「知らない着信」に出てはいけない

黒坂岳央です。

「最近の若者は電話に出たがらない」という嘆きはどこの職場にもある。そして「電話自体が非効率で時間も自由も奪われるからきらい」という人は年齢を問わず増えている。

だが、今回はそういう話ではない。もう「知らない着信」には出てもいけないし、折り返しもするべきではない時代になりつつある。

Tero Vesalainen/iStock

87.8%が「知らない電話に出ない」

株式会社フォレスタの調査によると知らない電話には出ないと回答した人が87.8%とある。さらに着信した番号を検索するという人もかなりの人がいることが分かる。

そう、これが現代人の行動様式なのだ。いきなり電話をかけても9割近くは電話を取らない。iPhoneには留守録の音声を文字起こしして記録してくれるサービスがあるので、折り返すまでもなく相手の用件が分かってしまうので不審な電話を回避しやすくなる。

筆者の場合は「詐欺、営業」が嫌なので知らない電話には絶対に出ない。また、番号も偽装できるので「着信した番号を検索」は過信しない。重要な要件なら留守録を残すので、それを見て詐欺や営業電話なら毎回、着信拒否をするようにしている。

これほどのセキュリティ意識を持たなければ危険な時代になった。特に昨今、詐欺が海の向こうを乗り越えてやってくる時代なので、日本人同士だと通じた性善説は通用しない。

宅配業者を騙る詐欺が急増

また、近年、宅配業者を装った詐欺が急増している。

SNSで非常に話題になっているのが宅配業者を装い、「伝票が雨に濡れて住所がわからないので教えてほしい」という詐欺電話だ。これに素直に応じてしまうと、相手に電話番号、住所、名前と強盗をするのに必要な情報が丸ごと渡ってしまう。

その他の詐欺電話とは危険度レベルがケタ違いなので、絶対に気をつけなければいけない。

筆者は、宅配日を固定し、必ず在宅して受け取るようにしている。そのため、申し訳ないが電話には出ないルールを徹底している。

住んでいる場所は田舎で営業所やドライバーとも顔なじみで、お互い知っているので「うちは多少遅れても全然気にしないから、ゆっくり届けて」と伝えている。

警察庁の報告によれば、令和4年の特殊詐欺の認知件数は17,570件で、前年より21.2%増加。被害額も370.8億円と、前年より31.5%増加している。

また、最近は社長の声をAIで合成し、従業員を騙して振り込め詐欺を行わせる例も報告されており、知らない番号からの着信は、詐欺や営業の可能性を疑うくらいの警戒心が必要だ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。
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