『岩屋毅外務大臣が「台湾有事は日本有事」を否定』とするデマ言説

まーた『後ろから撃つ』をやってるのか。

『岩屋毅外務大臣が「台湾有事は日本有事」を否定』とするデマ言説

 

https://archive.md/0rpRs トータルニュースワールド 門田隆将(門脇護) 山上信吾

『岩屋毅外務大臣が「台湾有事は日本有事」戦略を否定』とするデマ言説がSNSでは吹き荒れていますが、この認識の元となった動画では、岩屋外務大臣はまったくそのような発言をしていませんでした。

岩屋「有事という言葉は好きではない。台湾は無事でなければならない」

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https://archive.md/mjxCV https://archive.md/kaijP

認識の元となっているのは中国語アカウントや中国の英語発信によって発せられた投稿でした。中国のいちユーザーが垂れ流した認識にそのまま乗っかる自称保守系アカウントって、何なんでしょうか?

鳳凰衛視PhoenixTV(中国共産党から資金提供を受けている)が12月26日に公開した、李淼氏によるインタビュー動画が元です。YouTubeで全編が公開されています。*1

岩屋大臣発言書き起こし

岩屋 私はね、台湾有事という言葉はあまり好きではないちゅうか、台湾はですね無事じゃなきゃいけないんですよ。有事じゃなくてね。台湾も日本にとってはご縁がある大切な友人なんですけれども、我々は日中国交回復のときの、あのときの共同宣言の精神を未だに堅持をしておりますので、台湾と大陸の関係はあくまでも対話によって平和的に解決をしてもらわなければならないという思いでございますので、台湾は無事でなければいけない。有事有事っていう言葉をあまりあちこちで言いまわるっていうのはいかがなものかなあとそういうふうに感じております。

「有事という言葉は好きではない」「有事有事っていう言葉をあまりあちこちで言いまわるっていうのはいかがなものか」とは発言しているものの、「台湾は無事でなければいけない。」ということが趣旨です。

なお、当の台湾外交部(外務省)は日中首脳会談の岩屋大臣の発言を受け同日、「評価と感謝を表明する」とのコメントを報道資料を通じて発表しています。

岩屋外相「台湾海峡の平和と安定」重要と強調=日中外相会談 外交部が感謝表明 – フォーカス台湾

「台湾有事は日本有事」は日本政府の戦略用語としては扱われていない

衆議院議員原口一博君提出元首相による「台湾有事は日本有事」といった発言に関する質問に対する答弁書 内閣衆質二一二第三四号 令和五年十一月二十日

御指摘の「台湾有事は日本有事」については、令和三年十二月一日に安倍晋三衆議院議員(当時)が、また、御指摘の「(日本、台湾、米国を始めとした有志の国の)戦う覚悟」については、令和五年八月八日に麻生太郎自由民主党副総裁が、それぞれ発言した内容を指すものと考えられるところ、いずれも政治家個人としての見解を述べたものであると承知しており、お尋ねについて政府としてお答えする立場にない。
いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の一貫した立場である。

「台湾有事は日本有事」は日本政府の戦略用語としては扱われてはいません。

故安倍晋三元内閣総理大臣が辞任後、閣外の衆議院議員である間に、台湾及びその周辺で行われる武力行使に関する日本への影響を述べた言葉であり、その用語をそのまま政府が採用するということにはなっていません。

だから、「岩屋大臣の発言で台湾有事は日本有事という戦略が否定された!」という認識は、最初から間違っています。

さらに言えば、岩屋大臣のフェニックスTVでの発言は、「台湾有事は日本有事という認識」まで否定したとは言えません。

なお、以下の報道がありますが…

中国が宮古海峡で封鎖演習、台湾有事を想定か…沖縄・尖閣周辺に「重武装」海警船団も初確認 : 読売新聞

中国海軍と海警局が昨年12月、沖縄本島と宮古島間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行ったほか、重武装をした海警船団を沖縄県・尖閣諸島周辺に派遣していた…政府は、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を拡大させることも選択肢の一つとしているとみて、警戒を強めている。

「台湾は無事でなければならない」が、これに対する苦言になっているのかどうか。

外交上でいくら言葉で攻撃したところで実力が伴ってなければ意味が無いですからね。

日本国内の自称保守系・右派から『後ろから撃たれる』ことを故安倍晋三内閣総理大臣は気にしていましたが、まさにSNSではそんな感じになってるんじゃないでしょうか。


編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2025年1月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。