国防総省のフーシ派攻撃の作戦情報が漏えい:誤って記者をグループチャットに招待の前代未聞

アメリカ軍によるイエメンの親イラン武装組織フーシ派への攻撃に関する情報が、攻撃実施前に外部へ漏洩していた疑いが明らかになりました。24日、米誌「アトランティック」のジェフリー・ゴールドバーグ編集長がその経緯を公表し、トランプ政権の杜撰な情報管理が明らかになりました。

The Trump Administration Accidentally Texted Me Its War Plans(トランプ政権、私に誤って戦争計画を送ってきた) The Atlantic

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国家安全保障担当補佐官のマイク・ウォルツ報道官が誤って『The Atlantic』編集長を暗号化アプリ「シグナル」のグループチャットに招待し、フーシ派攻撃に関するやりとりが明らかになったことから発覚しました。

ゴールドバーグ編集長は当初その内容を信じていなかったものの、実際に攻撃が実行されたことで真実性を確信し、24日にスクリーンショット付きでその詳細を報じました。

チャットにはバンス副大統領やヘグセス国防長官、ルビオ国務長官、CIAのラトクリフ長官、ギャバード国家情報長官ら主要幹部が参加していました。

バンス副大統領は3月14日にこのグループチャット内で、「我々は間違いを犯していると思う」と述べ、この作戦がヨーロッパに対する政権のメッセージと矛盾し、石油価格の上昇を招く可能性があると懸念を示しました。ヘグセス国防長官は懸念に理解を示しつつも、攻撃の意義を強調しています。

このチャットの会話後、実際にトランプ大統領は15日、米軍に対しフーシ派への大規模な武力攻撃を命じています。

この一連の出来事は、政権内の外交政策に関する意見の相違や、機密情報の取り扱いに対する懸念を浮き彫りにしています。

また、その内容に対し、チャットのやりとりが”軽い”ことに驚きの声もあがっています。

ギャバード国家情報長官は、上院情報特別委員会の公聴会に出席し、グループチャット内でフーシ派の標的に関する議論があったことを認めたうえで、「共有された情報に機密性の高い内容は含まれていなかった」と説明しました。

トランプ大統領は安全保障担当のウォルツ補佐官の責任は問わない考えを示しました。ウォルツ補佐官は、編集長がチャットに加わった経緯を「面識も連絡もない」とし、調査中であると述べました。また、使用アプリの安全性について技術面・法律面から調査する方針も示しました。

ホワイトハウスは声明で、フーシ派への攻撃が成果を上げたことを強調したうえで、「トランプ政権に対する組織的な行為」と述べ、民主党やメディアを批判しましたが、前代未聞の情報漏えいに違いはありません。

アメリカの統治機構が溶解しようとしています。

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