小泉進次郎農相、備蓄米放出の是非めぐり元農相と激突

小泉進次郎農林水産大臣は6月1日、東京都内のスーパーを訪れ、政府備蓄米の店頭販売を視察しました。進次郎農相は、想定を超えるスピードで民間事業者が対応したことに感謝を述べ、今後も需要があれば備蓄米を追加放出する意向を示しました。

これに先立ち、野村哲郎元農水相は、備蓄米の放出が党の農林部会に諮られなかったことを問題視し、進次郎農相に対し「ルールを覚えてもらわないといけない」と批判していました。

参照:森山幹事長と元農相による小泉進次郎農相への「苦言」が波紋呼ぶ アゴラ

森山幹事長と元農相による小泉進次郎農相への「苦言」が波紋呼ぶ
自民党の森山裕幹事長は5月31日、鹿児島県での講演で、コメ価格について、農家が再生産できる水準を維持すべきだと訴えました。 自民党の森山幹事長「生産持続できるコメ価格を」 過度な下落懸念 — 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@...

イオンの備蓄米販売の売り場を視察する小泉進次郎農相 同農相Xより

進次郎農相はこれに反論し、「全てを党に諮っていては、迅速かつ大胆な判断ができない。緊急事態には大臣の裁量で対応すべき」と述べました。また、自身が農林部会長を務めた経験から、党のルールは理解していると強調しました。

野村元農相は鹿児島県での講演で、進次郎農相が「自己判断で発表してしまう」とし、「森山幹事長から注意してもらわないと」と発言。これに対し進次郎農相は、緊急性を理由に独自判断の正当性を訴えました。

一方、元農相の斎藤健氏や堀江貴文氏は、進次郎農相の迅速な対応を支持する姿勢を示しました。

小泉進次郎農相に苦言のJA出身元農相をチクリ「今は緊急事態」「やむを得ない」斎藤元農相が指摘 日刊スポーツ

一方で、石破総理や小泉農相による発言が、市場の価格形成をゆがめており、政治の裁量でコメ価格が操作される状況が続いています。その結果、価格下落のリスクは農家に押し付けられ、政治家があたかも「正義の味方」のように振る舞うという歪んだ構造が生まれているという指摘もあります。

参照:小泉農相備蓄米2000円指定:法の枠を超えた価格介入、コメ農家は撤回と是正を求めるべき 浅川 芳裕

小泉農相備蓄米2000円指定:法の枠を超えた価格介入、コメ農家は撤回と是正を求めるべき
政治的な価格指定は備蓄米法令を逸脱 小泉農相による「コメ5kg2000円指定」は、備蓄米の根拠法令「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」の制度趣旨を逸脱したものである。 同法では、政府備蓄の目的を「米の供給が不足する事態に...

古米中心で量も少なく、米価の根本的な改善にはつながらないとの指摘があります。

参照:進次郎米のイカサマ:JA悪者論は本質的でない 澤田 哲生

進次郎米のイカサマ:JA悪者論は本質的でない
進次郎米(備蓄米)がようやく出回り始めたようである。 しかし、これは焼け石に水。進次郎米は大人気で、売り切れ続出だが長期的な米価の引き下げにはなんの役にも立たない。JA全農を敵視するような風潮にあるが、それに基づく改革はまったく本質的...

また、進次郎農相は26日のテレビ番組で、コメの輸入拡大について問われた際、「あらゆる選択肢を排除しない」と述べ、検討の余地があるとの考えを示しています。そして問題の本質は単純で、コメの輸入を自由化すれば解決できると考えられます。それにもかかわらず、政治家やマスコミがその点に言及しないのはとても不思議です。

いずれにせよ、進次郎農相が農水行政に風穴を開けることを願いたいところですが、かつての沖縄のハブとマングース(※)みたいにならないといいですね。

※かつてハブ対策として沖縄や奄美大島に導入されたマングースとハブの対決のイメージが強いですが、実際にはハブを退治する効果はほとんどなく、むしろ生態系に悪影響を与えてしまったという背景があります。