
Silent_GOS/iStock
欧米や日本、ウクライナなどの立場における致命的な誤りは、もともとウクライナをNATOやEUに加盟させた後の安定した国際秩序についての明確なビジョンを欠いていたことだ。というよりも、そもそもそのような秩序を描くこと自体が不可能だったと言える。
かつてプーチンはNATO加盟の意向を示したことがある。さらに言えば、ロシア人もEUに加盟できるならば歓迎するだろう。
しかし、欧米はそれを容認しなかった。ウクライナを欧州の一員として受け入れる一方で、ロシアを排除するという方針をロシアが受け入れるはずもない。しかも、ウクライナがEU・NATOに加盟すれば、それらの組織はロシアに対して多方面から圧力をかけ、体制の変革や国内のエスニック集団の要求を受け入れるよう迫るだろう。
こうした状況の中で、ロシアが混乱に陥り暴発すれば、日本にとっても危険な事態となる。
さらに、ウクライナがEUに加盟し、移住の自由が認められれば、国民の大半が国外へ流出し、国内が空洞化する可能性が高い。
ウクライナ戦争の影響で米英では政権交代が起こり、ドイツでも同様の動きが見られる。日本、フランス、韓国、台湾では、与党が議会で過半数を割る状況に陥った。これこそが、この無謀な戦争の結果ではないだろうか。もはや、損切りするしかない。
もう一つの提案として、対ロシア制裁を解除する代わりに、ロシアにウクライナの戦後復興資金を負担させるべきだ。制裁は日本にとっても莫大な損失をもたらした。それをやめることで、すべての関係国にとって利益となる。制裁解除によって浮いた資金と、ロシアの経験を活かしてウクライナの再建を進めるべきだ。
■