首都圏のマンション価格は「東京かそれ以外か」に2極化

CHUNYIP WONG/iStock

今週の新聞折り込みチラシの不動産広告を見ていたら、赤坂の中古マンションで売値が25億円という物件が掲載されていました。もはや普通の日本人には手が届かない金額です。

東京の中心部のマンション価格は引き続き強含んでいますが、郊外では別の動きが起こっているようです。

日本経済新聞電子版によれば、2024年の中古マンションの平均価格は東京が5%上昇したのに対し、神奈川、千葉、埼玉では下落しています(図表も同紙から)。

郊外物件は在庫も積み上がってきているようで、2025年も価格下落の流れが続きそうです。

東京と神奈川、千葉、埼玉の違いは購買者層です。

東京以外にある郊外物件は住宅ローンを使った実需が中心です。住宅ローンは年収によって上限が決まってきますから年収が上がらなければ購入可能額に限界があります。更に、日銀の利上げによってローン金利も上昇しますから、同じ年収でも借入可能額は減ってしまいます。

金利が更に上昇することを恐れて、住宅ローンを組むのを躊躇する人も増えているのです。

一方の都心の高額物件の購入者は会社経営者や外国人が中心です。ローンを組む人もいますが、現金購入比率が高く金利上昇の影響は郊外ほどは受けません。海外からの不動産投資資金も引き続き流れてきていますから、需給関係がタイトになっています。

また、都心部では家賃の上昇が始まっています。これも不動産価格の上昇に寄与します。

東京の都心物件は金利上昇に対する影響が相対的に小さい。ということは、今後も需要が急減するリスクも小さいと言えます。リーマンショックのような金融市場の混乱、地震やパンデミックなどの天災といった想定外の事態が起こらなければ、引き続き「東京とそれ以外」の2極化が続くと予想します。

郊外物件に関しては、限られた一部の好立地物件は東京と同じような価値を維持するものの、大半は買ってはいけない物件になっていくことでしょう。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。