維新が迷走している。吉村代表は「党運営の力が不十分」と言ったが、問題はそれだけではない。総選挙で惨敗してからも党の建て直しができず、予算案でも前原共同代表が与党の窮地を救ってしまった。
維新は何をしたいのか見えない
松井元代表までこんな動画を公開した。国民民主には公募への応募者が殺到しているのに、維新は離党が次々に出ている。
松井氏もいうように「何をしたいのか見えない」のが最大の問題だ。維新はもともと大阪の行政改革から出発し、「小さな政府」を掲げていたはずだった。昨年の総選挙でも社会保障改革を掲げ、「医療費の窓口負担一律3割」を打ち出した。
しかしこれが公明党の「年寄りいじめだ」というネガキャンの標的になり、惨敗した。これにこりて社会保障改革を封印し、今年度予算の交渉では、前原共同代表が高校無償化という毛針に飛びつき、少数与党を追い込む絶好のチャンスを逃した。
これが批判を浴びて、予算が通ってから「社会保険料を4兆円下げる」という無内容な要求を出したが、もう与党は用ずみの維新を相手にしない。
苦しまぎれの「食料品ゼロ税率」は筋悪
その後は代表選挙にチャレンジした梅村議員を予備選で追い出すなど人事のゴタゴタばかり報道され、参院選の候補者も集まらない。政党支持率ではれいわ新選組にも抜かれ、このまま参院選に突入すると、総選挙を下回る大惨敗になることは目に見えている。
読売新聞より
そんな中で維新は、苦しまぎれに消費税の「食料品ゼロ税率」という公約を打ち出したが、これも国民民主の玉木代表が指摘するように筋が悪い。同じ減税ポピュリズムなら、一律5%に下げる国民民主のほうが景気がいい。
超党派で「最低保障年金」を打ち出せ
そもそも社会保障改革を掲げる維新が、なぜ社会保険料削減の財源となる消費税を減税するのか。むしろ年金保険料を削減して税に置き換えるべきだ。この点で20年前から一貫しているのが、河野太郎氏である。
彼の提案しているのは国民年金保険料を廃止して消費税に置き換える最低保障年金である。基礎年金勘定は約25兆円、消費税収も約25兆円なので、増税なしでほぼ現行の国民年金と同じ支給額を全国民に保障できる。
これは維新の恐れている老人の怒りにはふれない。むしろ今後出てくる就職氷河期の無年金老人を救済するために必要だ。これを厚生年金積立金の流用でごまかそうという年金改悪法案は許してはならない。
今のところ河野氏は孤立無援に近いが、維新が野党の改革派を集めて河野氏を支援すれば、一定の勢力にはなる。国民民主は消費減税で現役世代を見捨てたので、維新が唯一の現役世代の代表として戦えば、都市部で国民民主の票を奪うことも不可能ではない。
このままフラフラしていても、野垂れ死にするだけだ。初心に帰って、都市の現役世代にアピールする党になってはどうだろうか。