1995年の初訪問来、アラン・パサールと「アルページュ」、だーいすき♪
忘れもしない、コンフィヌマン直前の20年3月、オフィスでおしゃべりしていたら、お客様が来て、「おいしかったー!」の後、「僕、ミラノから来たんだ」の一言で、アランもオフィスのみんなも私も、視線交わし合って黙っちゃったっけ。当時、ミラノでコヴィッド大流行してて、そこからパリに流れてきた、と話題になっていた。
普通の生活が戻った時、コヴィッド中に内装大改装したというので、取材がてら見学して地下の美しさに感動し、次に来るときは、ルサージュ&ゴッサンスが手がけた地下の内装空間で食事しよう、と決めてた。それから2年。時間の流れが速すぎる…。
厨房で懐かしいスタッフたちと挨拶交わして調理台眺めると、以前と同じように素敵にいい匂いではあるのだけれど、何かが足りない。おぉ、以前は巨大なバターの塊が常にあったのに、それがなくなってる。聞けば、アランはコヴィッド明けから、バターをほとんど使わなくなったのだそう。
なんと!アランの料理=有塩バターたっぷり料理、だったのに。どんな感じになったのかしら。興味津々。
野菜もソースも、色がとびきり美しいのは、ラルページュの魅力の一つ
厨房から、客席通って
地上階も内装一新、ちなみに制服も一新
地下の、サロン・ルサージュへ
シャネル系列アトリエの、刺繍のルサージュと、彫金のゴッサンスが、アランの料理をテーマに内装施した
地下におり、アランの料理を再現した、それはそれは美しいルサージュの刺繍を眺めながら、野菜ジュースで乾杯。うわっおいしっ!
壁を飾る、アランの名作料理たち
この細かさ、伝わるかな…
目の前で見ると、圧巻
生野菜に続き、滋味深いことこの上ないカブのピュレと、根菜苦味を楽しむのコンソメ。
定番クリカボチャスープは、以前と変わらないコクで、ふわふわクリームはハムでなくローズマリーになり、ショーフロワの温度差も最高。
定番中の定番玉ねぎグラタンは、バターやチーズの芳醇なコクがなくても野菜本来の甘みと香ばしさが素晴らしく、レモンが絶妙のアクセント。
以前掲載した玉ねぎグラタンの写真と比べてみて
色が全然違う
ベビーリーフたちはそれぞれ素晴らしい香りを放ち、ドレッシングは完璧に絡み、プラリネやパルメザンの旨味をアクセントに、さいっこうのサラダに仕上がってる。今日のベスト料理は、これかな。
こちらも定番のベトラーヴ鮨は、いつもながら上出来。
これ、毎日食べたい
これも、毎週食べたい
冬野菜をたっぷり詰め込んだヴォロヴァンは、絶品フイタージュを作るアランならではのおいしさで、たまらない。
最後は、カブのシューファルシ、そして、ジャガやトピナンブールなどのフリカッセ風。
おやつは、りんごのコンポテのあと、トピナンブールのガレットと爽やかなハーブ(なんだっけ?)のアイスクリーム。
最後の一口は、もちろん、バラのタルト。
奥の壁は、このデザートの刺繍
以前と変わらず、唯一無二の美味の数々に、感動と興奮。バターの存在感がかなり減っているのに、すごいなぁ。
どれも素敵な刺繍の中で、一番好きなのはこの料理
見飽きない✨
アトリエ寄らせてもらうと、ブロンズ作品が増えてる。
アランのシグニチャーである立ちアスペルジュやリンゴタルト、乾燥オマール。シメール(2種食材の融合)シリーズは、オマール&ハトが強烈&食べたい。
鋳造、パトリック・ロジェと同じアトリエでやっているそう。パトリックもアランも、おいしいものを作る上にすばらしいアートも作る、職人かつ芸術家。
鶏と鴨
おいしいんだよねー、これ
鳩&オマール
食べてみたい
乾燥オマールと、コラージュ系アート作品
バラのリンゴタルト、かわいい
久しぶりにアランの魅力漫喫。なんでこんな長い間来られなかったんだろう…。これからまた、定期的に来られますように
おいしかったー!またね、アラン
そして夜、驚くことに、少しお腹空いて、夕食を食べた。今まで、アランのお昼ご飯の後に、夕食食べられるようなお腹状態だったことなんて、一度もなかった。すごいな、バターがないってこういうことか…。そういえば、パン用のバターも出てこなかった。恐るべし、バターの存在感。
95年夏、初めて来た時からずっと変わらない外観
アランの師匠、アラン・サンドランスの時代から、きっとこの外観なのでしょうね
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2025年1月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。