています。https://t.co/lyTgCFTqBK— 幸福実現党政務調査会 (@hr_party_prc) December 20, 2024
徳政令は昨年バイデン政権がやったのですが、連邦最高裁は憲法違反との判決を出しました。
予算編成の時期のバラマキは年中行事ですが、今年は政権が少数与党になったため、与野党入り乱れてのバラマキ合戦に発展しました。必要な予算は大学無償化だけでも3.8兆円、高校まで全面無償化するには約10兆円といわれ、向こう10年で100兆円以上の財政赤字が発生するでしょう。
社会保障支出が向こう15年で50兆円増える日本でこんな大盤振る舞いをやったら、政府債務はさらにふくらみます。外国為替市場では、それを見越して円安が進行しています。このままでは1ドル=160円を超え、物価が上がってインフレ税がかかります。
インフレ税の計算がわかりにくかったので修正。インフレ率が1%上がると、家計金融資産2000兆円が実質的に20兆円減価する。これがインフレ増税。
所得減税で8兆円減税しても、インフレで20兆円増税されたらチャラ。インフレ経済での財政バラマキは、政治家の人気取り以外の効果はない。— 池田信夫 (@ikedanob) December 21, 2024
インフレ税は必ずしも悪いことではなく、高齢者の貯め込んでいる金融資産を減価させ、年金を実質的に減額するなど、資産を再分配する効果もあります。国際競争力の落ちた国の通貨が減価するのは自然なことで、それをどうチャンスに変えるかを考える必要があります。