USスチールCEOがバイデン政権を異例の猛批判:「中国を利する」買収阻止に激怒

アメリカのバイデン大統領が、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を「国家安全保障上の懸念」から禁止する決定を下しました。この決定を受け、USスチールのデビッド・ブリットCEOは「恥ずべき腐敗行為」と厳しく批判し、日本を侮辱し、米国の競争力を危険にさらす決定だと非難しました。また、この決定が「中国を利する」ものであるとも指摘しています。

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この買収計画は、日本製鉄とUSスチールが合意していたものでしたが、アメリカ政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が安全保障上のリスクを理由に承認できず、大統領の判断に委ねられた結果、この買収案は阻止されました。

これにより、日本製鉄は約800億円の違約金を支払う可能性があり、同社の米市場戦略や地域経済、雇用維持に影響が出るとされています。このような前例ができることで、今後米国企業が倒産しても、政府による介入リスクが懸念され、他国の企業が救済に乗り出さなくなる可能性が指摘されています。

日本製鉄は、この命令が法令違反に当たるとしてアメリカ政府を提訴する方針であり、今回の決定が今後の日米関係に与える影響が懸念されています。バイデン政権の決定は、アメリカの保護主義の表れであり、日本企業による米企業買収の障害を浮き彫りにしました。

政権に対する怒りを隠そうとしないU.S.スチール デビッド・ブリット社長兼CEO(Wikipedia)

一方、全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコール会長は、この決定を歓迎し、日本製鉄が不当廉売によって米国内産業を弱体化させてきたと批判しました。

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一部ではありますが、日本製鉄は過去に中国の製鉄所設立を支援してきた経緯があり、米国が買収に警戒するのは当然だとの指摘もあります。

アメリカ政府が日本製鉄によるUSスチール買収を阻止しようとする背景には、「日本」という名の企業が「アメリカ」という名の企業を買収することに対する心理的な抵抗が、国民感情の面で影響している可能性があるとする意見も少なからず見られます。