健康、時間、お金の「次」に大事なもの

黒坂岳央です。

あなたにとって、人生で本当に大切なものは何だろう?それは「健康、時間、お金」ではないだろうか?そしてその優先度はこの順番通りである。

まず、健康でなければ時間やお金があっても何の意味もない。そして時間がなければお金を有効活用する暇もない。最後にお金は何をするにも必要になる。

だが、その「次」はあまり聞かない。結論、それは「情熱」だ。

Dilok Klaisataporn/iStock

30代以降に輝いて見える人は少ない

人生序盤は誰しも夢を持っている。「サッカー選手になりたい!」「アイドルになりたい!」といったように、それぞれやりたいことがあって将来輝く自分を想像して今を頑張る。

しかし、若さの魔法は20代後半で少しずつ解けていき、30代半ばになると、自分の人生の枠が決まったように感じてしまう人も多い。

30代半ばにもなると、もうその先の人生の全体像はおぼろげながら見えてくる。特にサラリーマンはそうだ。日本で課長になれる人は3割にも満たず、この時点で一生、平か役職持ちかはほぼ固定化する。結婚、出産などのライフイベントも同様だ。

「今のままではミラクルは起きない。だが、ミラクルを起こすには年を取りすぎている」多くの人はこのように考え、いつしか夢を追いかけることもなくなってしまうだろう。

何歳からでも人生は変えられる

稚拙な自慢をするつもりなど毛頭ないのだが、筆者には人並みはずれた才能はないが、「情熱」はずっと持っていたように思う。そのおかげで普通の人が10代、20代に人生のピークがあると感じるのとは真逆で、自分の場合は30代半ばから人生に輝きが出てきた。

世間一般的な生き方と比べて自分はタイムラグが多かったと思う。大学には23歳と5年も遅れて入学、卒業したし27歳で新卒である。会社をやめて脱サラしたのも、子供が生まれて毎日おしめ交換をしている時期だった。普通はこんなタイミングは選ばないだろう。

だが、情熱は人生を何歳からでもひっくり返してくれる。本を出したいと思ったら出版活動に駆け回り、今は商業出版として4冊目の本を書いている。人前で話してみたいと考えて画策していたら、自主セミナーや講演に呼ばれるようになった。

「これもあれもやってみたい」と年甲斐もなく次々とやってみたくなり、そして実現するまで何年も粘り強くやり続けられたのは「絶対に実現したい!」という情熱のおかげだと思っている。

やりたいことに年齢は関係ない

人がやりたいと感じる挑戦に年齢は関係がない。

筆者は仕事で英語を教えているが、教え子の中には60代で英検1級を取得した後、学校で英語教師の仕事を獲得した人もいる。また、定年退職後に英語を勉強してインバウンド外国人にガイドをする仕事をフリーで始めた人もいる。彼らは本当にすごいと思わされる。ずっと英語と異文化交流が好きで、60歳を超えてそこから夢を叶えているのだ。

「大学生の頃は楽しかったな。また必死に勉強がしたい」と思えば、40代でも50代でもいいから行きたい大学に行けばいい。楽器の演奏に憧れたら、音楽教室で好きな曲を演奏してみればいい。

少しばかりのお金、時間、そして健康があるなら、人は何歳からなんにでも挑戦できる。

情熱がないとFIREしても辛いだけ

理想の環境が揃っていても「情熱」がなければ何も始まらない。昨今、FIREが非常に流行っているが本当に矛盾を感じる。

一生分どころか、二生分、三生分の必要資金をビジネスで稼ぎ出すようなビジネスマンは仕事が楽しくてFIREなんて考えないし、1秒も働きたくない人ほどFIREの背中が遠くてなかなか蓄財が進まないという意味である。

仮に働きたくない人がFIREしたら、今度は生きがい不足に困ることになるだろう。FIREはあくまで手段であり、その先にやりたいなにかがなければ圧倒的な暇に押しつぶされてしまうのだ。

情熱は生まれつきの才能のように感じられるし、実際「程度」は人によって決まってしまうと思う。しかし、人は誰しも知的好奇心や形は違えど願望を持って生まれてくる。その願望の実現可能性を信じることができた時、ほとばしる情熱を見ることができるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。