アメリカのトランプ大統領が、輸入品に関税をかけている国には相互関税をかける方針を打ち出した。その調査対象として、ヨーロッパの付加価値税(VAT)や日本の消費税も含まれていることがわかった。
日本車・消費税、標的の恐れ 商慣行・為替も問題視 相互関税:朝日新聞 https://t.co/q1UEUwEjnm
— 池田信夫 (@ikedanob) February 17, 2025
相互関税とは?
- トランプ大統領が「相互関税」政策を発表し、特定の国に高関税を課す方針を打ち出した。
- 単なる関税だけでなく、非関税障壁(規制・商慣行など) も対象とされる。
- アメリカの貿易赤字が多い国が特に調査対象になり、日本や韓国が名指しされた。
日本への影響
- 日本の自動車市場
- 日本は工業製品の関税は低いが、非関税障壁(安全・環境基準、国内企業の優遇規制など)があると指摘される。
- トランプ氏は以前から「日本市場は米国車の販売を難しくしている」と批判していた。
- 消費税も標的に
- トランプ氏はEUの付加価値税(VAT) を関税と同じものと批判。
- 日本の消費税の仕組みも、米国製品に不利と見なされる可能性がある。
Q. 消費税は輸入品だけでなく国内の商品にもかかるので、関税とは違いますね?
はい、その通りです。関税は輸入品にのみかかる税ですが、消費税も付加価値税も国内で販売されるすべての商品・サービスに課される税であり、輸入品が不利になるわけではありません。
消費税と関税の違い
項目 | 消費税 | 関税 |
---|---|---|
課税対象 | 国内で販売されるすべての財・サービス(輸入品を含む) | 海外からの輸入品 |
課税の目的 | 国内の税収確保(広く公平な負担) | 国内産業の保護・貿易調整 |
適用範囲 | 国内外の全商品・サービス | 海外から輸入される特定商品 |
免税対象 | 輸出品(輸出時に還付する) | なし(基本的に輸入品にのみ適用) |
Q. なぜトランプ氏は消費税を「関税のようなもの」と批判したのでしょうか?
- 日本の消費税は 輸出品には課されない。そのため、日本企業(例:自動車メーカー)は消費税を負担せずに海外へ販売できる。
- 一方、米国から日本に輸入される商品には消費税がかかるため、「輸入品にとって不利ではないか?」 という指摘がある。
- 過去にもクリントン政権がそういう対日要求をしたことがある。
Q. この批判は正当でしょうか?
- 日本の消費税は 輸入品にも国内品にも同じように課税される ため、不公平ではない。
- EUなども VATの輸出免税 を採用している。輸出メーカーは国内で部品などにVATを払っているが、その価格を消費者に転嫁できないので還付する。
- したがって日本の消費税を「関税と同じ」とするのは誤解である。
- アメリカが不利になるのは、G7で唯一消費税がないことが原因。相互にかけるなら、アメリカも連邦消費税をかけるべき。
Q. 報復関税はWTO違反になるのでは?
報復関税とは?
- 他国の不公正な貿易措置に対抗して、自国が輸入品に高い関税を課すことを指す。通常は、二国間の貿易摩擦が原因で発生する。
- WTOは、加盟国間での貿易を公平で自由にすることを目的としている。関税の引き下げや差別的な貿易措置の禁止が原則。
報復関税がWTO違反となるケース
- 無許可での一方的な関税引き上げ:WTOの手続きを経ずに、他国に対して一方的に関税を引き上げる行為は違反。
- 最恵国待遇の違反:特定の国だけに高い関税を課すことは、WTOの「最恵国待遇(MFN)」の原則に反する。
トランプ政権の報復関税はWTO違反か?
- トランプ前大統領は、関税を引き上げる際にWTOの手続きを踏まなかったケースが多かった。例:鉄鋼・アルミニウムへの関税(232条)
- 安全保障を理由にした関税措置はWTOのルール上疑問視された。
- WTOは米国の関税措置を違反と判断し、複数の国がWTOに提訴した。
結論
トランプ氏は前政権でも一方的な関税をかけたので、今回も実行する可能性はあるが、その場合はEUも日本もWTOに提訴し、大混乱になるだろう。アメリカもインフレになり、誰の利益にもならない。