日本の防衛産業になぜ未来がないのか

日本の防衛産業には未来がありません。

今後も散々税金を食い散らかして役に立たないクズを外国の何倍も高いコスト調達・維持し続けて財政赤字を増やすだけです。

それは官民共に防衛産業が「産業」であるという認識に欠けているからです。

防衛省・自衛隊HPより

だから同じ分野の世界的に見て零細な事業を統廃合できない。

農業と全く同じ構図です。産業振興といえばバラマキだけです。バラマキをやっている分には恨まれませんからね。

本来は事業統合で血と汗と涙を流して体質改善をしないといけない。ところが、やっていることは糖尿病患者に食事制限をさせずに、ケーキを食わせたり酒を飲ませたりしているわけです。防衛省は防衛メーカーの利益率を8パーセントから13パーセントに上げましたが、まさにこれです。何の努力もせずに利益を上乗せして、企業が性能・品質・コストの向上に努力しますか?

世界の市場に打って出るためには、最低これが必要です。そうでないと全く世界で通用しません。ところが多くのメーカーはリスクを負って投資を行って、世界市場に打って出るつもりはありません。子供部屋おじさんよろしく、国という親の脛をかじって生活ができればいいと思っています。この点からも全く将来性がありません。

例えば同じ商店街で席数が2、3しかないラーメン屋が5、6店並んでいるようなものです。仮に利益を出すためには席を10席は確保して、5回転、つまり一日50人のお客さんが必要だとします。ところがこの商店街のラーメン屋は不味く、ぬるく、サービスも悪いので一日の客数は10名ぐらい。

ところが自治体がこれらのラーメン屋を維持するために補助金をばらまいて生き延びさせている。当局が金を出して不味くてやる気のない店を維持しているだけで、商店街の顧客にしてみれば「ふざけるな」という話です。

本来やるべきことは、ラーメン屋の数を1店に絞り、席数を増やすことです。そうすれば5店分の客が確保できます。そして補助金を打ち切って、味と品質を向上させることです。

防衛産業の振興であれば、これが一丁目一番地です。さらに申せば、防衛省や政府に商社に対する振興策がありません。本来、海外の情報を持っており、まともな事業会社と取引してまともなビジネス感覚を持っている商社の役割は大変大きい。

また、スタートアップ企業に資金を提供したり、防衛省や海外への営業も得意とするところです。ところが、防衛省の防衛産業振興策に商社はほとんど含まれておりません。

先週のDSEI Japanで取材していても、日本のメーカーにそのような危機感は全く感じられませんでした。

東洋経済オンラインに寄稿しました。

墜落事故の「搭乗員らしきもの」発言は謝罪したが…事実誤認は訂正しない防衛省の”二重基準”

墜落事故の「搭乗員らしきもの」発言は謝罪したが…事実誤認は訂正しない防衛省の"二重基準"
防衛大臣会見には、原則としてテレビ、新聞、通信社など防衛記者会(記者クラブ)に属していなければ参加できない。フリーランスも参加が認められているものの、高い参加要件が設けられており、事実上は参加が困難…

【有料記事】
Note に有料記事を掲載しました。

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、陸自用汎用無人機開発へ

ES&D誌に寄稿しました。
Japanese MoD initiates project to develop VTOL UAV for ground forces


防衛破綻 – 清谷 信一


専守防衛 – 清谷 信一

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年5月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。