人に優しくなる気持ちの持ち方

黒坂岳央です。

手前味噌のようでおこがましい限りだが、筆者は以前に比べて人に対して物腰柔らかく、丸くなれた、つまり優しくなれたと思っている。これは「優しい人になろう」と意識してそうなったというよりは、気持ちの持ち方を変えた事で自然にそうなったという方が正しい。

昔は強固な「あるべき論」を相手に押し付けてぶつかることも多かったが、今では平和的にコミュニケーションを取れるようになり、トラブルの匂いがし始めたらさっさと相手に勝ちを譲って、素早く身を引くことができるようになったと思っている。

今回はその気持ちの持ち方を2つシェアしたい。

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1.自分のために相手に優しく

「相手に優しく接するのは、自己犠牲の上に成り立っている」という考えをよく見る。

確かにそうした場面もゼロではないが、筆者の場合は「相手に優しく丁寧に接することは、トータルで見て自分が得をする」ということを肌感覚で実感が伴った時から自然にできるようになったと感じる。

たとえば相手が困っている時にさっと手を貸すと喜ばれることが多い。先日、セブンで外国人女性二人がスムージーのバーコードをマシンに読み取らせるのに手間取っている様子だったのを見て、声をかけて代わりにやった。すると相手から「Thank you!」と笑顔でお礼を言ってもらえたのでその日一日、すごくいい気分になれたのだ。

また、取引先と仕事を進める上でも「これは相手に役に立つ情報だから先回りして出しておこう」と考えて提供すると「細やかなお気遣いありがとうございます!」と喜んでもらえた。

「そこまで自分が相手を助ける義務はない」と考えるのも人それぞれの判断かもしれない。だが、シンプルに相手から喜ばれ、感謝されることは本来は誰にとっても嫌な気持ちにはならないはずだ。

多くの場合、「自分が辛い時に人に親切にすることは難しい」と言われがちだ。確かにそうかもしれない。だが筆者はむしろ、自分が辛い状況の時ほどより親切にしたくなることも少なくない。

たとえば、悩み相談をされた時に具体的なアドバイスをした上で「大丈夫、あなたならきっとうまくいくよ」と元気を出すように応援する。

たとえ自分が辛くて落ち込んでいても、相手から「ありがとう」と感謝の言葉をもらうことで、たちまち心の傷が癒やされるように感じるのだ。自分が辛い時ほど、相手を親切にすることで自分が救われると思えることが少なくない。

つまり、これは自分が気持ちよくなるために相手に優しく接するということである。そうなれば自然体で相手に親切に接することができると思っている。

2.負けるが勝ち

仕事や人間関係ではトラブルはつきものである。ネットと違い、リアルでは理不尽な怒りを向けられた時にブロックをして関係を終わりにすることも難しい。そんな時は相手の怒りに飲まれて血の気荒く応戦するより、さっさと相手に勝ちを譲ってしまえばいい。

先日、親族から自分に理不尽な怒りを向けられた場面があったが、反論をグッとこらえて「その気持ちはよくわかりますよ。誰だって頭に来ますよね」と共感を示したことで、その瞬間に相手の怒りは見る見る鎮火して、「わかってくれて嬉しいよ」と落ち着きを取り戻して平和的な対話ができた。

こうした平和を求める態度は人によって優しい人物と映るだろう。だがその実、これも自分自身のためなのである。

つまらないプライドを守るために時間やエネルギーなどの貴重な人生リソースを使って争いに勝っても失うものがあまりにも多すぎる。それなら、プライドなんてどうでもいいので、さっさと勝ちを相手に譲って平和的に終わらせるので良い。負けるが勝ちである。

まともな相手であれば「この人はプライドにこだわらず、自分を負けで終わらせる器を持っている」ということを理解するので、それ以上争いにもならない。大人とは相手の怒りを余裕の態度で対処するものなのだ。

もちろん、全てではない。仕事の責任問題や時には譲れない議論が必要な場面もあるだろう。だが、人間関係の争いの多くは1年後には全く記憶にないような小さなことばかりだ。小さなことを大きく荒立てるのは得策ではない。

もちろん、世の中にはどうやっても対話が難しい相手もいるし、勝ちを譲ったことでますます取り扱いが難しくなる人もいる。そうなれば静かに相手と物理的距離を取ってno dealでいいだろう。

だが、初対面の段階ではできるだけ相手に対して親切に、平和的な対話を目指す態度でいることを勧めたい。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。