毎年お届けしているひろの10大予想はあくまでも頭の体操。当てることに焦点を置くのではなく、なぜそう考えたかというプロセスゲームだと思っています。私の10大予想も今年で13回目となります。暦年で見ると正解率は概ね6割程度です。正直希望的観測が入っている部分もありますのでそのあたりはお正月で笑い飛ばすぐらいの感じでご覧いただければと思います。
では25年版ひろの10大予想です。
1 さまよう世界経済、株価は踊り場に
世界中で株価が躍った24年だったが、北米企業の企業業績は伸びしろを失い、踊り場に。金利が下がる世界とは景気も雇用も冷えてきている意味だと改めて思うであろう。特にドイツを中心とした欧州は厳しさを増しそうだ。アメリカの一人勝ちは本当なのか、これも見直す必要がありそうだ。その点からは今年の株価は大きくうねることも視野に入れておきたい。
2 トランプ氏は思うような成果を上げられず
現代の民主主義は誰の利益を守ることなのか不透明になった。トランプ氏は誰のために大統領としての職務を行うのか、Great Americaと言いながら約半分のアメリカ人が望まない政治的かじ取り、そして多くの国が望まない外交方針では前回の時の様な勢いは持ちえない。トランプ氏も時代の変化と妥協の産物を理解する時が来るだろう。
3 日本の政治は混とん、石破首相はいつまで
日本の政治は政党間の主義主張のバランスであり、理念の議員と実務の官僚による駆け引きという構図の中で成り立つ。石破氏のような理念先行型では様々なボイスをかわし、外交をてきぱきこなし、リーダーシップを取るのはなかなかの至難だろう。政権支持率は時間と共に低下しやすい傾向が強く、実績が伴わなければ国民は交代を望むだろう。その流れが世論で明白になれば石破氏はあっさり身を引くだろう。
4 日本では倒産や自主廃業が増え、若者が引き起こす社会問題は更に深刻に
個人事業主はリタイアしたくても引き継ぎ手がなく多すぎた会社は急減する。少子化の中でより資本の集約が進む。若者の多くは不足する労働力の担い手になるが、一部の枠組みから外れた若者は社会から脱落し、メンタルな問題を抱え社会に参加できない。組織に入れない若者の社会問題と事業をたたむ高齢者や自営業者の没落がクローズアップされる。
5 世界では政権交代が続く 保守的となりアメリカと歩調を合わせる
カナダでは中道左派で不評のトルドー氏がついに総選挙を実施、政権交代が春にも実現する。ドイツも中道左派のショルツ政権は終焉し、中道右派のCDUが与党に返り咲く。世界で最も注目されているフランス政治の行方はマクロン氏の必死の抵抗も及ばず、大混乱が続く。24年の選挙イヤーは25年も延長戦が続き、民主主義国家における国民の不満が政治に反映される。唯一、韓国だけは逆行しそうだ。
6 中国経済の回復は苦戦、台湾問題は拡大せず
トランプ氏の強権政治で習近平氏は動きにくい。また中国の国内経済は政府支援策にもかかわらず、消費が伸びず、若年層の失業率も引き続き高く、4%台の経済成長に政権への不満はより高まる。そういう時は戦争などで国民の視線を変えたいところだが、台湾問題は一筋縄でいかず、習近平氏が思い描くような1つの中国を作り上げるのは遠い道のりになる。
7 北米の不動産価格は大きく上昇
北米ではコロナとその後の金利上昇で不動産市場には潜在的買い手が滞留している。金利低下で買い手が一気に市場になだれ込むが供給が追い付かず、不動産価格は二桁上昇をする。建設する側も労働力不足、監督官庁の規制強化、コンクリート材などの材料不足で建設コストも二桁上昇が続くだろう。日本でもその傾向は同じだが、日本の場合は買い手がついて行けなくなる。
8 ウクライナの戦争もイスラエルの戦争も停戦
ウクライナ戦争は24年が比較的硬直した動きだったもののロシアに北朝鮮軍が加担したこと、トランプ氏の不明瞭な対ウクライナ政策、更にはウクライナ経由のガスが年初から止まったことから戦局は動く。またイスラエルも体力消耗、国内世論の分断、イスラエルへの投資控えなどで国家そのものが疲労状態となる。戦争は外部環境が変化した時、思わぬ展開をするものだ。2つの戦争はいよいよ最終局面を迎え、停戦が視野に入るだろう。
9 EVの売れ行きが再び上向き、日本でも見直される
24年、一時期売れ行きが伸び悩んだEVは売れ行きが再び戻る。車は電気製品になり自動運転がより間近に迫る中で開発のベクトルはEVとソフトウェア化と自動運転の相性の良さが指摘される。CO2削減という切り口ではなく、電動化に意味をもたせ、使いやすさと車内空間の活用をテーマとし、既存の自動車のイメージを刷新することに意味がある。これは自動車生産者が生き残りを探るためのマーケティング上の戦略であり、消費者をいかに啓蒙できるかにかかってくる。
10 AIの進化で人間が退化リスク。その防止策が俎上に
スマホは人間を楽にさせた。だが、AIは人間を確実に衰えさせるだろう。AIが働き、人々はベーシックインカムをもらうという発想も紹介されているが、人間が持てる能力に蓋をすれば社会における余剰な人間として扱われるリスクを顕在化させやすい。人間が生産活動をせず、消費活動だけを行い、ボケない日々を送ることの哲学的議論が始まるだろう。
全体を通じて言えることは昔の良き日は想い出となり、今の世界はSNSを通じた人間関係の中で社会を見通す時代になるとみています。私はSNSの次の世界を考え始めています。
私の様な昔を知る人間には時代の変化に若干の寂しさもありますが、若い人には今が当たり前に映るのでしょう。今の当たり前をベースに何十年経っても社会がきちんと回るために皆さんが軌道を補正しながら、生き方の克服をできるかにかかってきます。これからは若い方の時代です。是非とも我々の知っている時代より良い世界を築いてもらいたいと思います。
では今年はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年1月2日の記事より転載させていただきました。