日本の1人あたりGDP、来年にはポーランドにも抜かれる見通し

日本の1人あたりGDPは今後、ポーランドにも抜かれる見通しだそうです。

The polish miracle: outpacing Japan in just one generation EuroWeekly

ポーランドは2026年にも日本を生活水準で上回る見通しであり、世界の経済ランキングにおける驚くべき転換点となる。1990年当時、ポーランド人の生活水準がいずれ日本人に並び、さらには追い越すかもしれないという考えは、荒唐無稽な夢のように聞こえただろう。日本は当時、現代性、産業効率、経済力の象徴とされていた。一方のポーランドは、ソ連型共産主義の時代を経てようやく独立を回復したばかりで、ヨーロッパで最も貧しい国の一つだった。

すでにスロベニアに続き、チェコ、エストニア、リトアニア、スロバキアなど旧東欧諸国が日本を追い越す勢いです。

Vladimir Vinogradov/iStock

ポーランドは1990年には日本の3分の1の水準でしたが、バルツェロヴィチ・プランによる市場改革とEU加盟後の外国直接投資の急増により、30年で日本に迫る経済成長を遂げました。

一方、日本はこの30年で1人あたりGDPがほぼ横ばいで、世界34位にまで後退しています。2023年の日本の1人あたり名目GDPは3万3849ドルで、韓国にも抜かれ、OECD加盟国中22位でした。為替の円安、高齢化による成長力の低下、労働生産性の低さなどが要因とされています。

IMFの予測では、2025年に日本の購買力調整済み1人あたりGDPは36位となり、1990年代には95%だった先進国平均との比較も、2025年には74.6%にまで下がる見込みです。

参照:「ポーランド以下」となる1人当たりGDPを高めよ デービッド・アトキンソン

日本の労働組合は、いわゆる「社内失業者」を守るギルド的な役割を果たしており、こうした社員の雇用維持のために賃上げを控えています。また、金銭解雇に対しては強く反対する姿勢を示しており、これが雇用の流動化を妨げ、「賃金デフレ」を引き起こす要因となっています。

また、減税や財政出動といった政策も効果が薄いのは歴史が証明しています。

人手不足の中では、財政出動による雇用創出も難しく、手取りが増えても将来の増税を見越して貯蓄に回る傾向があります。企業は利益を増やしても賃上げや設備投資に消極的で、内部留保や配当の拡大にとどまっています。

日本経済研究センターの予想では、所得水準を示す1人当たりの実質GDPについて、日本は2024年の29位から、2075年には45位にまで順位を下げる見通しです。日本経済を底上げするためには、定年制や正規・非正規の待遇格差といった雇用慣行の改革、さらには教育への公的支出の拡大が、労働参加率や生産性の向上につながると分析しています。