なぜタイでは日本人高齢者が若い恋人を作れるのか?

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タイは拝金主義

これは筆者の知人で年齢が既に70代の日本人の例であるが、彼には10年以上も続くタイ人の恋人がいる。定年退職後にバンコクに移住してきた彼は、当時まだ20代後半と30歳以上も歳の離れた彼女と出会い、今も恋人関係が続いているのである。

タイでは日本人を含め外国人高齢者が若いタイ人女性とカップルになる例は珍しくないが、日本の常識からすれば、20代、30代の女性が60過ぎの爺さんと恋人関係になるというのはちょっと考えられないことだ。

筆者はバンコクに住み始めて既に14年目に入ったが、なぜこんなことがタイではごく普通に起こるのかというと、中国文化の影響ともいえるタイの拝金主義的な考え方が、その根っこにあるのではないかと考えている。

また、暑い南国のタイではろくに働きもせず、浮気ばかりしている男たちが多い。そんなタイ人男性に愛想をつかしたタイ人女性は多く、むしろ経済的に自分を支えてくれる高齢者を選ぶ女性たちも少なくないのである。

拝金主義は愛につながる

つい先日、YouTubeを見ていたところ、偶然、インドネシアのスカルノ元大統領の夫人であったデヴィ夫人が、日本人の若い娘たちと話している興味深い動画があった。

そこでデヴィ夫人は彼女たちに「低年収だけど相思相愛の彼氏と、自分のタイプでなく全然興味が持てないけど凄いお金持ちの人の両方から求婚されたらどちらと結婚する?」といった内容の質問をするのである。

これに対し、そこにいた若い女性たちは一様に「愛のない結婚など考えられない」と相思相愛の彼氏を選ぶわけだが、それに対しデヴィ夫人はこう答えるのである。

「あなたたち、バカね。愛があっても貧乏生活が続けば愛は冷めていくけど、お金持ちの人には余裕があるから、女性は次第にその人を信頼し尊敬するようになり、やがて愛に変わっていくのよ」。

これを見て筆者は、なぜタイでは外国人高齢者と若いタイ人女性が恋愛関係になれるのかについて、そういうことかと合点がいったような気がしたのである。

つまり、日本では最初からお金のことをいうとはしたないという文化があるが、拝金主義が文化のタイでは、まずお金があることが先にきて、その後恋人にもなれるのである。

だから、定年を迎えたたくさんの日本人男性が、タイでの第二の人生と恋人を求めて退職と同時に次から次へとタイに移住してくるのかもしれない。

もっとも、この場合、高齢者でもそれなりのお金持ちであることが必須条件であり、いわゆる普通の年金生活者でありながら、どこか勘違いしている人も時々見かけるのであるが…。

花盛りのマッチングアプリ

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昔は日本人の中高年者や高齢者がタイ人の彼女を見つけるには、カラオケなどの夜の世界で働く女性と知り合うのがほとんどであったが、オンラインの時代となった今は、タイの日本人の間でもマッチングアプリが主流となってきている。

実際、タイにはたくさんのマッチングサイトがあり、多くのタイ人男性もここで恋人を見つけるようになってきているが、現地の新聞によると大学を出て教養と収入のある女性と出会いたいという需要に特化したアプリなどもあるという。

従って、先に書いたようにタイ人女性にはたとえ年齢差があってもお金持ちで包容力のある外国人を求める人も多いことから、定年退職者等で年齢差を気にしない女性を最初から効率よく見つけたければ、やはりマッチングアプリはお勧めなのである。

金持ち専用マッチングアプリ

ちなみに、タイで恋人を見つけたいといっても、英語も日本語も話せないタイ人女性では最初からコミュニケーションで支障があるので、外国人の多くが高学歴でそれなりの高収入があるキャリアウーマンや、親がお金持ちの良家の出という女性に絞ってスクリーニングしたいということで、それに特化したマッチングサイトも出てきている。

ただし、そこの会員になりたい場合、男性(主に外国人)は純資産が2,000万バーツ(約9,000万円)以上あることが条件で、今の円安下では日本人高齢者にはなかなかハードルが高い。一方、タイ人女性にも最低500万バーツ(約2,200万円)の純資産があることが求められるが、さすがタイは拝金主義の国だけあって入会資格からしてかなり露骨なのである。

そしてこのグループでマッチングが成立すると、知的レベルが高くお金にも余裕のある理想のハイソなカップルができるというわけだ(注:日本ではハイソという言葉はとっくに死語だが、タイ人は今も頻繁に使う)。

もっとも、日本の婚活サイトなどでも、昔は三高(高学歴、高収入、高身長)などといわれていたのが、最近はチビ、デブ、ハゲでもお金持ちがいい、と次第に価値観がお金にシフトしてきていると聞いているが…。

いずれにせよ、バンコクの私の周りでもタイのマッチングアプリで知り合い、タイ人女性と結婚した日本人も何人かいるが、今は有名なタニヤ通りなどのカラオケ嬢よりも、マッチングサイトで最初から自分に適した女性との出会いを求める方が、理想的な恋人に出会えるチャンスがより多く巡ってくるのである。