黒坂岳央です。
先日11日、東京で痛ましい事件が起きた。この事件に限らず、世の中には、異性との関わりが少なく、恋愛や結婚に対する理想と現実のギャップを埋められないまま年齢を重ねた男性が、若い女性との恋愛に真剣になってトラブルになるケースがある。
また、たとえ高学歴で、知的な職業に就いている「さえなくない男性」であっても、このような恋愛観のギャップを抱えることがある。
一体なぜなのか?理由を考察したい。
Marc Calleja Lopez/iStock
彼らは20代で時が止まっている
結論から先にいうと、彼らは心理的に20代の価値観のまま、時間が止まっているように感じられる。これは、心理学で「ピーター・パン症候群」とも呼ばれ、大人になっても青年期の感覚から抜け出せない心理状態を指す。
特に自分より年下の若者や子供と関わる機会がなく、社会的な役割の変化を経験しない場合、この傾向が顕著になる。「自分はもう中高年なのだ」という事実を受け入れるきっかけがないまま、社会的な年齢という記号が増え続けていく。実態に感覚が追いつかないという事が起きる。
一昔、有名になった40代まで無職で司法試験に挑戦し続けた男性のブログについて、過去記事で意見を書いたことがあった。彼自身は40代なのに、心が高校生のままで止まっている。そのため、心ときめく相手は女子高生までで、大学生の女性は「年上のお姉さん」にしか感じられないという感覚だといっている。
このように時が止まったまま、年齢だけ中高年になってしまうという現象が起きてしまうことがあるのだ。
男性の結婚も「年齢」が最重要
たまに40代、50代男性で「将来、こういう女性と結婚をして子供は何人いたら郊外で家を買って~」みたいなことを言う人がいる。
もちろん、希望すること自体は本人の自由であり、自分は意地悪く否定的な事を言うつもりなどまったくない。しかし、あくまで統計データだけを見ると、現実はなかなか厳しいと言わざるを得ない。
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2023)改訂版」によると、40代男性の初婚率は5.59%と低い。これは「40代で初めて結婚する人の割合」であり、再婚者や50代以降に結婚する人は含まれないが、それでも40代で結婚することは非常に狭き門であると言える。
さらにこの狭き門の5%に入って結婚できても、出産可能かどうかはまったく別問題である。どれだけ本人が希望しても、体外受精などをしても生物学的な限界値は高く立ちはだかる。
高学歴、高収入より若さが大事
先日、50代の経営者の社長がYouTube動画で「自分は私大最難関出身で年収も2000万円以上あるのでいずれは結婚できるはずだ」という趣旨のことを言っていた。
だが現実的にこれもズレた認識に感じる。高学歴や高収入は「結婚適齢期の年齢」で始めて価値が出るものである。リクルートの「ゼクシィ縁結び」による調査(2022年)によると、婚活市場では男女ともに「相手の年齢」を最も重視する傾向がある。
統計上は20代で300万円台の方が、50代で高学歴年収2000万円のハイキャリアの人材より圧倒的に結婚可能性が高いといえる。
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SNSなどでは東京で40代で遊んでいる男性と思しき投稿が流れてくるが、地方では人によっては40代というとすでに孫がいる年齢である。実際、筆者の会社には40代後半で孫がいる従業員が二人いて休日は孫のお世話をしている話題でよく盛り上がっている。
それ故に40代を過ぎても「モテを意識し、魅力的な女性がいれば将来的に結婚を」といった男性の投稿を見るたび、筆者にはそれがまるで20代のような感性に感じてしまうのだ。
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