SoFi「2026年EPSガイダンスの達成が見えた!?」(前編)

(前回:SoFiの“売上以上に利益が伸びる”理由:2025年第1四半期決算を読み解く

SoFiは2026年の1株あたり利益(EPS)を0.55~0.80ドルとするガイダンスを提示している。現在の株価は約13ドルのため、2026年の予想EPSに基づくPERで約16倍~24倍に相当するということになり、それほど割高には思えない。

しかし、2026年EPSガイダンス0.55~0.80ドルは、2025年第1四半期決算発表時に上方修正された2025年EPSガイダンス0.27~0.28ドルの2倍~3倍となる。この達成が果たして現実的なのか、検証してみる。

※以下は「数あるシナリオの一つにしか過ぎない」ことはあらかじめご了承ください。

売上(Adjusted net revenue)

2023年第1四半期→2025年第1四半期の年平均成長率は29%である。これに基づき、2024年の売上実績から2025年・2026年の売上を算出すると、33.7億ドル・43.7億ドルとなる。

Adjusted EBITDA

売上からAdjusted EBITDAを算出するには、まず各営業費用項目を計算する必要があるため、売上と同様、2023年第1四半期→2025年第1四半期の年平均増減率を算出し、2024年の実績値から2025年・2026年の各費用項目を求める。

※ 正確には上記数値に支払利息・貸倒引当金などを考慮する必要がある

そして売上から各種費用や調整項目を加味して算出した結果、2025年・2026年のAdjusted EBITDAは10.5億ドル・15.8億ドルとなる。

※ Adjusted EBITDA:企業の本業による収益力を示す指標で、利払い、税金、減価償却費、一時コスト(株式報酬や買収関連費用など)を除いた利益。日本の「営業利益」に近い性質を持つ

Adjusted Net Income(調整後最終利益)

Adjusted EBITDAから「株式報酬費」「減価償却費」「支払利息」「法人税」を差し引けばAdjusted Net Incomeが求められる(ほかにも細かな項目が存在しているが、この4つを押さえておけばおおむね問題ない)。

よって、今までと同様に2023年第1四半期→2025年第1四半期の年平均増減率を算出し、2024年の実績値から2025年・2026年の「株式報酬費」「減価償却費」「支払利息」を算出する。

そして、Adjusted EBITDAからこれら費用を差し引き、残った利益に税率26%を乗じるなどして、Adjusted Net Incomeを求めると、2025年・2026年のAdjusted Net Incomeは3.8億ドル・7.5億ドルとなる。

Adjusted EPS(調整後1株あたり利益)

1株あたりの利益を求めるための株式数も同様に2023年第1四半期→2025年第1四半期の年平均増加率を算出し、2024年の株式数から2025年・2026年の株式数を求める。

最後にAdjusted Net Incomeを発行済株式数で割ると、2025年・2026年のAdjusted EPS は0.32ドル・0.56ドルとなり、2023年からの年平均成長率ベースで試算した結果、2026年EPSガイダンス0.55~0.80ドルの下限は達成可能と見込まれる。

わーい、やったー、めでたし、めでたし♪パチパチ、パチパチ♪…、

と喜ぶのはまだ早い。

上記のAdjusted EBITDA Margin(調整後EBITDA利益率)を計算すると以下となり、年々利益率が上昇傾向にあるとはいえ、2026年の利益率36%はさすがに高すぎる(SoFiの30%という目標からも明らかに上振れしすぎである)。

※ 2024年までは実績。2025年・2026年は本稿の売上とAdjusted EBITDAより試算。

よって、売上のさらなる加速を模索する方が現実に近くなるため、次回は、売上がどの程度伸びる可能性があるのか、シミュレーションをさらに深めてみる。

(後編に続く)

P.S.
Adjusted Net Incomeを求める際に使用した税率26%というのは2025年のガイダンスとして発表された税率を基にしている。しかし、2025年第1四半期の実効税率を計算すると10.9%となる。よって、実効税率が想定より低くなることで、Adjusted EPS(1株あたり利益)が押し上げられる可能性もあるが、これをあてにするのは賢明でないため、そのアプローチは採用していない。事実、SoFiも2025年の残り3四半期の税率を26%と見込んでいる。

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