日本経済、次の注目は北海道である理由

日本広し、その中でどのエリアに成長の期待を抱いてビジネスを展開するか、という話題はありそうでないものです。我々が小学校の時は工業地帯のあるところ=経済発展の余地があるところというニュアンスが強かったものです。4大工業地帯、京浜、中京、阪神、北九州の話を現代の人にしても???かもしれません。事実、北九州工業地帯は既に4大工業地帯からは外されてしまっています。

博多は北九州からはやや遠いけれど九州の中心として、また東アジアの玄関口として大きく伸びたことは事実です。私も応援しているのですが、一つ、間違った気がします。それは空港。福岡空港は滑走路一本当たりの離発着頻度は羽田、成田を凌ぎ、日本で最も高いのです。その緩和策でこの空港拡大が検討されたのですが、既存の滑走路に並行してもう1本作り、第2滑走路として先日、運用が始まったのです。ところが双方の滑走路が近すぎて同時の離発着が出来ない中途半端なものなのにこの開発費用が1600億円です。想像するに福岡空港の利便性の良さゆえに新規海上空港建設案が魅力的に映らなかったからでしょう。しかも福岡空港の周りは住宅密集地。この判断は申し訳ないですが、全くいただけないものでした。

大阪は万博と将来のカジノで観光客の増大に伴い、経済的地盤沈下に耐えるのだと思いますが、攻めより守りの感じが非常に強い気がします。名古屋は地味ながらも実質的に日本のど真ん中に位置しており、東京と大阪からのアクセスも良いことを考えればポテンシャルはまだまだありますが、爆発的な発展があるとも思えません。東京は京浜工業地帯が変わりつつあります。工場より住宅や商業地としてのバリューが高いことから川崎あたりでは特に大変貌が進むのでしょう。つまり産業が主眼ではありません。

では産業という観点から見て次は何処か、という発想はあると思います。産業発展には当然人もついてこなくてはいけません。現代社会では環境も重視されるでしょう。そう考えると私は北海道が次世代の要ではないかと思うのです。

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北海道の産業といえばまずは半導体企業、ラピダスが筆頭に上がるかもしれません。もう間もなく竣工でテストランが始まり、27年ごろから量産体制に入る計画です。世界をリードする半導体企業となるか、世界に挑みます。実はあまり知られていないかもしれませんが、北海道はデータセンターも多く進出しています。理由の一つは気温が低いため、外気を取り込んでサーバーを冷やすことで効率よい運営ができるからです。

データセンターで必要なのが電力。ところが北海道はこれがネックでした。今期待されているのが泊原発の再稼働。原子力規制委員会の審査はほぼ終わり、安全対策を施せば2-3年での再稼働が視野に入ります。

また北海道の自然を利用し、水力発電もあります。民間資金を利用し、既存ダムを利用し水力発電が出来るよう11か所で検討、計画されています。水力発電のうまみは天候などに左右されにくいことと発電コストが安いのです。私の住むバンクーバーは水力発電の電力ですが、電気代は他地域に比べ半分から1/3程度とされます。

産業のコメという表現がありますが、産業の酸素なら電力である、と私は言いたいのです。AIにしろ、データセンターにしろ、半導体工場にしろどれも莫大な電力を必要とします。北海道は幸いにして人口密度が薄く新しい産業形態に合わせた取り組み対応がしやすいのです。

小型原発(SMR)は世界では話題で、例えば日立はカナダでGEと組んで建設中で28年頃完成、稼働の予定ですが、日本ではSMRについて検討するどこかだれもそれに触ろうとしないのです。でも日立は海外で作っているのです。ならばその知見を活かせば北海道での建設はアリだろうとみています。

もう一つの北海道産業界の魅力は宇宙産業の潜在性です。北海道大樹町にある北海道スペースポート(HOSPO)の名前は知らないけれどホリエモンがロケットを飛ばそうとしたところと言えば思い出す方もいらっしゃるでしょう。あの場所はロケット基地として広く公開されたいわば、ロケットの空港みたいなものです。同地はロケット基地に適した世界有数のポテンシャルがある為、北海道が40年もかけて誘致し、準備してきたものです。日本の中では全く新しいコンセプトだと思います。日本に民間ロケット会社は10社以上あり、いづれ花咲く時が来ると思いますが、そうなればこのスペースポート周辺は宇宙産業のメッカになることも予想されます。

北海道新幹線は苦戦しており、開業は2038年となっています。ただ、個人的には北海道内を鉄道移動するよりハブ アンド スポークと称される発想で、北海道と本土、特に東京を結ぶコアラインと千歳から小型飛行機で北海道各地と結び、運用させた方が良い気がします。

地球温暖化もあります。北海道でコメが取れるなんて我々は学校では習わなかったのに今ではそれが当たり前なのです。ニセコは既に日本ではないという人もいるぐらい、外国人のメッカとなりました。バンクーバー近くのウィスラーがかつてはスキーリゾートだけだったのが、今では通年のリゾート地として確立したことを考えればニセコが世界的リゾートとして開発余地はあるでしょう。そのうち、G7が開催されるような踏ん張りどころを見せてもらいたいものです。

日本はまだまだいろいろできると思います。そして北海道は期待できるビジネスの芽がたくさんあり、期待できると考えています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月1日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。