
石破茂氏と野田佳彦氏 両氏インスタグラムより
予算の年度内成立
二人の狙いは、ズバリ、衆参ダブル選挙と大連立だろう。
現状のままいけば、自民党と立憲民主党の議席数は拮抗することになる。ただ、予算案が年度内成立が難しい状況になれば、必然的に自民党内で石破茂の責任論に発展する。
自民党は今次の参院選で是が非でも負けるわけにはいかない。では今の自民党の少数与党の現状で支持率の回復と議席の確保が望めるかと言われれば、非常に厳しい。それに加えて、予算の年度内成立が出来ないとなれば、自民党の支持率は急速に落ち込むことになるだろう。
しかし、石破茂は誰よりも総理総裁の地位に固執しているので、党内で辞任の声が高まると、衆参ダブルをチラつかせ、党公認を与えるかどうかで議員を脅しにかかるだろう。これは立憲民主党の野田佳彦も同じだ。
この点において両名の狙いは一致している。
つまり、自民党与党の議席確保と野党第一党の立場を守りたい野田佳彦は、思惑において一致しているのだ。
ところが、来年度予算に関して紛糾が予想された国会において、自民党、公明党、日本維新の会が連携して予算に賛成する動きが出てきた。かねてから高校授業料無償化を提唱してきた日本維新の会、分けても党是として高校無償化を掲げてきた「教育無償化の会」の前原誠司が日本維新の会の共同代表になり、党が授業料無償化に大きく傾斜した。

日本維新の会の案を受け入れることで、予算成立の足がかりを目指した自民党にとって、5,500億の支出は大したことではないと判断したのだろう。また、予算の年度内成立が実現すれば、石破政権は一応の面目を保つことになる。
予算が成立すれば、表向きの政権運営は出来ているという自民党内の評価が出れば、石破下ろしの機運も起きにくくなると判断したのだろうが、自民党内には、日本維新の会と握ったことで国民民主党案を反故にすることが国民からの反発を買うとの見方もある。

少数与党によるギリギリの政権運営に対し危機感を持つ自民党議員としては、石破茂への反発は必至だ。
では予算成立した状態で、果たしてこのまま参院選に突入できるだろうか?
自民党と立憲民主党の敵は国民民主党
維新と手を組んだ自民党は、決して立憲民主党を捨てたわけではない。立憲民主党の目下の敵は、自民党ではなく国民民主党だ。現実問題として、国民目線に立った政策を打ち出し支持率が上がっているのは国民民主党で、それまで立憲民主党がバカにしてきた国民民主党が、野党第一党と支持率において拮抗するなど、青天の霹靂と考えている。
議席数では国民民主党を大きく上回る立憲民主党であるが、支持率が拮抗するということは、政権担当する政党として、国民民主党が有権者の選択肢に入っているということで、これは国民民主党が野党第一党を狙える位置にあることを意味する。
しかし、増税したくて仕方ない石破茂と野田佳彦にとって、国民民主党の台頭は、なんとしても防がなければならない。それであれば石破茂はどうするだろう?
これが、維新の会と手を結んだ石破茂の思惑で、兎にも角にも予算さえ通せば、7月まではゆっくりと戦略を練り直すことが出来る。そこで参院選の結果次第で、立憲民主党との大連立を模索するだろう。仮に石破茂と野田佳彦が組めば、大増税政権の誕生で、私が以前から指摘しているように、財政再建を旗印にしている石破茂と野田佳彦と、その思惑で一致する。
一方、景気を上向かせる為には、まずは減税だよと訴えている国民民主党は、自民党と手を組もうとは考えていない。何故なら、参院選での議席増も大事だが、もっと大事なのは次の衆院選だからだ。
国民民主党としては、減税を公約に議席を伸ばした以上、103万の壁の上限を引き上げる上で178万は譲れない数字だからだ。その意味で、今回自民党税調が出してきた新たな壁を作る段階的な基礎控除額引き上げ案は、仮に自民党がその数字で押し切ったとしても国民民主党にとっては都合がいい。石破茂のケチな根性を引き合いにして参院選を戦えるからだ。
立憲民主党との大連立を模索する石破茂にとって、予算の年度内成立と高校授業料の無償化の実現により維新と共闘することが見えてくれば、参院選で議席を減らしたとて立憲民主党と手を結ぶ選択肢がより、強くなることになる。

自民党は年度内の予算の自然成立を目指すことを諦めたのだろうか?
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以後、
- 立憲民主党の茶番劇
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。