初詣にもどうぞ!晩秋の東京の神社めぐり

11月最後の土曜日。散歩がてら東京の神社をいくつか巡ってきました。

定番の場所からちょっと変わったものを祀る神社まで都区内を電車でうろつきまわっておりました。

今回私が使ったのはこの「東京フリーきっぷ」です。おとな1600円、こども800円で1日中都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー、東京メトロ(全線)、JR線(都区内に限る。)を何回でも乗車できるとても使えるきっぷです。

① 気象神社

新宿駅で東京フリーきっぷを買って中央線に乗り、高円寺駅で下車しました。ここから徒歩約4分のところにお目当ての神社があります。

それがこの気象神社。正式には高円寺氷川神社なんですが、境内社に日本で唯一の気象を祀る神社、気象神社があります。

神社の横になんと今日の天気予報の電光掲示板が。こんな神社ほかにないですよね!

神社の花手水は、近くの花屋しずくさんによってつくられているそう。細やかな気遣いで参拝客をもてなしてくれるのがうれしいです。

氷川神社の本殿を左手に折れるとひっそりとたたずんでいるのが気象神社。小ぢんまりとしていますがあとからあとから参拝客はやってきます。それも若い参拝客が多いです。ここは2019年公開の映画「天気の子」の聖地になったことで知名度が上がり若い参拝客が増えるようになりました。

もともとこの神社はここよりもう少し北にあった陸軍気象部の中にありました。天気予報は軍事作戦の実行に極めて重要なものであり、ここでその的中を祈っていました。一時は空襲で焼失しますが再建、戦後GHQによる神道指令による国家神道にまつわる施設の廃止のリストから漏れたことにより今日まで残りました。1948年に氷川神社の脇のこの場所に移っています。

祀っているのは八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)。様々な角度から物事を考えられる知恵の神様として崇められるとともに、『晴』『曇』『雨』『雪』『雷』『風』『霜』『霧』という八つの気象条件を司ってきました。天気を願い人の願い事は様々で、晴れを願う人が多くいる一方で、農業をする人は雨を、スキー場の経営者は雪を願います。様々な気象への願いをかなえる神を祀る神社です。

今はあくまで平和的な目的で参拝客がそれぞれ天気を願っていきます。テルテル坊主のお守りがたくさん吊り下げられているのも特徴的です。

個人的な願いごとが多く書かれているので写真はあまり出せませんが、下駄の絵馬も多く掛けられています。やはり人生の一大イベント、結婚式を晴れにしてほしいという絵馬が多かったですね。あとは晴れ女になりたい!が意外に多かったです。この絵馬が「天気の子」の予告編に登場して話題になりました。

② 関神社(王子神社)

続いてやってきたのは、京浜東北線の王子駅です。ここから約8分ほどのところにある王子神社。先日も紹介したとおり樹齢400年の大イチョウがご神木となっています。

石神井川沿いの親水公園側に凛と立つ大イチョウ。

大イチョウを通り過ぎると王子神社の本殿があります。徳川家光公の乳母春日局が世継ぎ問題に悩み、ここで家光公の体勢を祈願したところ、それがかなったことから子育てに御神徳のある神社とされています。そのため11月末のこの日も多くの七五三参りの参拝し客がここを訪れていました。

が、わたしが紹介したい神社はここではありません。

王子神社の駐車場の端にポツンと建つこちらの神社。関神社という王子神社の摂社です。

ここは日本でも数少ない髪の毛と鬘(かつら)の神社です。祀られているのは百人一首でおなじみの蝉丸。逆髪に悩む姉のために今の鬘の原型となる「髢(かもじ)」をつくったことから髪・鬘の祖神と崇められているのです。

ここに建つ「毛塚」は、お釈迦様が祇園精舎にはいられた際に、女が髪を切って油に代えて火を灯したところ強風でも火が消えなかったという言い伝えから髪への感謝、供養のために建てられたものです。

…え?でもなんで数ある神社の中でここに来たのかって?髪が薄いから願を掛けに来たんだろうって??

やっ…やだなぁ。純粋に変わったものを祀る神社を紹介したかっただけですよ。それではお参りして次の神社に行きましょう。

髪がもっと生えますように!髪がもっと生えますように!!髪がもっと生えますように!!!

③ 愛宕神社

気を取り直して虎ノ門ヒルズ駅にきました。日比谷線のラインカラーに合わせたようなシルバーのデザインが現代的。

近年、虎の門エリアにオープンしたインテリジェントビル・虎ノ門ヒルズの最寄り駅です。そんな立派なビルが建つ東京のど真ん中に、古くから東京を守ってきた神社があるのでそこまで歩いていくことにします。

それがこの愛宕神社。鳥居を潜ると目の前に現れる階段が印象的です。これは「出世の石段」と呼ばれています。徳川家光公の命でこの山上の梅を馬で獲りに行くよう命じられた曲垣平九郎が、ここを馬に乗って上り下りした褒美として家光公直々に脇差しを与えられたことからこの名がつきました。出世の願掛けのために今日も多くの参拝客がここを登っていきます。私もその一人です。

急な階段を登るのがイヤ、という人は右手に緩やかな女坂もありますのでこちらを登るといいでしょう。

曲垣になった気分で記念写真をどうぞ。

息を切らしながら山上まで登ると、朱が眩しい愛宕神社の鳥居と本殿が目に飛び込んできます。参拝客は多いですが、落ち着いた雰囲気の神社です。愛宕山は標高25.7メートルの小さな山ですが、天然の山としては23区の最高峰。それだけに信仰の対象とされる山であり、家康公が江戸に幕府を開いた際に、京の愛宕山から勝軍地蔵菩薩を勧請してここに神社を開いたのが愛宕神社の始まりです。

裏手には摂末社が鎮座しています。この日は山の紅葉も色づいていて神社を彩っていました。

神社の紅葉越しに先ほど前を通ってきた虎ノ門ヒルズも見えて、都会の中の神社なんだと改めて実感させられます。ただここは、参拝客こそ多いものの都会の喧騒はなく、静かに願を掛けることができる場所でした。今でこそビルに見下ろされていますが、江戸時代はこの山を見下ろすものは何もなく、海まで臨めたといいます。その眺望たるやさぞ絶景だったことでしょう。

参拝を終えたあと、虎ノ門ヒルズ内の飲食店街、虎ノ門横丁に立ち寄り、赤坂璃宮でワンタンメンを食べて帰りました。ほかにも鮎ラーメンの店とか魅力的な店が多くてどこに入ろうか目移りしてしまいますね。

東京の神社を巡った秋の一日。様々なご利益を頂けたと思っています。

noteではこれまでにも何回か東京の神社をピックアップして記事にしています。こちらの記事もご覧いただいて2025年の初詣の参考にしていただけたら嬉しいです。

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編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年12月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。